まだまだ続く月刊風とロックの”ラスト・フレンズ”特集、続いての登場は小倉友彦を演じる、俳優でもありラジオ『SCHOOL OF LOCK!』の”やましげ校長”でもある俳優の山崎樹範さんです!!ヤッター!!!

 

や:山崎樹範  ヨ:山本佳宏

 

 

 

山崎樹範とラスト・フレンズ

 

や「…ノープラン(笑)」

ヨ「ノープラン。何話しましょっか」

や「何話します?」

ヨ「でもまあ、一応この号は仮初めにもドラマ特集的なことでやってるわけじゃないですか」

や「全然違う話をしてもかまわないと思いますけどねー」

ヨ「はあ」

や「ドラマのことは何だかんだで向こうの3人が話すんでしょ?」

ヨ「シェアハウスに住んでるのは5人?」

や「5人ですね」

ヨ「そのうちの4人とぶっちぎりで年の差があるのは校長じゃないですか(筆者註:僕はやましげさんのことを校長と呼んでます)」

や「ノリの若さについていけない時が多々あります」

ヨ「まさみちゃんはハタチ。瑛太くんでも25とかですか…ウワーそれでも9歳差。ノリ違いますか」

や「はしゃいだ瞬間に、パワーの差が…」

ヨ「(笑) 勢いが違うってことですか?」

や「例えば、劇団ひとりさんのDVDをみんなで観てて…」

ヨ「空き時間とかに」

や「瑛太くんもまさみちゃんも(上野)樹里ちゃんも見てて…ボクシングやってるキャラがあるんですよ。『ケンカしよーぜー。ケンカしよーぜー。ア゛ァ゛ーン??!!』みたいなコト言う…」

ヨ「あるあるある。知ってます」

や「そのア゛ァ゛ーン??!!がすっげー流行って、みんなで何かっつーとやるんですけど、どーしても、そこまでホンイキでは上げらんないっていう…」

ヨ「ハタチぐらいって、何かを見て面白いと思ったら、延々と本気でマネし続けますよね」

や「はい。でもそれって、こっちからすると、もうやっちゃいけないじゃないですか(笑) それ、まんまやっちゃうのは、もう恥ずかしいんだよ正直、っていうね」

ヨ「分かる分かる」

や「で、オリジナルでやり始めるんですよみんな。『ワニと戦ったらどうする?』『クマと戦ったらどうする?』みたいな無茶振りを、『なんか武勇伝、あるんでしょ?』みたいな感じでお互いに振り出すんですよ。それで、『口に手をガーッと突っ込んで…ア゛ァ゛ー??!!…って抜くんだよ!!』みたいなことをね」

ヨ「やったりするんだ」

や「でも何となく誰かがつまづいたら、回しみたいなことをやっちゃうワケですよ。『で、次どうなったの?』みたいな」

ヨ「あー…オトナだなー…」

や「で、自分の番が来ちゃうんですよ……すっげーテンパる」

ヨ「(爆笑)」

や「まったく面白いことができない(笑) ドキドキしちゃって」

ヨ「ええ?!」

や「みんなのほうがよっぽど面白い。誰が見ても、他の4人のほうが面白いって言うと思う。客観的評価」

ヨ「ええー…」

や「だって純粋に楽しんでるから、面白いんです。何言っても楽しいじゃないですか、そういう雰囲気の中だと」

ヨ「楽しいですね」

や「本気で楽しんでれば。でも、その中で、どっか『がんばらなきゃ』みたいなのが1人だけあるから、『…何かゴメンね、ちょっと今のはアレだったね…』みたいな瞬間があります」

ヨ「その辺の受け入れはどうなんすか?他の4人の」

や「みんな役者さんなんで、そういうのは、結構サラっと忘れるんです。次に行くんです。そういうときに、『ああ、俺って、このメンバーと…』みたいな」

ヨ「楽しめてないんじゃないのか、と」

や「……俺、こんなこと(この雑誌に)書かれて、どうしよう」

ヨ「大丈夫大丈夫」

や「…(テンションの違いを)向こうはどう思ってるんだろー…と思ってね」

ヨ「確かに。多分この号に、3人のインタビューも載るはずですけど」

や「多分、心底面白い人だとは思ってないと思うんですよね」

ヨ「(爆笑)」

や「………あ、地震だ」

ヨ「ホントだ………結構デカイ…」

 

