山本山本佳宏 yanmo.jp

2012年12月のエントリー 一覧

『○○の君 is クリエイティブ』 (2010年4月号掲載)


不気味の谷

 

BUKIMI!!!!!!BUBKAの表紙を飾るBIKINIのような香りを漂わせつつBUKIMI!!!!!!!不気味と言えば95年の阪神大震災当日に水が全然出なくて僕と父親は車で近くの小学校に行って小学校なら貯水タンクあるから水出るだろってことで門を乗り越えて運動場の横の蛇口ひねったら水が出たのでバケツ2個に水入れてCHAMPCHAMP言わせながら車に乗って何か精神的に落ち込んで無言で家に帰る途中!!!!!!時刻は夕刻!!!!!太陽が血の滴るような赤色をして直径1メートルぐらいのデカさで沈もうとしててあまりの赤さに呆然と見てたらオヤジが一言「……フキミやなー」噛んだ!!!!!!!このすごく何らかの事を暗示して暗示してしょーがないような絶好のシチュエーションでアンタ噛んだ!!!!!117日に噛んだ!!!!!!BUKIMI!!!!正解は!!!そうやって震災初日は終わって行ったけども不気味。

 

1970年にロボット工学者の森政弘って人が提唱した理論らしいけども『不気味の谷』っていうのがあって別にYAWARAちゃんのことじゃないですけども、人間は人間に似ているものを見せられたとき、ホンモノ、あるいは実物との近さが高まるつまり似るにつれて親近感がグイグイ高まっていくけども、ほとんど実物と変わらなくなるある瞬間に、突然嫌悪感を示すと。その好意⇒嫌悪の反応を表すグラフのバコーンという落ち込みがYAWARAちゃんに似ているから『不気味の谷』理論と言うそうです。

カッコイイ!!!!!!!!!!!ネーミングがカッコイイ!!!!!!!!!不気味の谷!!!!!大きいやぎのがらがらどん!!!!!!

ブリキで作ってウィンウィン動くような直方体の集合のようなロボットにはむしろ人間との共通点を見出しやすくてほのぼのしたりするしアシモがアホみたいな踊りをしてるのを見るとニッコリするけれども、科学が発達してきて最近発表人間に似せて作ったロボットがキモくてキモくてしょーがなかったりする事例は多発しているしパッケージのアニメで詐欺るダッチワイフがキモイのも同じ理由かもしれない。近づきすぎると一転して差異が気になり始めるっつーか。人と人にもあるかもしれない不気味の谷。距離が縮まった結果イヤな部分が突然たくさん見えて幻滅が点滅して滅・昇龍拳!!!!!!!!!不気味の谷を飛び越えてお逝きなさい!!!!リアルラブドールの口の中は少し固めのシリコンで作られ歯や舌も実物同様に存在することを確認した上でお逝きなさい!!!!

 

 

何と言いますか、4月号のこの連載が1ページであることを知って何書こうか心が彷徨った挙句、最近僕の中での気になるワード第3位の『不気味の谷』の事をとりあえず書いてみた。3位かい。

 


『月刊誌 is クリエイティブ』 (2010年2月号掲載)



「ダーメだー力が出ないよー」

 

「大変だ!僕カバ夫だけど月マンの顔が汁的なものでしとどに濡れているよ!」

 

「月マンは顔が汁で濡れてしまうと下半身に力が入らないよー」

 

「大変だ!僕カバ夫だけど月マンの顔は汁で濡れ、膝小僧同士がガチガチ当たっているよ!」

 

「月マンは新しい顔がないとウクライナ人のK-1ファイターに勝てないよー」

 

「大変だ!僕はカバ夫だけど今、月マンが戦っている相手は三角筋がすごく発達しているファイターだよ!」

 

「カバ夫を食べたいよー」

 

「大変だ!僕カバ夫だけど志半ばで月マンに食べられてしまうよ!」

 

「早く顔を変えてくれないとカバを食べるよー」

 

「大変だ!僕はカバのカバ夫だけど月マンの新しい顔を早く探さないといけないよ!」

 

「月的な顔がほしいよー」

 

「大変だ!僕カバ夫だけど月マンは何となく月的な感じの物なら顔になるよ!」

 

「月おじさんー」

 

「大変だ!僕カバ夫だけど月マンの顔を作ってるのは月おじさんだよ!」

 

「月的な顔をくださいー」

 

「大変だ!僕カバ夫だけど早く何とかしないと!それっ!バスケットボールだっ!」

 

「手垢ついたボール人の首にハメてんじゃねーよカバ!!!!!!!!!!!!!!!!俺顔濡れてんだぞこの野郎!!!!!!

 

「大変だ!僕カバ夫だけどいよいよ食べられてしまうよ!それっ!月だっ!」

 

「サイズ気にしろカバ!!!!!月マンだからつって月ハメてくるとかナメてんのかお前!!!!!!

 

「大変だ!僕カバ夫だけど月マンに月を投げたらすごく怒っているよ!月的なものということは、えいっ!月刊風とロックだっ!」

 

「ありがとうカバ夫くん!これで元気100倍!月マン!」

 

「大変だ!僕カバ夫だけど月マンがウクライナ人のK-1ファイターの目に指を突っ込んでるよ!がんばれ月マーン!」

 


『好き is クリエイティブ』 (2009年12月号掲載)


すき きらい


家に帰ってドア開けたらエアコンつきっぱなしで靴引っぺがすように脱いで廊下にはチン毛がすごい落ちてて服着たまま浴室飛びこんだら最近掃除してないからタイルがヌルヌルしててボディーソープの先っちょに鼻くそみたいな塊が垂れ下がっててバスタブに座ろうとしたら自分の膝で思いっきりアゴをカチコーンと打ってのけぞったら風呂の栓をぶら下げる留め金で後頭部カチコーンと打って右手で後頭部左手で口を押さえてそっか私ずっと泣きたかったんだす――――――ぅきぃ―――――いーいぃぃーいぃぃいいいいいい―――――――暴れすぎ!!!!!!!!!!ドーンといくぞ隣の部屋から壁をドーンと――!!!!!!!こっちはエロ動画見とんねん静かにせいす――――――ぅきぃ―――――いーいぃぃーいぃぃいいいいいい―――――――うるさいお前!!!!!!!!!フラれたぐらいで歌うな!!!!!!! こっちはエロ動画見とんねん静かにせい!!!!!!!

 

正解不正解とか善悪とかの区別ほど意味のないモノはない。X字型の便座ぐらい意味がない。

この世の人間のすべては好きか嫌いかで成り立ってて好きもしくは嫌いという感情を持たれないモノはこの世に存在してないのと同じ意味になる。

 

いかに好きであると伝えるか。いかに相手に好きになってもらうか。それが広告にとってのすべてだと思うし見え透いた駆け引きや腕つかんで駅前の自転車置き場でガッシャンガッシャン引きずり回されながら迫られる交際によってはもはや相手を好きになったりはしないよってことがダメな広告に対しての感情なんだろうと思うそういえば昔、駅前の自転車置き場で学ラン着た大人しそうな中学生男子の首根っこをつかんで引きずり回しているスーツ姿の黒人を見てKUWABARA KUWABARAの意味を肌で知ったよー。

 

好きか嫌いかの話でいうと僕は2wayという言葉が嫌いです双方向という言葉が嫌いですインタラクティブという言葉が嫌いです。さらに混乱することを言うと言葉が嫌いなんではなくてこういった言葉の意味をよく考えもせず使う人たちが嫌いです。しゃらくさいから嫌いです。

 

頭がキレキレでオシャレで最先端に面白い俺たちが下民に向かって交信を図ってやるぜ。

だからリアクションしてこいよお前ら。

それが双方向ですか。それを双方向と呼びますか。誰かアンタらにライフスタイルを提案してほしいって頼みましたか。糞詰まって当然だろ。TOTOX字便座で張り倒されるぞ。

 

日本の街にはたくさんの思いが24時間飛び交っている。あちこちから次々に発射される矢印。どの矢印をどのように受け止め、どのように反応していくのか。それが正しい双方向の始まり方だと思う。偉そうですね。

 

同じ場所、同じ街、同じ日本に住んでる人間がなぜ対岸に立とうとするのか。なぜ世界を分断するのか。自分は仕事でモノを作る人間であると同時に仕事帰りにモノを買って消費する人間でもあることになぜ気づけないか。

同じ岸に立たないと、どこかへ向かって飛んでいく矢印を見ることはできない。誰かの好きや誰かの嫌いをつかまえることもできない。飛び乗ることもできない。

「抱いてやるから服脱げよ」では、もはやセックスはできない。

 

混ざりたいんです。簡単に言うと。脳みそ混ぜたいんです人と。このキモチ、この衝動が、自分のモノなのか誰かのものなのか自分のやりたい事なのか人のやりたい事なのか自分の発想なのか相手の発想なのかもうグッチャグチャにワケ分からん渾然一体となって進んでいきたいです。それが2wayとか2.0とかとどう違ってどう同じなのかは一切分からないけど僕が放送のみならず目指すのはそういうことですピースピース。何で今Wピースした。

 



『迷惑メール is クリエイティブ』 (2009年11月号掲載)


昨日送ったメール


ああ送らなければ良かったなあああああああああああああぁああああああ!!!!!!!!!!!悔いだけが募りますうううあががががががががががあおおああああああぁああぉおお!!!!!!!!

