財布がない。
小銭入れはある、鍵もケータイもある、財布がない。
数時間前、家に帰ってきたときに手に財布を持っていたのは間違いなく覚えている。つまり僕はこの部屋で財布をなくした。
ファラオの棺桶程度の広さしかない空間でそれは消え、僕は真ん中に立って首を少しだけ左右に動かし、少し膝を折って床に置かれたカバンを動かしてみることもしない。なぜなら僕はいらだっているからだ。
財布がない。
小銭入れはある、鍵もケータイもある、財布がない。
数時間前、家に帰ってきたときに手に財布を持っていたのは間違いなく覚えている。つまり僕はこの部屋で財布をなくした。
ファラオの棺桶程度の広さしかない空間でそれは消え、僕は真ん中に立って首を少しだけ左右に動かし、少し膝を折って床に置かれたカバンを動かしてみることもしない。なぜなら僕はいらだっているからだ。
どうでも良い自分語りをしてみたものの、結局のところは僕が、「道具を上手に操る」スポーツが下手くそだから嫌いであるという、実は酸っぱいブドウ的な結論なのかもしれません。
身長と同じほどもある板を足に付けたり、せっかく平らな靴の底に鋭い刃を付けたりして、自分をわざわざ不自由な状態に縛る競技が苦手。下手。楽しくない。華麗に操れる気が全くしない。
野球についても、といっても野球なんて小学生の頃の遊び以外でやったことないですが、投げるのは好きです、楽しいです。が、バットを持って打つほうについては全く自信がありません。子供の遊び的に手打ち野球だったら手のひらでパチコーンとヒット打つ自信あるんですけどねえ、バットには基本当たりません。
先日、ちょっとしたお仕事でスタジオを借りたんですけど、何ていうんですか、映画とか広告とかで使うような立派な箱のスタジオではなくて、マンションの一室を改造したような狭いスタジオ。
和室があってその隣はお姫様の部屋で、反対側の壁は古い洋館みたいな感じで階段は骸骨転がってる洞窟みたいな。狭い中に色々頑張って詰め込んであります。
で、僕は和室を使いたくて色々探してもらっていたんですが、なかなかイメージに合うのがありませんでした。和室スタジオって基本的には良い具合の侘び寂びを演出した、枯れた感じのところが多くて、僕が望む、大奥みたいな感じのド派手なのはあまりありません。少ない予算でそんなもん希望すんなよって話かもしれませんけど。
で、「こんなところはどうでしょうか」という候補で冒頭のスタジオを挙げて頂きまして、ここいいじゃないですか、他になさそうだしここにしましょうということになりました。