(2人で地震速報を見に行ってインタビュー中断)



 

ヨ「あのー…映画とかドラマとかで地震を題材にしたものはあるじゃないですか」

や「うん」

ヨ「震度2ぐらいの地震が意味もなくあるドラマって、ないですね」

や「ないですね…その先にドラマがないからじゃないですか?(笑)」

ヨ「はい(笑) 普通ちっちゃい地震とか時々あんだろーが、みたいなことをたまに観てて思うんですよね」

や「意味もなくそういうシーンを入れるってことでしょ?リアルではあるから」

ヨ「そうなんです。そうなんですけど、そんなこと言い出したらキリがないんで、結局やんないほうがいいんですけどね」

や「でもドラマの矛盾は、やっぱ色々ありますよ。何でこんなにいっつもタイミングよく全員集まるんだろう?みたいな。『おっはよー』『あ、おはよー!』って5人揃ったり。え?この時間に集合だった?みたいなね(笑)」

ヨ「でも、そっちのほうが、リアル追求するよりも気持ちいいのかもしんないですね。偶然全員いたとか、ちょうど電話かかってきたとか、ホントはないけど、そっちのほうがキモチイイことはあるじゃないですか、きっと。ドラマ観てると」

や「運命の出会いが、すっごいありますからね(笑) 今日も遊園地のシーンで、瑛太くんがトラウマになってるお姉さんとの関係が描かれるんですけど、『遊園地のチケット6枚当たったからみんなで行こうよー』つってみんなで行くと、そこにお姉さんがいるんです、子供連れて。奇跡ですよ!!」

ヨ「まあまあまあ。逆に言えば、それぐらいの奇跡を起こし続ける6人だからこそ、ドラマにされたんだと。そういうことじゃないっすか?」

や「…確かに!!…そっか、彼らの日常には奇跡があふれている」

ヨ「だからドラマになったわけで(笑)」

や「なりえたなーそれ…」

ヨ「どっちがいいんですかね。僕みたいなヒネくれた見方をする人もいるじゃないですか。そんなんないわーみたいな。でもそれをリアルで全部つぶしていったら…」

や「何にも起こんなくなっちゃう」

ヨ「13話で誰かをちょっと好きになって終わり」

や「そんな長々とやる必要あった?みたいな(笑)」

ヨ「…(ドラマの演技は)キャッチーで分かりやすくてベタだと言われたりして、人間の本当の表現はそんなんじゃないはずだとか言う人もいると思うんですけど、ここ数年すごい思ったのは、人間て日常生活の中でめちゃめちゃ追い込まれたら、ものすごいベタなことをするな、っていう場面にいっぱい出くわして。もうそれドラマそのものじゃん、みたいな。それこそ、命ギリギリの震災の中とかで、発言とか行動とかが、それこそドベタなんですよ」

や「そうかもしんない」

ヨ「舞台で下手に走ってハケかけて、でも心残りがあって突然立ち止まって、しばし間があって、肩から振り返ってカッコイイ一言、みたいな。もう平気でそんなんばっかなんですよ。ええええええ????!!!!と思って。人間って追い込まれたらベタなんだなーと思い始めたらワケ分かんなくなっちゃって」

や「そうなんですよ。やたらリアリティとか考えてたこともあったけど。全部、”リアル”じゃないですか。少なくとも脚本を書いた人間がいるっていう時点で”リアル”なわけだし」

ヨ「それがこの世に発生した時点でね」

や「そうなってくると、リアルの押し付け合いになってもしょーがないわけだし…」

ヨ「作家がそう思って書いて、演出がそう思って演技つけて、演者がそう思って演じたら、それはもう”リアル”でいいんじゃないの、っていう。だから、表現の仕方が違う!…みたいなのは、もういいんじゃないの?と思って」