俺メールとか苦手であんまやんないんだよねとか作家にとってはただの言い訳とかでやっぱ作家はメールも当然上手に書けないといけないとか思うみたいな強迫観念とかもちょっとあったりとかもしますとか。

そりゃ多分偏差値で考えたら山の右側のほうだろうとは思いますけれども上手かろうが下手かろうが夜が明けても来ないものはこないままですメール。そんな当たり前の事実に気づいてGAKU-然としますああ送らなければ良かったなああいいいいいいいいいえええああぁああああ!!!!!!!!!!!悔いだけが募りますうううあギギギギギギギギギ(ゲンはゲンでもはだしのゲン)がががががががあおおああああああお!!!!!!!!

絵文字とかデコメとか使わなくたって文字だけで全て表現できるわとか思っててもメール返ってきてほしいがために平気の平左で目玉のオヤジデコメ全部揃えてチマチマ送ったってああ送らなければ良かったな悔いだけが募ります。

 

ボブ沙汰してます、山本です。連載お休みして申し訳ありませんでした。

 

認知心理学的に言うとメールが返ってこない時の心理状況は『反応の非有効性』と言われててどーいうことかというと良くない状況に身を置いたときに解決手段や回避方法が見当たらないしできそうにないという見通しの暗さのことでございます鉄人自ら取り分けます。鉄人は一旦待たせておいてさらにどーいうことかというと、メールが返ってこないこと自体を不安がってるわけではなくて何かの事態を打開する可能性が超低まっとることが不安なわけで仕事相手のオッサンに送った「今月こそは飲みに行きましょうね」メールの返事が来なかろうがクソにたかるハエのクソ並みにどーだってイイので不安になんかならんし後悔もせんと。好きな女子からリアクションがないと次のアクションへのつながりをどう持てばいいのか全く分からんから不安だと。当たり前のことですか。当たり前のことですよね。つまりは100%自分の中で巻き起こってる不安なので、自分次第で不安を大きくも小さくもできるってことですよね。という話をどこかで読みました鉄人自ら取り分けますいつまで取り分けてんのお前。鉄人にお前とか言っちゃってアレですけど。

 

これは無視なのか躊躇なのか天然なのか計算なのか友だちと相談中なのか彼氏が金属バット持って公園で待機中なのか、来ない返信に向かって妄想を膨らませるのはペットペトヘットヘトになって何でこんな思いをさせられにゃならんのか、今日本に何万人かいるはずの送ったメールの返事を美輪明宏みたいな顔で待ち続けている人たちの不安空気たるや環境問題で、返そう。返事は。返事は返そう。

 

箭内さんは僕のメールを10回に1回ぐらいしか返信しない。贔屓目に見ても7回に1回ぐらいしか返信しない。

抗議したら笑って「返事をしないけど読んだよ、了解したよ、っていうメッセージが無返信には込められている」と言ったダウトオオオオオオオオアアアアアアアオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!って指差したいんだけどな。小指を。ガニ股で。しゃくれながら。半目で。欽ちゃんみたいな声で。生魚の匂いさせて。

返そう。返事は。返事は返そう。

 

一方で僕はかつて箭内さんから”レスポンス力(りょく)”を褒められたことがあって「何時にメールしても異常に返信早いねー」ということでそれは単純に寝ないでPCの前に座ってたってだけ。だけだけどもどんなに些細でもどんなに重要でも変わりなくPCメールっていうコミュニケーション手段はまあ最長で24時間ぐらい間が開いてもいいだろ、だから今受信したけど返信は明日的な暗黙のルールでやってる感じがするんだけどムダじゃね?今送れるんなら送っちゃって終わらせた方が早くね?「A案にしまーす」「やっぱB案でー」「よく考えたらA案でしかないのでA案で」とかリアルタイムでコロコロ変わってもいいから送った方が早くね?と思うんですけど。すぐバッファ取るとかワケの分かんないこと言ってフワフワさせたがるでしょあいつら。すべてのオトナたちは自らに『持ち帰り禁止令』出したほうがいいですよ。もったいつけた大物感UPテクよりもコミュニケーションの往復回数でしょ。

 


『人が考えたテーマ is クリエイティブ』 (2009年8月号掲載)


猫の話をすればいいんですか


うちの祖母が猫を飼ってましたがクーちゃんっつー名前で真っ黒でそれはそれは不吉な猫だったですが子猫の頃は可愛かったですが生き物なので成長するんですが胴----------------------!!!!!!!!!!!

猫の胴が長いのは何となく知ってるつもりでしたけどもあんな長いですか。アメリカ人のチンコより長いですか。以前、どこぞの放送局の番組の打ち上げでプロデューサーが方天戟を振り回してのセクハラ無双を発動して外国人のチンコの話を女子アナウンサーに向かって始めたところその女子アナは「そうなんですデカ過ぎて痛いんですよねー」と言って無双は終息して話は再び猫の胴。クーちゃんのあまりの胴の長さを僕はあまり愛せなかった。スズメのバラバラ死体を僕に見せつける姿も愛せなかった。でもそれ以外は愛してた。

冬になるとコタツの中に入ったまま蹴っても蹴っても全く動かないのでどうやったらこいつは外に出るんだろう邪魔だなーと思って色々考えた結果思いっきりコタツの中で屁をこいてみることにして屁をこいてみたらイヤそうな顔をしてゆっくりと出てきてゆっくりと出てきたから面白かったからちょっと笑ってたらコタツの中心で尿を叫んだケモノでした。

こいたばっかりの屁の匂いを飛び越えてくる尿の匂いをみなさん想像してください。そしてそのまま寝てください。そして起きてください。マジクサ。マジクサ。なんでオシッコしたんだクーちゃん。と思って追いかけようとしたらクーちゃんはすでに祖母に捕らえられていて孫の手の手の反対側に付いているわりと重量感のあるあのゴムボールの方で狭いオデコをパチコ―――――――――――――――――――ン!!!!!!!!!!!!!!ジャックバウア――――――――!!!!!!!!!!!!!次期大統領――――――――――――!!!!!!!!!!!大正生まれってやる時やりますよね。あと猫良く死なねーな。と思った猫の思い出です。

 


メルマガ『二十一世紀の未読』 2012.12.25


人と仲良くなるのは簡単なんですよ。

大嫌いなものを共有すれば良いのです。

 

嫌いなものが同じ、ということの結びつきは大変強いですよね。

周りをご覧ください、陰でも日向でも、誰かの悪口を言い合う人たちが、

結合する泡のように互いを強く吸い寄せるさまをあちこちで見かけるでしょう。

 

「そんなのは嫌だ、私は好きなものを共有したいのです!」

 

それはもちろんそうでしょう。

誰だって『嫌いなものが同じ仲間といつも一緒にいます』とは胸を張って言いづらい。

しかし、仲良しさんが今欲しいなら、そっちの方が圧倒的に速いのは事実です。

 


『家城啓之インタビュー』(2009年7月号掲載)


今月は久々にインタビューやりましたぞえ――(2009年にまさかの鈴木蘭々)―――!!!書き起こすの大変だったぞえ―――(2009年にまさかの鈴木蘭々)―――――!!!

お相手は、2009年度・吉本ブサイクランキングで栄光の1位を獲得しました、眉毛のない芸人さんであり、SCHOOL OF LOCK!のやしろ教頭でもある、カリカの家城啓之さんでございます!!!!!!!!やった――――――!!!!!

カリカは、2009722()23()、銀座博品館劇場で単独ライブ『しゃべるコント』をやります。僕はカリカのコント大好きだし、応援したくてインタビューしてるし、当日券ちょっとだけあると思うんで、関東在住の方はぜひどうぞ。

先に言っておきますが、僕は家城さんのことを教頭と呼んでますので、以下そんな感じで。

 


高橋優 『僕らの平成ロックンロール(2)』によせて

 

俺の歌を聴け!!!! うるせえお前こそ俺の歌を聴け!!!! ケンカすんな二人とも、良いから俺の歌を聴け!!!! いやいやそれはさておきまずは俺の歌を聴け!!!! 何でお前の歌なんか聴かなきゃいけないんだ、だったらララララララー誰だ勝手に歌ってるヤツは!!!! 俺の歌を聴け!!!!

 

誰も彼もが歌っている。ネットの海で。タイムラインの川で。手のひらでボワリと光る画面の中で。

声を張り上げ暴れる人。か細い声で囁く人。

見てくれ見てくれこっちを見てくれ。構ってくれなきゃ消えちゃうよ。ギャーギャーギャーギャー、チラッチラッチラッ。

いつから僕らは、そんなに寂しくなったのか。

 

高橋優は、なぜ歌うのか。

 

3年前、高橋優の『僕らの平成ロックンロール』に初めて触れた。リアルタイム・シンガーソングライター。今日思ったことを今日歌う男。

プロデューサーの箭内さんは言った、「高橋が万が一、将来めちゃくちゃ売れて天狗になって、突然外車のオープンカーとか乗ってカッコつけた曲を歌い始めたとしても、それがその瞬間の高橋優なら、俺たちはその姿も、リアルタイム・シンガーソングライターとして見届けるんだ」と。

どんな歌を歌おうが、僕は高橋優を信用している。外車乗ってパーマかけて金髪のお姉ちゃん連れてブランデーと葉巻の歌を歌ったとしても、僕はそれがリアル高橋優であることを信用している。

 

誰を信じるのか。

誰が言えば信じるのか。

なぜその人なら信じられるのか。

 

人を信じるのか。

その言葉の中身を信じるのか。

信じるために何をするのか。

信じないために何をするのか。

 

 

昨日と何も変わらない今日。

1年前から変わらない自分。

そんなものは存在しない。

それが自分にとっての幸福であっても不幸であっても。

 

同じ場所に留まっているように見えて、僕たちはものすごいスピードで動いている。

同じことを繰り返しているように見えて、同心円状に、バウムクーヘンを作るように走っている。

見える景色が同じで、また同じ場所に来てしまったような感覚に襲われるが、

その場所は前の場所とは、少し違う。薄い生地何枚か分、違う。

 

今、高橋優がいる場所は、3年前のあの瞬間の場所ではない。

『僕らの平成ロックンロール(2)』は、原点回帰ではない。

 

高橋優は、高橋優ではないものにはなれない。

高橋優は、猛スピードで、剥き出しで最新の高橋優になる。

 

 

剥き出しの人間と触れ合えるのは、剥き出しの人間だけだ。

ウソや言い訳や身分や肩書きや世間体で自分を包む者は、抱き合ったって寂しいままだ。

寂しさでさえ装飾品だ。

互いの体温を、鼓動を感じないまま、視線は新たな抱きつき相手を探して彷徨っている。

 

自分で作った寂しさの隙間を、自分で埋めることはできない。

隙間を埋めるのは、剥き出しであれと歌う、高橋優の剥き出しだ。

 

僕は高橋優を信用している。

「面倒臭ぇ」と歌い「まぁまぁ」と歌い「孤独だ」と歌う高橋優を信用している。


 

『ウィスパーボイス is クリエイティブ』 (2009年5月号掲載)


図書館にて

 

「ヒソヒソヒソヒソ(最近さー見るたびに運命線が短くなってるんだよねー)」

 

「ヒソヒソヒソヒソ(マジで?世界征服無理っぽいじゃん)」

 

「ヒソヒソヒソヒソ(でもさー生命線はグングン伸びてんだよねー)」

 

「ヒソヒソヒヌヒソ(果てしなく続く負け犬人生?みたいな?)」

 

「ヒソヒソヒソヒソ(あっ!今、ヒヌって1回言っただろ!)」

 

「ヒソヒヌヒソヒソ(え?言ってないけど?)」

 

「ヒソヒソヒソヒソ(またヒヌって言った!!!!!しかも半笑いじゃねーかお前!!!!!!)」

 

「ヒヌヒヌヒヌヒヌ(なーに怒っちゃってんのよ。手相気にしすぎだって)」

 

「ヒソヒソヒソヒソ(てめえええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

 

 


『ぶる is クリエイティブ』 (2008年11月号掲載)


アシタカ

 

ヤックル!

 

(ヤックル、こっちを振り向き近寄ってくる)

 

ヤックルよく来たな。よし、向こう行ってていいぞ。

 

(ヤックル、向こうへ行く)

 

ヤックル!

 

(ヤックル、こっちを振り向き近寄ってくる)

 

よーしいいぞ、よく来たな。じゃあ向こうで草でも食ってろ。

 

(ヤックル、向こうへ行く)

 

ヤックル!

 

(ヤックル、こっちを振り向き近寄ってくる)

 

よーしよしよし…何だよ。乗らねーよ別に。出かける用事ねーだろ。向こう行っとけ。

 

(ヤックル、こっちを振り向き近寄ってくる)

 

何だよヤックル、ダラダラ歩いてきてんじゃねーよヤックル。やり直しだよやり直し。

 

(ヤックル、向こうへ行く)

 

ヤックル!

 

(ヤックル、無視)

 

ヤックル!

 

(こっちを振り向き近寄ってくる)

(近寄ってくる)

(近寄ってくる)

 


『シュルレアリスム is クリエイティブ』 (2008年10月号掲載)


ワケわからんことや

 

関西の中途半端な中都市で生まれて育って泣いて笑ってケンカしてケンカしたことはなくて飲めないのに飲んで飲まれて20数年暮らした酒と泪と男と女のうちの男の僕だけども僕は関西というか大阪と言うか生まれた地に愛を感じたことがなくて愛された記憶がないから。故郷に。別に誰が悪いとか膝が悪いとか言ってるわけじゃなくて僕が悪いんだろうけど故郷は愛を与えてくれなくてその代わり僕も愛を与えなかった。人を好きになるってどういうことなのか分からないとかいう子には受け入れられ愛された経験が乏しいのと同じ理由で。好きになられたことがないから好きが歪む。

ボケとかツッコミとかベタとか漫才とかボケとかツッコミとかを人間がウンコするがごとく当たり前のように毎日毎日テレビで見せられて育って当たり前のように受け入れて育ってきたんだけど、思春期を迎えて斜に構え始めてそういうのが嫌いになってボケだのツッコミだの間が良いだの悪いだの街なかでデカイ声でしゃべってる関西人に毎日毎日ウワワワワワ―――――!!!!!!!ってなった。お前らは生まれてから死ぬまで一瞬たりともオモロないんじゃボケがと。思春期の僕。

 

見えないものを見ようとして嫌いなものから逃げようとして僕は望遠鏡をのぞきこまずにシュールという言葉に出会うわけでシュールって何ですか。よゐこの濱口さんがめちゃイケか何かで「シュールっていうのはワケわからんことや!」とネタっぽく言い放ってたのが僕は結構好きでよゐこは確かに僕がもっともっと若いころから関西ローカルの深夜番組で余白の多いコントをやってて僕も余白の多い顔で眺めてたんだけど何か関西シュールの最高峰とか言われてたらしくてシュールって何ですか。ツッコミがないってことですか。ツッコミようがないってことですか。分かりづらいってことですか。笑うポイントを明示しないってことですか。お笑いだけに使う言葉ですか。それともやっぱし、ワケわからんことさえやってたら、シュールなんですか。シュールの反対はベタですか。シュールはベタよりもカッコいいですか。シュールはクリエイティブですか。

 

逃げた挙句すがりついたシュールという言葉を掘ってみようと思った思春期の僕は…思春期の僕って何回も言うの疲れてきたんで略して杜子春でいいですか。杜子春は調べましてシュルレアリスム。フランス語。このすぐに本とかで調べる感じが左脳ばっかし出っ張った坊やの童貞臭さプンヌプンヌでイヤになりますね杜子春。杜子春っていうのは思春期の僕のことです。

 


『才能について』 (2008年8月号掲載)


得意なこと

 

があったことー。 今じゃもー忘れてるのはー。これ以上垂れて流すとお金取られそうなんで紅潮した頬をピカピカに膨らませながら喘ぎながらやめときますけども膨らませながら喘げんのかお前。喘げんのかっつってんの。絶対に熱いうどん冷ますみたいな感じにしかなんないんでしょ?フォフォフフーフォフォフフルーそれで喘いでるつもりなのかっつってんの。絶対アンタなんかよりアタシのほうが上手に喘げるんだからフフォフルルーフォフフルフー一緒!!!!!!!!大体!!!!!!!!

 

BUMP OF CHICKENの『才悩人応援歌』という曲がありましてすごくいい歌なんですけど歌詞書くとお金取られそうなんで歌詞の内容をランニングワイルドでまとめてみますと、

 

・得意だと思ってたことが他の人のほうが得意だったっす。

・平凡だからこそ苦しいんす。

・はいはい。あんたらからしたら頑張ってないみたいに見えるんでしょ。

・期待されるような命じゃないから消えてもいいでしょ。

・でも正直消えたくないっす。

 

才悩人。才に悩む人。幼児性の万能感は社会に触れるごとに喪失していってなんでもかんでも自分が1番じゃないってことをイヤというほど突きつけられて僕らは大人になっていくんだけど最近のオッサンが分析したところによると最近の若者は甘やかされて万能感を保持したまま思春期を迎えてしまって自分が1番じゃないことを免疫のない目ん玉におもっくそグリグリ見せつけられてプチ鬱?みたいな?そんなことになってるらしいですWA。そんな分析はどーでもいいんだけどBUMPのこの曲は時代の川の流れを高みから傍観してキレイに歌いあげたりせずに自分で飛び込んでってる気がして好きでした。orbitalperiodっていうアルバムに入ってる曲なんだけどもアルバムの中で1番好きな歌だったんだけども今は違います。

アルバムがリリースされた直後にとある10代の男子が何を思ったのか僕に向かってキラキラとしたまっすぐな目で「この曲ってまさに先生のためにあるような曲ですね」どこがじゃコラアアアアアアアアアアどういう意味じゃコラアアアアアアアアアア誰が才能なくて悩んどんじゃおんどれボゲエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!!!!!!!!相手が年端も行かぬ虞犯少年であることを忘れてすっかりメートルが上がり切ってしまった的な勝手な理由で僕は『才悩人応援歌』が一方的に好きじゃなくなってしまいましてBUMPのみんなゴメンナサイ読めばお分かりの通り一切気にしていただかなくて結構な感じの理由ですんが何で僕はこんなにも怒ったのかしら。図星を突かれて猛り狂ったのかしら。可愛いだけじゃダメかしら。

不遜を承知で言うと僕は確かに才能についてここ数年悩んでいてそれは前述のアホ男子のご指摘とは逆噴射で、自分で自分にあると思ってる才能をどうやって捨てたらいいんだろと思っててそれぐらい自分にとって才能って存在が邪魔だった。

小さいしマイナーだし世間の人にとっては取るに足らないノイズでしかないんだけど僕は仕事を積み重ねてきて僕のことをキライな人はたくさんいるけど多分才能があると思われていて自分でも才能があると思っていて思えば思うほど不安が増大した。本当は才能がないんじゃないかという不安。才能だと思っている何らかのものがある日消滅してしまうんじゃないかという不安。

自分にはないと思えばツライ。あると思えば不安。才能って何なの。邪魔じゃね?イヤなことばっかじゃん。アホじゃないの?