や「だから、ホントに上手い演出家とかは、時間かけて役者が納得いくようにしますよね。話し合った結果、そこに行くこともあるし、そこに行かないこともあるけど、みんながコレだって納得してそこに向かうようにするっていうね。腹の中ではどう思ってんのかは知らないけど」

ヨ「気持ち悪いまま走りたくはないですよね」

や「まあでも、役者が1番バカだと思いますよ」

 

 

 

山崎樹範と役者

 

や「僕ホント、昔からずーっと世界に戦争があるのは自分のせいだと思ってた」

ヨ「(笑) その結果どういう行動をすればいいんだよ!」

や「もう神になるしかないと思ってたんです当時」

ヨ「あ、もう真上に上がってくしかないと」

や「統一しようと思ってた」

ヨ「地球を!(笑)」

や「本気で、キリストとか仏のとこまで行かないといけないと思ってた。誰かがどこかで殺し合ってるのは俺のせいって」

ヨ「どういう順番でその考え方になったんだろうなー…」

や「けっこう若い頃から思ってたんですよ。身の周りで起こることに対して、いちいちワーって反応してたときに、それを輪でくるんでいくと、どこかでそれが『世界』につながってしまったんだと思います」

ヨ「輪がどんどんデカくなっちゃって(笑)」

や「そんな責任感で、仕事でもいたいけど、どんだけ人に介入できるかっていうことになってきますよね。納得行ってないところとか人の演技でもあったりして、でも相手に『そこさぁ!』って言うのも、難しいんですよね。…役の優劣なんですよ。メインの人がやるべきことだったりとか…俺の気持ちを押し付けてもしょーがないことも多々あって。そんときに、『うわ…無力』って思いますね」

ヨ「割り切ってるんですか?」

や「監督でもないし、プロデューサーでもないし、その役でもない人が、それを言うのはマナー違反な気がするんです。もし俺が言われて思ってることと違ってたら、『いやそれは違うよ』って言っちゃうと思うし」

ヨ「今回は、みんな年下だし…押し付けてしまうかも、ってこともありますか」

や「いや、今回のみんなは、すげー考えてる。僕はなるべく、バランスのほうにいる役で、重い役に対して常に逆サイドのポジション取りをしていくのが仕事だから。そのメインの重い役を立たせるために逆サイドにいて距離をとったほうが差が出るから」

ヨ「相手の役の場所をイジるっていうことじゃなくて、相手がまずあってバランスとか距離を取っていくのが仕事だと」

や「まあ、子供の頃からそういう人間だったんですけど」

ヨ「みんな大なり小なりそういう経験はしたことあると思いますけどね」

や「それのプロフェッショナル版というか…そういう仕事を求められてる気がする」

ヨ「決まった役を続けると、キャラがついちゃうこともあるじゃないですか。このバランスを取る仕事のオファーがあり続けるっていうのも、キャラってことですか」

や「キャラですね。自分の生きてきた証が、そこなんでしょうね」

ヨ「仕事として、じゃなく、生きてきた証」

や「だからホントに、偉くなりたいと思ってます、ずっと」

ヨ「え、それは社会的地位ってこと?」

や「いや、役者のポジションとして柱のところにいる、っていう」

ヨ「年取っても、あんまり好きなこととかやりたいこととか変わんないっていうか…やりたいけどやれないことがどんどん溜まっていくじゃないですか。それの連続で生きてきてたりしてて、偉くなると、止められずにできるでしょ。コレがいいんじゃねーかと思ってることが、20代の間はずっと無視されたり拒否されたりして止まったりしてたことが、偉くなると、こうやりたいんだけど、って言ったら止める人いないじゃないですか。で、結果実現します、みたいな。そういう意味で、偉くなるのって楽しいですよね」