 

広告が作りたい。音楽をやりたい。でも自分には才能が多分ない。センスがない。相手にされないかもしれない。ダサいとか言われるかもしれない。じゃあ何がしたいのと聞かれたら上手に答えられないかもしれない。才能がないという劣化ウラン弾はいつまでも腸に流れず胃液の中にズッショリと浮いたままで胃が重くてナンバ走りを活用しても重心が前に移動しなくて不安っつーか絶望っつーか立ち尽くし。不安を抱えて憧れて。

 

 

メルマガ『二十一世紀の未読』 2012.12.18


何度も言った。変わらないと。

もう、変わるとか、成長するとか、そういうことは、僕たちにはもう起こらないと、何度も言いました。

変化の時代は、もう、終わってしまっています。

もう、それについての決着はとっくについている。

そしてこれからは、そのついた決着がどんどん拡大し、どんどん加速し、どんどん剥き出しになっていくのを、

僕たちはただ、目の当たりにし続けます。

 

変わらないと言いました。何度も。


『肩書き is クリエイティブ』 (2008年7月号掲載)


社長

 

シャチョサーン、デンワテテヨワタシサミシヨー。シャチョサンワタシヨサリーヨー。タマニハカオダシテシャチョサン。シャチョサンワタシキョウヒマヨアイタイヨー。デンワナンデデテクレナイシャチョサうるせ――――――――!!!!!どこのサリーかあるいは小文字使いのサリィかしんねーけどカタコトで留守電3分埋めつくしてんじゃね――――――――――!!!!!!!と思ってたら最近電話来なくなって寂しいです。あとプロミス四谷店からの新規借り入れのお誘い電話も最近来なくなってさらに寂しいです。ウサギなら死んでます。北国住まいなら自殺してます。南国住まいなら泳いでます。ほら水が冷たくて気持ちいいからそんなとこで前立腺マッサージしてないでサリィもこっちおいで。ミニ丈のチャイナ服のままで。ありのままで。

今日も社長を誘う訛った日本語が飛び交う赤坂とか新宿とかでなぜサリィが客を社長と呼ぶのかというとサリィはそういうふうに教育されているから。

 

島川丈男という人が書いた『夜逃げからの出発』というわりとテンションヌがチアノーゼしてしまうタイトルの本があってその人は叩き上げの焼き鳥屋の社長なんだけども客を社長と呼ぶ理由は『社員がいただいている給料は島川社長からではなく、お客様からいただいているのだと常に意識し、お客様の満足のために働いているということを確認するため』らしいですよシャチョサン。

世の中でオッサンヌと呼ばれる年齢にさしかかりつつあって多少は分からないでもないマインドではあるけども世の中に社長と呼ばれて嬉しい人数って何人ぐらいいるのかしら。嬉しいすかコレ読んでる人。いきなり社長と呼ばれて。そんなの顧客満足とか言って内輪の自己満足じゃないんすか。客が呼ばれて嬉しいかどうかのほうが重要じゃninthか。中学の時、棺桶にフライング警告されるぐらい片足を突っ込んだ昇天直前の英語の先生に『ninthは”e”がないんス!!』と絶叫されたのでeは間違いなくないんスけども。社長って呼ばれて嬉しいすか。

 


『中3 is クリエイティブ』(2008年6月号掲載)


15の夜

 

「15の夜!」

「ビクッ!」

「15のゴールデンウィークの夜!!」

「ビクビクッ!!」

「15のゴールデンウィークに誰も遊ぶ相手がいなかった夜!!!」

「ビクビクビクッ!!!」

「15のゴールデンウィークに誰か誘ってくんないかなーとかヌルいコト考えてたら周りはどんどんデートしたり遊園地遊びに行ったりしてた夜!!!!」

「ビクビクビクッビクッ!!!!」

「15のゴールデンウィークに誰も遊ぶ相手がいなくて結局家で三国志やってた夜!!!!!」

「…ふぅ…」

「いつ射精するタイミングあった!!!!15のゴールデンウィークに誰も遊ぶ相手がいなくて結局家で三国志やってて孔明を登用したくて君主が自ら赴いたら袁術とかに捕まって首落とされて程普が君主になってスーファミの電源切った夜―-------―――――!!!!!!!」

「さよなら孫策――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

三国志を知らない人はすいませんでしたと思う僕と三国志ぐらい知っとけよと思う劉備とそんな15歳のゴールデンウィークの夜を過ごした曹操が覇権を争うストーリー。正確には14歳だったかしら。とにかく中3。

 


『山崎樹範インタビュー』(2008年5月号掲載)


まだまだ続く月刊風とロックの”ラスト・フレンズ”特集、続いての登場は小倉友彦を演じる、俳優でもありラジオ『SCHOOLOF LOCK!』の”やましげ校長”でもある俳優の山崎樹範さんです!!ヤッター!!!

 

や:山崎樹範  ヨ:山本佳宏

 

 

 

山崎樹範とラスト・フレンズ

 

や「…ノープラン(笑)」

ヨ「ノープラン。何話しましょっか」

や「何話します?」

ヨ「でもまあ、一応この号は仮初めにもドラマ特集的なことでやってるわけじゃないですか」

や「全然違う話をしてもかまわないと思いますけどねー」

ヨ「はあ」

や「ドラマのことは何だかんだで向こうの3人が話すんでしょ?」

ヨ「シェアハウスに住んでるのは5人?」

や「5人ですね」

ヨ「そのうちの4人とぶっちぎりで年の差があるのは校長じゃないですか(筆者註:僕はやましげさんのことを校長と呼んでます)」

や「ノリの若さについていけない時が多々あります」

ヨ「まさみちゃんはハタチ。瑛太くんでも25とかですか…ウワーそれでも9歳差。ノリ違いますか」

や「はしゃいだ瞬間に、パワーの差が…」

ヨ「(笑) 勢いが違うってことですか?」

や「例えば、劇団ひとりさんのDVDをみんなで観てて…」

ヨ「空き時間とかに」

や「瑛太くんもまさみちゃんも(上野)樹里ちゃんも見てて…ボクシングやってるキャラがあるんですよ。『ケンカしよーぜー。ケンカしよーぜー。ア゛ァ゛ーン??!!』みたいなコト言う…」

ヨ「あるあるある。知ってます」

や「そのア゛ァ゛ーン??!!がすっげー流行って、みんなで何かっつーとやるんですけど、どーしても、そこまでホンイキでは上げらんないっていう…」

ヨ「ハタチぐらいって、何かを見て面白いと思ったら、延々と本気でマネし続けますよね」

や「はい。でもそれって、こっちからすると、もうやっちゃいけないじゃないですか(笑) それ、まんまやっちゃうのは、もう恥ずかしいんだよ正直、っていうね」

ヨ「分かる分かる」

や「で、オリジナルでやり始めるんですよみんな。『ワニと戦ったらどうする?』『クマと戦ったらどうする?』みたいな無茶振りを、『なんか武勇伝、あるんでしょ?』みたいな感じでお互いに振り出すんですよ。それで、『口に手をガーッと突っ込んで…ア゛ァ゛ー??!!…って抜くんだよ!!』みたいなことをね」

ヨ「やったりするんだ」

や「でも何となく誰かがつまづいたら、回しみたいなことをやっちゃうワケですよ。『で、次どうなったの?』みたいな」

ヨ「あー…オトナだなー…」

や「で、自分の番が来ちゃうんですよ……すっげーテンパる」

ヨ「(爆笑)」

や「まったく面白いことができない(笑) ドキドキしちゃって」

ヨ「ええ?!」

や「みんなのほうがよっぽど面白い。誰が見ても、他の4人のほうが面白いって言うと思う。客観的評価」

ヨ「ええー…」

や「だって純粋に楽しんでるから、面白いんです。何言っても楽しいじゃないですか、そういう雰囲気の中だと」

ヨ「楽しいですね」

や「本気で楽しんでれば。でも、その中で、どっか『がんばらなきゃ』みたいなのが1人だけあるから、『…何かゴメンね、ちょっと今のはアレだったね…』みたいな瞬間があります」

ヨ「その辺の受け入れはどうなんすか?他の4人の」

や「みんな役者さんなんで、そういうのは、結構サラっと忘れるんです。次に行くんです。そういうときに、『ああ、俺って、このメンバーと…』みたいな」

ヨ「楽しめてないんじゃないのか、と」

や「……俺、こんなこと(この雑誌に)書かれて、どうしよう」

ヨ「大丈夫大丈夫」

や「…(テンションの違いを)向こうはどう思ってるんだろー…と思ってね」

ヨ「確かに。多分この号に、3人のインタビューも載るはずですけど」

や「多分、心底面白い人だとは思ってないと思うんですよね」

ヨ「(爆笑)」

や「………あ、地震だ」

ヨ「ホントだ………結構デカイ…」

 

(2人で地震速報を見に行ってインタビュー中断)


『アート is クリエイティブ』 (2008年4月号掲載)


ATフィールド

 

ぎゅ――――――おるるるるるるるるぅぅぅぅああああああああああああ――――――おぅらカカトがめっちゃ痛い―――――――――――――――――!!!!!!!!!