や「ホントそう思います。責任でっかいほうが、絶対に楽しいから」

ヨ「こんなガキみたいな夢も、偉くなったら実現できるのか!!…みたいな瞬間も、30代になったらボチボチ出てきますよね」

や「でも、僕、欲深いから。スケールを落とせば、夢って実現できるじゃないですか。『じゃ、この夢は舞台で』とか」

ヨ「100人ぐらいのハコで、みたいな(笑)」

や「そういうのは全く楽しくないからやりたいと思わない(笑)」

ヨ「実現可能な落としどころは狙いたくないってことですか」

や「一度、大きいところを見ちゃってるわけだしね」

ヨ「落としどころを探してる時点で勢い失ってますもんね。楽しみも減ってる」

や「こういうのは先輩には絶対言えないけど、舞台の人とかで、映像では名バイプレーヤー、舞台ではスゴイ人って人…やっぱ彼は舞台ではスゴイよねって人、『やっぱ俺は舞台。テレビなんか…』みたいな感じの人も大勢いるけど、そういうのもちょっと違うなと思って。でもテレビでやれたらやるでしょ、っていうね。舞台だったら…っていうの、ちょっとありません?って思う。こんなこと言ったらホントにぶっ飛ばされるけど」

ヨ「いや、キモチの中で100そうだったら全然いいと思うんですよ。俺は舞台大好きで、この位置で一生やっていきたい、楽しくてしょーがないって人もいっぱいいると思うし、それだったら全然いいんですけど、もし言い訳にしてるんだったら、それのハケ口として他人を否定すんのはやめろよな、みたいなのはありますけどね」

や「ちょっとでも、映像でもそうでありたいんだっていう欲があるんなら、そこで頑張るべきだって思っちゃうんですよね。映画だったらできたりもすると思うんです。出会いさえあれば。まあ、そんな出会いもないような人間が何言ってんだって話なんですけど(笑) おめーがやってねーだろこのやろーっていうね(笑) やっと出たパルコ劇場でも4番手だったじゃねーかこのやろーっていう(笑)」

ヨ「パルコ劇場懐かしい(笑)」

や「映画も主役ねーだろーっていうね…そういうとこからやってけよって話なんですけど(笑)」

ヨ「お前の落としどころはどこなんだよ!…っていうね」

や「一個も落ちてねーぞー(笑)」

ヨ「いやー、でも俺らの楽しみはこれからですよ、きっと。これからだと思うなー…多分やりたいことがどんどん実現できる年齢…年齢じゃないけど時期にさしかかると思うんで。お楽しみは、これから」

や「そうは言ってもね、ラジオでは主役やらしてもらってますんで(笑)」

ヨ「そうなんですよ。僕も結局、木曜22時のラスト・フレンズを1回も生で見たことがないっていうね(筆者註:SCHOOL OF LOCK!は月曜から金曜22時からの生放送です)」

や「家のDVD、録画の仕方が分かんないから、ずっとケータイで本番前にラジオのスタジオのすみっこに置いて、マイクチェックする前に録画を押して、23時台の頭が終わったら、停止押して(笑) 何となく家のベッドでケータイの録画したやつ眺めて、次の日大体ロケあるから。」

ヨ「ワンセグのちっちゃい画面で(笑) 雰囲気モノじゃねーか(笑)」

 

 

 

山崎樹範とロックと中3 

 

ヨ「校長、ロックな人間じゃないでしょ」

や「僕はロックな人間ではないですよ、全く」

ヨ「…あれ?尾崎豊ってロックですか?……ロックか」

や「僕はフォークだと思ってますけど」

ヨ「でもまあ、多分あの時代のロック…フォーク・ロック?わかんないけど。半分尾崎、残りは浜省?」

や「浜省はそんなに」

ヨ「あ、そっすか」

や「浜省と佐野元春は、スパイス」

ヨ「(笑) ふりかけですか」

や「あとは…がっつりハマった音楽は、エコーズ」

ヨ「尾崎のちょいあとですか」

や「あとですね。やっぱし音楽のファーストインパクトは、尾崎だから。あとは、なぜか種ともこ(笑)」

ヨ「当時だったら、聴くもの何でも好きになっちゃいますもんね」

や「ただ、僕は尾崎の3枚目なんです。アルバム(筆者註:『壊れた扉から』)。1番名曲がないと言われる。みんながカラオケで歌うような曲が入ってない3枚目」

ヨ「それがファーストインパクト?いつぐらいですか?」

や「中3です」

ヨ「おおお来た中3!!!! 最近すごい箭内さんが言ってんのは、『人生中3で終了説』っていうので。人間は中3の卒業式で人生を終了して、そこからは全部アンコールですって。そこまでの体験、見たこと感じたことを引きずったり証明しようとしたり実現しようとしたり、逃げたり否定したりして残りの人生を生きていく。結局軸が…」