ブーツが脱ぎづらい季節も終わりまして街にはメキシコシティ並みにマスクマンがウロつく春なのにお互い不機嫌そうにすれ違うだけで誰も組み合おうとはしなくて毎日街角で組み合ってるメキシコ人をもっと見習えそして花粉と同じだけ飛べそして舞え牙を抜かれた白い恋人マンたちよ!!!!!!!!

キン肉マンと白い恋人を試験的に混ぜたらキケンだと分かった。そんな春。

最近ではすっかりユル目になってしまったけど僕は基本的にブカブカする服や靴が嫌いでどっちかっつーとグリグリグリーっとブーツのヒモ締め上げて脱ぐのに一苦労したり体にピターっとくっつく服が1枚入ってないと不安でファンファンで不安でファンファンでしょーがないって時期が結構長く続いた。それは何。包帯クラブ。そんなイイもんじゃねーよ。締め付けがあると安心した。それ以上の理由は全く分かんなかったけど今なら分かる気がしてる。っつーか何かの本を読んで分かった気がした。本の名前はまた忘れた。

 

ATフィールドってことさ、いかりや長介くん。

 

自分と世界との境界線。自我。自分を世界から守るための壁。その輪郭作り。

 

例えば激しい運動をすると、汗をかいて蒸発して気化熱が奪われて皮膚がKi/oonと収縮する。体の表面の緊張が高まる。自分の輪郭を意識する。

例えば激しい運動すると背筋だの裏モモだの普段使わないし気にしたこともないような筋肉が張る。自分の輪郭を意識する。

 

見つかりました鷲田清一さんっていう大阪大学の一番エライ人が書いてた話です。

 

例えば酒を飲むと血がグワーッと巡って皮膚の表面を走り抜けるような感覚がある。自分の輪郭を意識する。

女子と裸で抱き合う。興奮して血が海綿体と海綿体以外を巡って皮膚が赤く火照る。自分の輪郭を意識する。

子供があぐらをかいてるオヤジの膝の間に体を潜りこませる。押入れに入ったり小さい穴を見つけて入ったりして遊ぶ。自分の輪郭を意識する。っつーか求める。

輪郭が欲しくて輪郭は自分が世界とは違うと確かめるもので自分が自分であるためのもので自分を攻撃するものから自分を守る囲いで、そんな確認がしたくて僕たちは服を着ます。

こすれるでしょ?皮膚と?縛るでしょ?靴ヒモで?目じゃ確認できない部分も?服が刺激して?脳内のイメージだけじゃ?不安な自分のカタチを?再確認できて安心する?ための服?みたいな?

糸色文寸糸色文寸糸色文寸糸色文寸絶対にアホみたいに軽い体が感じないぐらい軽い服ってとっくの昔に作れるはずなんですよ。マナカナが大学を卒業する時代です。でも、そんな服になんか意味がないから作らない。体表を刺激して体の輪郭を意識させて自分と世界の間にはATフィールドがあると思って安心させてくれない服になんか意味がないんです。

 

僕は靴ヒモをギューギューに縛ってATフィールドを発動させてATフィールドが何なのか分からない人は勝手にGoo-netで検索してほしいんだけどGoo-netで調べたらATはオートマ車のことでした――――――――!!!!!!!!!!!!!

Goo-net以外で検索してほしいんだけどATフィールドを発動させるがために服を着てて僕が守りたかったものは色々あってそのうちの1つが、「アートを解するセンスが全くない」こと。

 


『携帯電話 is クリエイティブ』 (2008年3月号掲載)


モギフォン

 

電波の狭間に生まれた、『携帯電話サティスファイ・カンパニー』。

従来のサービスではカバーできなかった、ケータイの『カユいところ』だけを狙い撃ちいたします。

こちらは…モギフォンです。

 

『圏外からはじめるケータイ入門』をスローガンに、全社員一丸となってお届けしてまいります。

こちらは…モギフォンです。

 

(*会社 朝の風景)

 

おはようございます!モギフォンです。

それでは今朝も、指差しケータイ確認から参りましょう!

 

「ひとーつ! それはあなたのケータイですか?

 ひとーつ! それはあなたのストラップですか?

 ひとーつ! 電源は入っていますか?

 ひとーつ! カメラのレンズに、指紋を押捺していませんか?」

 

以上、きょうも1日、モギフォンを、よろしくおねがいします!

 

(*ニセ提供クレジット) ダウンロード・パケット代・圏外の、モギフォンがお送りします。

 

 

…という番組を2年前ぐらいにやっていたよ茂木淳一さんあの時はありがとう。自分だけで考えて自分だけで作って人の意見とか完無視し続けることの限界はすぐに来てあっという間にモギフォンは倒産して行くあてを失った僕はモンゴルに渡ってチンギス=ハンと名乗ってガバガバ侵略した。または青森に渡ってキリストと名乗って知名度の低さにガバガバ死んでガバガバ墓に入った。またはラスベガスに渡ってセリーヌ・ディオンと名乗って観光客相手にショーやってガバガバ金を稼いだ。最後のガバガバは都市伝説じゃねーだろ。

この番組をやって分かったことは自由と責任はワンセットだってことと1人で背負い込むのは楽しいなってことと1人でやって成功すればするほど1人じゃ何にもできないのを実感するねってことと。


メルマガ『二十一世紀の未読』 2012.12.11

 

「やっぱり、真っ白すぎて怖いですよね。コメントもついてないし」

「世の中、黙って見て黙って帰る人の方が多数だと思いますけどね」

「文字灰色だし、文章も読みにくいし」

「そうですね、でも変えるつもりがないです」

「何かもう少し、明るいコンテンツがあったほうがいいんじゃないですか?」

「何ですか明るいコンテンツって」

「ポップというか怖くないというか、色が欲しい。広告みたいなのでもいいから」

「じゃあ広告でいいんじゃないですか」

「いいんですか広告で」

「中身変えたくないなら、まあしょうがないんじゃないですかねえ」

 

 

一体何がしょうがないと言うのか。ダラダラした会話しやがって。

 


『ギャングスター・プランナー』 (2008年1月号掲載)

 

アシュラマン -三面とも怒り- 


KORAKORAKORA…人はなぜKORAと怒るのか…KORAKORAしたらお父さんにKORAとおKORAれたのが恋空クラスの実話KORAだとしたらKORAは「お前そろそろ俺におKORAれんぞKORA」の意味ということでいいのかよKORA。何でコーラを凍らした程度で怒られなきゃいけないのかビンとか缶が破裂するから!!!!!!!!!!!!!!危ないから!!!!!!!!アナタの体が心配だから!!!!!!!!身の上に心配ある参上するから!!!!!!!!!微妙に球の体積求めようとしてんじゃねーよすいません。取り乱しています取り乱している理由はおKORAれたからです。

幼いころから怒られるのが大嫌いですぐにウソをつく子供でハンパに頭が良かったのでウソがMILKMILK上達してハンパに大人にウソがバレなくなってウソの上にウソを塗り固めて結果どうしようもなくコスい人間に育ってそれでもそこそこ満足しているのはウソのおかげであんまし怒られなかったから。親にバレて怒られたのはタバコぐらいで僕が自室からUFOを目撃してビックリして持ってたタバコを隣の家の庭の鯉飼ってる池にぶち落としたことはバレてないから怒られてない。UFO見たのは恋空クラスの実話ですからね。この話については今度の修学旅行の就寝時間にでもしてあげます。親が僕の生き方について金沢の金箔のごとく薄く薄く叩いて延ばして怒っている可能性は大だけど薄々ならいいやってことにして今は怠惰の鬼となって人付き合いが面倒なのでウソをほとんどつかなくなって人を傷つけても結果人付き合いが減るならそれもよしみたいなクズ人間になったのに、まだまだ人に怒られるのは大嫌い。嫌われてもいいけど怒られるのはイヤ。その瞬間のどうしようもない心の縮みだけ回避したい。

 

箭内さんに怒られました。

 

「ちょっとー!」

「フヒヒヒヒすいませんすいません」

「ラジオと連載で連携取ってこうつったじゃないですかー!」

「フヒヒヒヒ”光”で書いちゃいました」

「フヒヒヒ」

「フヒヒヒ」

「フヒh」ウソです箭内道彦はフヒヒ笑いなんかしません揺りかごから墓場まで。

 

11月号で『風とロックとTシャツSHOP』の話を書き12月号で無(モウ)関係なコトを書き1月号明けましておめでとうございます。別に編集長は怒ってはいないのかもしれないけど僕も今『光』について書いとかないと誰かに書かれると思ったから書いたんだけど僕は怒られると一瞬にして卑屈になって一瞬にして言うことを聞くので一瞬にして言うことを聞きます。




『光 is クリエイティブ』 (2007年12月号掲載)

 

光。

 

もっと…もっと光をぉぉぉ太陽拳!!!!!!!!!!!!!!

みんな――――天津飯がゲーテを殺したよ――――――――――光。世の中が光に近づいてきたのか光が世の中を照らし始めたのか僕がハゲ始めたのかは分かんないけど世の中『光』づいてる気がする。僕自身が『光』づいてる雰囲気は全くないけど世の中が。

 

さっきラジオ『風とロック』の収録が終わってパルプフィクションで人ぶっ殺した直後のギャングが何事もなかったみたいな顔してTシャツとパンツでレストランでくつろぐ的な雰囲気を出してタンクトップとスパッツでくつろいでいたらダンスレッスン中のシブガキ隊と間違われてキャーキャー騒がれはじめたので収録中に着てた服に着替えなおして英和辞典を読んだりしてくつろいでるとくつろぐ気あんのか。なあ。お前。アイドルに気の休まる時なんかないのは分かるけど。なあ。お前。ゴメン呼び捨てして。お前さん。お前さんアイドルじゃないだろうが。しかもシブガキ隊そんなに好きでもなかっただろうが。どうしたんだよ最近。

くつろいでいると久々に顔を見かけた女の子が開口一番(サッポロ)「あれ?最近何かあった?すげーいいオーラが出てるよ」と言われて全く身に覚えがないこともなかったので完全に無表情で「いいことなんかあるワケねーだろアホか」と返答して100回外しても1回当たれば褒めてもらえるジャンルの話ですけど面と向かっていきなり言われるとドビックリトピックス。30分後いつもの机に着席していつもの通り仕事をしていたらその女の子がまた通りがかって「あれ。オーラ消えてる。蛍光灯の下だとオーラないね」光の加減で消滅するオーラなんかあるかい!!!!!!

僕にとっての光エピソードを探してみたけどそんなもんしかなかったので関係あるふうに装って垂れ流してみました。ご不満ですか。護符MANですよね。すいません。お詫びの印に、さっき耳にしたジワジワくるエピソードを。

BLUE MAN GROUPっていう青い顔した3人組いるじゃないですか。オフブロードウェイで生まれて全米とヨーロッパを席巻したっていうアレ。今日本公演やってますけど、そのポスターが某企業のエレベーターの中に掲出されておりまして。そのエレベーターに乗ったらちょうど、その企業の受付嬢2人が休憩なのか上がりなのかは分かんないんだけど乗ってまして。「BLUE MAN GROUPってさー、外人でしょー?(2人爆笑)」って話してました。僕はエレベーターを降りて3分後ぐらいにジワジワきたんですけどダメですかねこの話。受付嬢。

 

 

もっと…もっと光をぉぉぉ太陽拳!!!!!!!

みんな――――――クリリンの太陽拳はゲーテも殺せなかったよ―――――――――光。光は速くてまぶしい。光は1秒間に地球を7周半する。音は時間を感じさせるけど光は速くてまぶしくて人間じゃ時間を感じられない。人間の神経の情報伝達スピードはマックス松浦でも秒速120メートル。秒速30万キロメートルの光に反応できるわけがない。時間を感じられない。時間を感じられないから、『今』を感じるんじゃないでしょうか。『今』は時間の切り口で面積がない。だから。

時代も受付嬢も『リアルタイム』を求めてるような気がする。

 


『Tシャツ is クリエイティブ』 (2007年11月号掲載)

 

バカヤロウ、まだ始まっちゃいねーよ

 

ティーティーティー、ティーティーティー、ティーティーティー、ティーティーティー。ティーティーティー、ティーティーティー、ティーティーティー。これなあに? (正解はこのページのどこかにあるよ!)

 

2年前8ヶ月間やっていたラジオが終わると同時に月刊風とロックが創刊され妹に子供が生まれ花は枯れ鳥は空を捨て人は微笑みをなくして200710月。箭内道彦、土曜深夜130分から再び音の旅。TOKYO FM『風とロック』。久しぶり。あの頃とは箭内さんも変わったし僕も変わったし風とロックも変わったしラジオも変わってますから小汚い部屋着のままで結構ですのでお暇ならY字バランスをバランスボールの上でやりながら一杯やりながら聴いてみてください聴く気あんのかその態度www.tfm.co.jp/kazetorock

正直言うと今回はラジオだとは思ってなくてラジオを作る気はなくて場内放送だと思ってて何の場内放送かというとそれは『風とロック』というテーマパーク。中には服売ってる店があって雑誌があってウェブサイトがあってLIVEがあって真ん中あたりにはクリエイティブエージェンシーがあってそれらは各種アトラクションでもちろんヤナイーマウスという派手な主人公がパークの色んなところで奇声を発していて全力少年たちと全力ゾンビたちが各自好き勝手に走り回って遊んでいる。遊びたい場所で遊んでいただければそれでいいし、全力ゾンビはドタマをショットガンで吹き飛ばせとA・ロメロが言ってるのでそうするんですけど、「あっちで今からパレード始めますよー」「今オモシロ企画やってるんでサイトに集合ー」とか。場内放送ってそういうこと。聞いて反応する人はすればいいし気ままに別のアトラクションで遊んでたい人は遊んでればいい。ラジオ『風とロック』っていうのはそういう場所。場内放送中ヤナイーマウスと僕は常に飲酒してるけどその辺りは夢と魔法に免じて許してください。

 

『ギャングスター・プランナー』『風とロックとTシャツSHOP』『天使のロック』。これが風とロック国民の三大義務としてぶち上げられてギャングスター・プランナーはすげー面白い動きでアッチのサイトを見るか箭内さんの『TVブロス』の連載を読むかラジオ聴くかすれば分かるので興味ある人は参加してほしくて『天使のロック』は正直まだ何にも考えてないので考えてからにしますが『風とロックとTシャツSHOP』。僕がサイト用に書いたテキストを引用(いんにょう)しますね。


SCHOOL OF LOCK! LIVE TOUR “YOUNG FLAG07” REPORT (2007年11月号掲載)

 

07/10/11 @ ZEPP OSAKA

レミオロメン、チャットモンチー、LOST IN TIME

 

『風』

ザワワザワワザワワギュイ―――――ンチャリチャリ――――ンガチョコン!!!!!SCHOOLOF LOCK!ズンタンズンタンズンズンズタンタン旗ブリンブリンブリンスポ―――ン!!!!!イタタタタタタLOST IN TIMEドズ―――――ン海北ヴオオオオオオオオヴオオオオオオオ中学生女子ピック――――――ンでもお構いナシに海北ヴオオオオオオオオオ!!!!チャットモンチースッコ―――――ン!!!!ニャーニャーニャニャー中学生女子キャーキャーキャキャーでズッチーズッチーズッチーズッチーアーアァ?スッコ―――――ン!!!!レミオロメ―――――ン!!!!オッケー!!オッケー!!フヮ?!!!ウラガエーッタ―――――――!!!!!フヮ?!!!ラーラララーララーララーラララ―――――――――アア?ア?ァ?カッカッカカカカッカッカ以上!!!!!!!!!!!!!!!!!

 


『1974年生まれ is クリエイティブ』(2007年10月号掲載)

 

2007年、寅年生まれの運勢

 

今年は大吉。事業面では上昇の機会に恵まれるか良い契約にたどりつく。

財運も旺盛で、普段の収入も、それ以外の収入も増える。

社交的にも良い結果をもたらす。このチャンスを逃さず、大事業などに取り組むべし。

今年は吉星に照らされているが、陰口なども多いので、修養を心がけ、忍耐すべし。

法律上の問題が起きやすい為、法律を守るべし。

感情面では異性の縁が盛んだが、あまり理想な関係にはならないので注意すべし。

孤独感なども味わうが、修行や勉学に打ち込めば、運勢的にも、感情的にも良い結果をもたらす。

健康面では飲食に注意し、食中毒に気をつけるべし。

 

何回べし言うとんじゃブ――――――――――ン…と怒り農薬をヘリで散布していたのは昔の話。今はとろーりマーガリンを塗りたくった紳士の笑顔でこんな占いを見つめているAKB48の左から32番目が僕です。

僕は以前から占いが大嫌いだと言い続けてきてるけどその大嫌い病の根源でもあるのが干支占いなわけで同じ年に生まれたヤツってことはこの学年全員ってことはこのクラス全員ってことか――――!!!!クリリンのことか――――――!!!!違うんじゃないか――――――!!!!あの横分けネガネと貧乏ヤンキーと歯の矯正三つ編みとアイドル顔下半身デブと僕が同じ運勢で1年過ごすわけねーだろーがあいつはモテモテで金持ちでこっちは童貞で下校途中のゲーセン代にも困っててどこがどう同じなんだ!!!答えろトラとかウサギとかヘビ!!!!!!という屈折した中学生プリズムが照らした結果、周囲全員同じ運勢ということに強烈な違和感があり同じ12分割である以上星占いと何にも変わらないという基礎魔法にすら気づかない脳年齢の幼さだったんだけども、今こそ僕は光を当てたいのだ!同じ年に生まれし者たちへ!(暗転)何コレ。声優の舞台か。

 

 


『シェイク is クリエイティブ』 (2007年9月号掲載)

 

No モザイク, No ファンタジー

 

ドリカムはRing! Ring! Ring!をリンリンリンと読ませプリンセスプリンセスはDING DONGをディンドンと読ませ今日から僕はJing-Kengを人権と読ませ!!!