や「中3」

ヨ「そういう意味で終了してるんじゃねーのかつってるんですけど」

や「俺の地元は、同中で結婚したヤツすげー多いです!」

ヨ「ある意味ホントの終了じゃねーか(笑)」

や「悲しくなるんすけどたまに(笑)」

ヨ「ほぼ同じチームで生活してるんですねー…」

や「…でも確かにそれはあるかもしれない。ホントに中3の尾崎のインパクトは、”ドーナツ・ショップ”とか”米軍キャンプ”とか、みんなが知らないような曲が入ってる、3枚目なんですけど…でも、そんなぐらいなのが、今の自分の理想なのかもしんない」

ヨ「え、どういうことすか」

や「何かこの…華やかな『暴れる』とかじゃないんです、3枚目(笑)」

ヨ「(笑)」

や「夜の校舎の窓ガラスを叩き割るような感じが1発目だったら、正直そんなに食いついたかどうか自信ないです」

ヨ「あー…割ってはいけないと」

や「割らない人間はどうすんの?みたいな」

ヨ「それを最初に聞いてたら違ったのかも」

や「だから、どっかでそこを求めてるっていうか…人生で表現の1番好きなとこが…」

ヨ「尾崎の3枚目」

や「そう!今すごくそう思った」

ヨ「そうかも。それがまた、最初に聴いたのが1枚目だったら、ゴロっと変わってたかもしれないですよね」

や「うん。バイクを盗んだり(笑) 窓ガラスを割ったり(笑) 先生に噛み付いたりするっていうのを理想に置いてたかもしれない。中3の僕にはできなかったと思うけど。そんな急に変われないから」

ヨ「いやできないですよー。でも、今、自分にとっての…」

や「それを表現の理想にして実現しようとしてたかもしんない。それこそギターを持つとか」

ヨ「そうですよ。そこまで尾崎にハマりながらギターをやんなかったっていうのは…あれ?珍しいのかな?尾崎にハマってギターをやんない人」

や「尾崎聴いてギターを始める人は多かったと思いますけどね」

ヨ「でも始めない、ってとこがまた…『3枚目チョイス』」

や「そう。”やりたいけどできない”っていうジレンマの中に、常にいたいんだと思います」

ヨ「『あー!やっちゃったー!!』みたいなとこまでは、実はそんなに欲してない」

や「あのー、バットを持って振り上げるまではいいんです。でもそのバットは、下ろさなきゃいけない(笑)」

ヨ「それで完成ってことですよね。『バット振り上げて下ろす』でワンセット(笑)」

や「そうそう(笑)」

ヨ「じゃあ3枚目は、尾崎的には『斜に構えてる』っていうか…『失望してる』みたいな感じなんすか、やっぱし」

や「わりと…アンニュイな感じは出てますね」

ヨ「やれやれだぜ、みたいな?」

や「うん…なんか、事実を事実として受け止めていく、みたいな」

ヨ「でもそれはきっと、今の校長の、根幹ですよ」

や「いやそうだよ。変わってないもんホントに(笑)」

ヨ「(笑) いやー…きっとそうだよ…」

や「僕は周りに助けられてると思うんです。僕は正直ホントに薄っぺらいし空っぽだと思うんです。何かに対して強く思うことなんてほんと少なくて、それは恋愛に対してもそうかもしれない。激しい恋愛はしてきてるんだけど、それは単に相手が激しかっただけで」

ヨ「リアクションとして激しい、みたいな」

や「じゃないと、感情が動かないんですよ、自分自身の。そのために、そういう人と一緒にいたり」

ヨ「無意識にそういう相手を選んじゃったりするんですかね」

や「で、結果こういう仕事を選んだりもしてるのかもしれない」

ヨ「あー…そういう人と出会うときは、楽しかったり幸せだったりするんですか」

や「無理からです。無理から動かされてる感じです。でも、それがなかったら、自分っていう生命体としての動きが止まるっていう危機感だけはある。だから芝居してるんだろうし」