人物像を謎めいたものにすることは一種のファンタジーで僕の担当radio番組の出演者2人は番組開始と同時に顔を公にすることを避け始めたというかそうさせられた。オフィシャルな場所では常にサングラスをかけ放送中に撮られた写真は目にモザイクをかけられてウェブサイトにUPされ顔を守られたというか現在進行形で守られていて「人権がほしい」とボソリと言われたスタート1年半目の春。

顔を隠すのは最悪いいと。番組1周年が過ぎたら顔出ししてもいいという約束を思いっきり無かったことにされたことも最悪良しとすると。リアルを伝えるにはひとつまみのファンタジーが必要なことも理解すると。でも番組企画で4日間連続皇居マラソンやらされたあげく完走のおたけびを爽やかに上げるガッツポーズの顔にも当然モザイクがバッコリかかってどっからどう見ても仮出所中にまたやっちゃったなオレ誰にも止めらんないー!!!な放火魔で「人権がほしい」とボソリと言われた。

顔にモザイクをかけられるのはイヤか。そうか。じゃあどうしたいかアンタたちで考えなさいよ。腕組みをして女のクラス委員のごとく目の前に仁王立ちすると2人はしばらく下を向いて考えた後いきなりブルブルブルブル顔を左右にブルブルブルブル激しくブルブッルブルブル「はい今撮ってください!!」ブルブルブルルブルブルブルブブルブ!!!!!!!This is Jing-KengShake!!!!!!!!!!デジカメの小さなモニターには素晴らしくシェイクされてモザイクの必要ないそれはそれは見事なブレ顔が表示されていて僕はコレならよしと言いながらゲロ吐きそうな顔して突っ伏してる2人を置いてスタジオを後にした。

 


メルマガ『二十一世紀の未読』 2012.12.04


■■ 就職活動の達人 ■■

 

就職活動って12月解禁とかそういうアレなんですね。

就職活動の達人たちとは違って最新情報には当然疎い僕ですが、

僕が就活をしていた太古の昔でもこういうのって有名無実なものでしたので、

ニュースに触れてもイマイチ実感が湧きません。

 

僕の時代、1996年とか97年の就職活動の模様は、今の人たちには全く役に立ちません。

当時は氷河期がまさにスタートした瞬間で、やべーやべーと口では言いつつも、

誰もがバブル期を引きずっていた頃でしたので、

身体は過渡期にありながら、心はバブルへSTAYといった感じでした。

 

当時を思い出してつらつらと書いたことがあります。

就活生のお役には立ちませんがお暇な時にご覧下ればうれしいです。

 

http://blog.magabon.jp/radio/2008/07/post_71.html

http://blog.magabon.jp/radio/2008/07/vol1.html

http://blog.magabon.jp/radio/2008/07/vol2.html

http://blog.magabon.jp/radio/2008/07/vol3.html

http://blog.magabon.jp/radio/2008/07/vol4.html

http://blog.magabon.jp/radio/2008/07/post_73.html

http://blog.magabon.jp/radio/2008/07/vol6.html

http://blog.magabon.jp/radio/2008/07/vol7.html

http://blog.magabon.jp/radio/2008/07/vol8.html

http://blog.magabon.jp/radio/2008/07/vol9.html

http://blog.magabon.jp/radio/2008/07/vol10.html

 

 

僕を褒めないことで有名な箭内さんが、長い文章を一切読まない箭内さんが唯一、

「あれ面白かった」って言ってくれたことでおなじみのシリーズですね()

 

『いつも似たような服 is クリエイティブ』 (2007年8月号掲載)

 

女子大生と女子大生

 

「あいつ」

「まただよ」

「あのチョッキ」

「また着てるよ」

「洗ってんの?」

「それにしても着すぎじゃない?」

「同じの持ってんのか」

「どんだけチョッキ好きなんだよ」

「あいつ、今日のコンパ来るらしいよ」

「何でチョッキ呼んだの」

「話聞かれちゃったから流れで」

「あ、首のトコすっごい掻いてるよ」

「毛が当たってカユイとか見てるだけでむかつく」

「あのチョッキ顔がむかつく」

「あ、ちょっと。チョッキ脱いだよ」

「なーんだ、中にもう1枚チョッキ着てんじゃん」

「ちょっとあんた何でホッとしてんのよ」

「してないわよ」

「したでしょ今」

「してないよ、ただ…チョッキって…ヒジ冷えるなと思って…」

「ねえあんた…まさか、あいつのこと」

「え…」

「チョッキのことを…」

 


『渦巻き is クリエイティブ』 (2007年6月号掲載)

 

巻き

 

もう時効かなーとも思いますんで一番邪魔な時効警察の霧山を殺害した上で時効を待って告白しますと、しょこたんブログに載って僕はコスプレをしてたよ。ハガレンの。羽賀レンタカーじゃなくて鋼の錬金術師の。しょこたんが番組にゲストに来て生放送中に着替えまくって自分のブログにUPしまくるという企画でスタッフも全員コスプレにお出迎えることになって僕もイヤイヤながら当日渡されたロイ=マスタングとやらのコスチュームを着て本来ブーツ的なものを履くべきコスチュームで僕はアホみたいなグリーンと黄色のスニーカーしか持ってなくて結果として下半身は真っ青なスラックスを履いた体育教師みたいになってテンションが四つんばいとなって地べたを這いずったんだけどもしょこたんブログに載ったよ。コスプレに何の興味もなかったけど、やるなら完璧を目指したいと思ったよ。

 

番組終わって残された僕らはアホみたいなコスチュームの上だけ脱いで疲れたホテルマンみたいに片膝立てて座り込んでみたりしたけども、話すこともなくて何となくフェチの話になった。フェチってどこまで行くのかねと。

お前『俺○○フェチ』って言いたいだけちゃうんかと言いたくなるくだらないヤツもいるし、一方では目が今日も明日も見れなくて明後日ばっかり見ている冗談抜きのド変態も確実にいる。上品な雑誌なので書きませんけどヒントは生肉とかです。

フェチってどこまで行くのかな。

そんなことをアホみたいなコスプレしてるアホみたいな分際で考えていたら、知人から袖の下に情報が入った。

 

渦巻きフェチが、いるよ。

 

あぶな――――――――いキキ―――――――ゴゴゴゴ――――――――――記号!!!!!

記号じゃねーか!!!最近は記号にまでフェチの波!!!!!本当か!!!

 

確かに、誰だって渦巻きに目を奪われる人生のある瞬間を過ごしたことがあるだろ。なあ。あるだろ。

栓を抜いて流れていく風呂の湯。ひり出されるソフトクリーム。洗濯機の水が回るのを見つめるのが好きだったヤツもいたな。確かにあったよそんなJEDI。回る回るよJEDIは回るのフレーズが脳内を渦巻いて僕もずいぶんダジャレが達者になってきてオッサン化してきた感があるんだけどフェチとなったら話は別だ。何だ渦巻きフェチって。半永久的に性的に好きなのか。渦巻きが。

10年前に付き合っていた女の名前をついつい検索バーに打ち込んでグゲってみて気持ち悪いコスプレ画像とかがヒットしてガッカリしつつもひょっとしたら本人の成れの果てなのかもしれないと疑う心もあったりしてでもやっぱり違ってちょっと安心して検索を続けるレベルで気になって仕方ないので検索バーに『渦巻き』とぶち込んでグゲってみた。みんなもアグレッシブに使っていきなさいよ『グゲる』。

 

“渦巻きは神であった”(著者:大谷幸市)

 

いいんですかいんですかあっちサイドにいざなわれてもいいんですかー。いざない過ぎだろ。フェチを越えて神のエリアにまで飛んでいってしまいました渦巻き。

 

さらにグゲる。うさんくさいペンダントの通販サイトを発見。こんな歯の治療中のとりあえずの詰め物みたいな素材で38000円。ブラックジャックの歯科医院か。…歯科医院…なんか叫びやすそうな響きだな…すいませんちょっと話を中断して叫んでもいいですか?歯科医―--------------------院グッッッ!!!!!!!

サイトの深い階層まで掘り進んでいくと商品ラインナップの中に渦巻き型のペンダントを発見。商品説明。

 

“こちらのデザインは渦巻きです。”

 

見りゃ分かるな。で?

 

“渦巻きは新しい始まりを意味します。”

 

話飛んだ―――――!!!!鳥人間コンテスト――――――――!!!!!!びわ湖の上を渦巻き鳥がクロニクル―――――――――――――!!!!!

 

雷様。あ、こいつじゃなかった。神様。渦巻きにそんな意味あるんでしたか。僕の知らないどこかの裏側で、渦巻きはそんな地位にまで到達していましたか。何なんでしょう渦巻き。何で僕はこんなに渦巻きに執着しているんでしょうか。自己洗脳?私は彼が好き私は彼が好き私は彼が好き。そう、私は、彼が好き。(←客席を向いて全員で)

 

コツ、コツ、コツ、コツ…(ロビーをゆっくりと歩く音)

いいですかみなさん。僕がこれまでの人生において渦巻きに執着したと断言できるのは、おそらくたったの1回。奥さんそれはいつですか?「え…私に聞かれても…」そう!忘れもしない、3歳か4歳か5歳くらいの頃!真っ白な煙と真っ黒な煙を交互に吐く製紙工場に囲まれたどうしようもない家から初めての引越しを経験した僕は、その新天地でどうしようもなく僕は…奥さん何を目撃したと思いますか?「え…私に聞かれても…」そう!美容院!僕はその時、美容院というものを初めて見た!店の軒先から突き出したあの正方形の看板の中でワケの分からない色の…色の…渦巻きがウノンウノンウノンウノンと渦巻いているのを!!!!!BGM(聖母たちのララバイ) CI≫僕は目を奪われた…目を離せなかった…奥さん、あなたにこの気持ちが分かりますか?「…いえ…全く分かりません…」絵の具全色を混ぜ合わせるとウンコ色になるという伝説を再現するかのように半永久的にうねるウンコ色の渦巻きは一体美容院の何を表現しようとしているのか。理髪店はトリコロールの爽やかポールでスッキリ爽やかなのにも関わらずかつての美容院には必ずあったあのウンコ色渦巻きは一体何を表現しようとしていたのか。幼い僕には理解できなかったし今でも理解できないしむしろ忘れてた。あれは僕にとっての渦巻き原体験か。美容院の看板にエクトプラズムを吸い込まれそうになった僕なりの渦巻きへの復讐なのか。分からない!!あの渦巻きで美容院は何を表現しようとしていたのか!!分からない!!銀河系も渦巻いている!!DNAだって二重螺旋に渦巻いている!!でっかいとこからちっさいとこまで渦巻きってなんですか。なぜ僕はこんなに渦巻きに執着し始めたんでしょうか!!!「え…私に聞かれても…」

 

 


『落書き is クリエイティブ』 (2007年4月号掲載)

 

ラクガッキー

 

絵心がない、という自覚の、なんとほんのりした恥ずかしさであろうか。

 

上半身も下半身も幼きころ、近所の商店街で、お絵かきコンクールが開催されていた。父の日と母の日とヒヒの血とヒヒの歯に(©吉田戦車)。父の絵と母の絵とエエの血とエエの歯を。

On母の日。僕は母の顔を描いた。A賞に入ると商店街で使える500円分のクーポンがもらえたからで当時の僕には500円は大金だった。

モノを描くとき、輪郭を黒でグリグリ描くとダサイ。保育所でのクレヨンお絵かきで唯一得た絵に関する知識をフルパワーで発揮して、色鉛筆の肌色をファーファーシャシャーと走らせ、半透明のオカンを完成させた。別に巧いとは思わん。しかし見よ商店街のオッサンども。このメレンゲのごとく淡いタッチを。良いだろうが。A賞あげたくなるだろうが。

 

B賞でしたB賞とは参加賞のことです。

 

ビビビB、ビビビビBビビなぜだ――――――――――商店街のオッサンども――――――――――――!!!!!あのウスバカゲロウのごとく儚いタッチがなぜ分からんか――――――――――――――!!!!!

 

負けない。商店街のオッサンには負けない。僕は貼り出されたA賞の絵たちを三白眼で眺めた。

A賞の特徴。全体的に荒削りで、なんだったら油性マジックでゴリゴリ濃い目に塗ってあってワイルドスタイル。ゴーギャン的な色味。ゴーギャンって誰だっけ。まあいいや。そうか個人事業主ども。色鉛筆が気に食わんか。見てろ父の日を。

1ヵ月後、僕は父の絵を描き始めた。極太油性マジックを持ち出し黄色がかった肌色であるところの父親の顔色を脳内から廃棄し茶色一色でゴンゴンに塗りたくったそれはそれはハミ出すほどに。そこにはニコリともしないタヒチの松崎しげるがいた。いける。A賞いける。このワイルドチャイルドならぬワイルド茶色。

 

B賞でしたB賞でしたB賞とは参加賞のことなぜだ――――――――――――――商店街のオッサンども――――――――――――!!!!!お前らこういう感じが好きなんじゃねーのか――――――――――――――!!!!!

 

踊らされちまった...商店街に...心を引き裂かれちまった...商店街に...心をなじられちまった...A賞には、淡い淡い色鉛筆タッチのオトンが並んでるじゃないか...なぜなんだよピーピーピー。

B賞の賞品である飴2個を手に膝をついた僕はそのとき気づいた。人の顔色伺って何か創ったってしょうがないということと、僕には絵心がまったくないということを。

 

絵心がない、という自覚は、僕を臆病な漫画の模写に走らせた。

薄いトレースペーパーみたいなのを買ってきてキン肉マンのコミックの上に乗せ、上からラーメンマンやモンゴルマンをそっくりそのままNAZOLだけの毎日。漫画とそっくりに描けたニヤリ。人には見せない。教科書に書き込む落書きにさえ自分の下手を感じ人には見せない。

 

落書きは自分でやりたいときにコソコソっと1人でやってればよくて人に絵を見せるのは絵心ある人だけでよくて。そう思ってた。そして時とともに忘れてた。

 

あれから僕も数々の闘いを経て皇帝にのしあがったり革命にあって首を落とされたりしながら昨年。10代のモデルであり女優であるAちゃんと仕事をすることになって彼女がやってきて最初の打ち合わせをした。仕事内容の打ち合わせなんてたいてい10分以上やる意味がなくて残りの50分くらいはひたすら雑談してたんだけど、プロフィール見たら趣味特技の欄に『イラストを描くこと』と書いてあった。カワイイ新入女性社員を目の前にした時のお局OLのごとき羨望と嫉妬のまなざしを送りつつ、30代が10代に言ってみた。

「イラスト好きなんだー何か描いてみてよ」

「えー何描こうかなー...あ、最近開発したニューキャラ描く」

ピンポーン。寺井さーん。お届けものでーす。ピンポーン。ピンポピーンポーン。寺井さーん。お留守ですかー。寺井留守...と。公衆の面前でイラストを描くことに何のてらいも無く彼女はかわいらしい生物を沙羅沙羅と描き始めた。ええのー絵が上手いって。僕の目が蛇女のようになりまぶたが横から激しく開閉するのを確認したのかしないのか、彼女は少し照れくさそうに続けた。

「イラストって言っても落書きですけどね。好きな落書きを最近お仕事で描かせてもらえることが多くてうれしい」

細胞膜に包まってー3分間で40!!!!!!!!!!!!!!!

MY HISTORY OF ド下手落書きが完全フラッシュバック!!!!!!!イラストならまだしも落書きと認識していながら朗らかに描き人に見せる彼女の微笑みのなんと穢れなき琴代ちゃん!!!彼女の名前は琴代ではありません!!!

 


『谷 is クリエイティブ』 (2007年3月号掲載)

 

谷人生

 

(゚谷゚;){こんにちは。

名は体を現してみましたが僕の名前は谷じゃありませんでした。

(゚山本゚;){こんにちは。

もう元々何をしたかったのか全く思い出せなくなってしまいましたこんにちは。

人生には角度はともかく傾斜がついていて高尾山の頂上でビールを飲んだりする程度のどーでもいいピークがあるかと思えばアスリートが最近着ている気持ち悪いツルテカ肌着のごとくつかみどころのない斜面もあって山と谷は同じ意味だったりして。

要は谷を山と思えるかどうかであり山があったってことは谷があったってことで。

 

谷谷谷谷言ってますが産気づいたんです間違えました気づいたんです。

20057月号で僕は『シンメトリーisクリエイティブ』的なモノを書いたんだけどもそれは左右対称な名前の人は昔から縁起のいい名前であると同時にクリエイティブだという内容。しかも裏表のないある種真っ直ぐなクリエイティビティを持っているんだという内容。内容に深みがねーなーと。裏表がないとか。裏がないやつは表もねーんだよto昔俺(カブリオレの発音で)!!!!!

そんなことを考え始めると夜も眠れなくなって羊を数えようとしたら僕の脳内の羊の形はアルパカみたいに気持ち悪く首が長くて柵を越えずに静かに群れ成してこちらへと向かってきたので1頭ずつ横っ面を張っていたらいつの間にか朝で寝れなかったのかと思ったら全部夢だったので結局寝ていたんですけども。

左右対称文字の中で、1つどうにも気になっている文字があってそれはtany!!!!!!!

田だと? 間抜けに区切りやがって!! 本だ?! 不安定なんだよ立ち姿が!!

これからの時代は谷!!谷という人生を知り尽くしたような文字が左右対称界を仕切っていくのは谷!!文章崩壊すらいとわず谷だ!!!!

谷という文字が名前にあれば、そいつはもう無条件でクリエイティブ!!表裏がないだけでなく味わい深さまで兼ね備えたクリエイター!!字を良く見てると何か困ったような寂しいような顔してるしほっとけないし!!

 




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