ヨ「なるほどー…最初のきっかけの人がいないと、パチっとOFFになっちゃうってことですか」

や「OFFになることなんか多々ありますもん僕」

ヨ「そりゃそうですよ。そのほうが永遠に飽きないですよきっと。天才じゃない限り、自分だけのガソリン燃やし続けたら、燃え尽きて終わっちゃいますから」

や「だから僕、何かを生み出せないんですよね。曲を作れないとか。歌詞を書いてみようかなっていう気が何度か起きてるんですけど、書けないですもん。原稿とかも締め切りがあるから書いたりしますけど」

ヨ「分かる。じゃあ例えば押しの強い人とかに、『やましげさん、今月中にメガネの歌1曲書いてくださいよ』とか言われたら……」

や「……また地震だ」

ヨ「……ホントだ」

や「ちょっとさっきよりデカイ」

ヨ「…でけえ!!」

 

(また地震速報を2人で見に行ってインタビュー中断)

 

や「…去年、100キロマラソンやったじゃないですか僕(笑)」

ヨ「やりましたね(笑)」

や「i-podを持ってったんですよ、その時。で、RADWIMPSとマキシマム・ザ・ホルモンとコブクロと、あと何かビジュアル系…その4つしか入ってなくて、22時間半走ってたんで、伴走者がいない間はずっと聴いてたんですけど……RADの体への入り方が尋常じゃなかったですね…自分とのシンクロ率がハンパじゃなかったです。時とか速度とか疲れとかを全部忘れる音でした」

ヨ「それはすげー説得力のある話だなー…」

や「RADの曲を聴いてる5分間は、苦じゃない」

ヨ「…長澤まさみちゃん、RAD好きなんでしょ?」

や「うん。この前もマネージャーさん、スプリングロールのTシャツ着てた」

ヨ「RADのツアーTシャツね…RADについて何かしゃべったりするんですか?」

や「ちょろっと。この前、(ギターボーカルの野田)洋次郎くんからメール来たよっていう自慢話をしたんですけど、『いいな』ってヒトコト言われて終わりました」

ヨ「(爆笑)」

 

 

 

山崎樹範とキミと僕

 

ヨ「いつの間にか、テープの残り時間が1分になってしまいました(笑)」

や「雑談をしてる間に(笑)」

ヨ「あのー…最近はあんましやってないですけど、月刊風とロックの巻頭特集の人たちって、『NO ○○, NO LIFE.』みたいなの言わされるんですよ箭内さんに」

や「え?! あと1分でそれやんの?!(笑)」

ヨ「1分で(笑)」

や「LIFEの部分変えてもいいんでしょ?」『NO箸, NOゴハン.』みたいな、お箸なかったらご飯食べれませんみたいな感じでも」

ヨ「全然いいっすよ」

や「えー…なんだろうなー…”他者がなければ自分がない”」

ヨ「…あらっ!!!! “NO アナタ, NO ボク.”ってことですか?!」

や「”NO 他人(ヒト), NO 自分.”ですね」

ヨ「はぁー…」

や「何すか?」

ヨ「いや、俺とほぼ一緒です、それ」

や「確認なんすよ、結局。誰かに自分を…」

 

(テープ終了)

 

 

 

 

山崎樹範: 俳優。1974東京都足立区生まれ。 劇団『カムカムミニキーナ』の舞台を始め、TVドラマ、映画などでも活躍。主なTVドラマ出演作は、『天体観測』(CX)、『Dr.コトー診療所』(CX)、『電車男』(CX)、『プロポーズ大作戦』(CX)など。現在木曜22時からフジテレビ系列で放送中の『ラスト・フレンズ』に出演。 “やましげ校長”としてパーソナリティを務める、TOKYO FM系列全国ネットラジオ『SCHOOL OF LOCK!』は、第3回日本放送文化大賞グランプリ受賞。