山本山本佳宏 yanmo.jp

二十一世紀の未読(メルマガ)


加湿電気ヒーターと言うんでしょうか。

トイレへの通りすがりにチラと目を遣ると上面にうっすらとホコリが乗っていまして、僕は目の前のことしか考えられないバカですので、気まぐれなやる気が芽生えて、ウェットティッシュを持って来て拭きはじめてしまいました。


ちょい開け


ドアが半開きになっていると、霊が隙間から覗きますよ的な話は良く聞きますけども。オトナイさんって言うんですか?

 

僕はわりと積極的にドアを少し開けてしまうタイプです。

引き戸もそうですしノブを回すドアもそうです。すーっと閉めて行き、すっと少し隙間を開けて手を放す。よしっ。よしやあらへん。閉めろと。最後まで。

 


ヤダフのばか


僕のような腐れ外道であっても自らのiPhoneには『LINE』がインストールされていたりして大変お恥ずかしい限りなんですが、そこはやはりアレでございまして、インストールしてはいるものの誰かからメッセージが飛んでくることなど滅多にございません。

LINE』は、かつてケータイの番号を交換させて頂いた皆様は有無を言わさず「ともだち」として自動登録されてしまいますので、名前だけはズラズラと並びながらもピクリとも震えない、電話帳以下の存在となっております。

使わないんなら削除してしまえばいいんですのに、並んだ名前を見つめながら、僕もかつてはまがいなりにも人とのつながりがあったのだと懐古したいのでしょう、下品な感情です。


財布よ


財布がない。

 

小銭入れはある、鍵もケータイもある、財布がない。

数時間前、家に帰ってきたときに手に財布を持っていたのは間違いなく覚えている。つまり僕はこの部屋で財布をなくした。

 

ファラオの棺桶程度の広さしかない空間でそれは消え、僕は真ん中に立って首を少しだけ左右に動かし、少し膝を折って床に置かれたカバンを動かしてみることもしない。なぜなら僕はいらだっているからだ。

 


松茸とご飯


どうでも良い自分語りをしてみたものの、結局のところは僕が、「道具を上手に操る」スポーツが下手くそだから嫌いであるという、実は酸っぱいブドウ的な結論なのかもしれません。

身長と同じほどもある板を足に付けたり、せっかく平らな靴の底に鋭い刃を付けたりして、自分をわざわざ不自由な状態に縛る競技が苦手。下手。楽しくない。華麗に操れる気が全くしない。

野球についても、といっても野球なんて小学生の頃の遊び以外でやったことないですが、投げるのは好きです、楽しいです。が、バットを持って打つほうについては全く自信がありません。子供の遊び的に手打ち野球だったら手のひらでパチコーンとヒット打つ自信あるんですけどねえ、バットには基本当たりません。


業界用語撲滅運動


先日、ちょっとしたお仕事でスタジオを借りたんですけど、何ていうんですか、映画とか広告とかで使うような立派な箱のスタジオではなくて、マンションの一室を改造したような狭いスタジオ。

和室があってその隣はお姫様の部屋で、反対側の壁は古い洋館みたいな感じで階段は骸骨転がってる洞窟みたいな。狭い中に色々頑張って詰め込んであります。

 

で、僕は和室を使いたくて色々探してもらっていたんですが、なかなかイメージに合うのがありませんでした。和室スタジオって基本的には良い具合の侘び寂びを演出した、枯れた感じのところが多くて、僕が望む、大奥みたいな感じのド派手なのはあまりありません。少ない予算でそんなもん希望すんなよって話かもしれませんけど。

で、「こんなところはどうでしょうか」という候補で冒頭のスタジオを挙げて頂きまして、ここいいじゃないですか、他になさそうだしここにしましょうということになりました。


シックスセンスはブルースウィリスも途中から実は幽霊


街ですれ違う人はかなりの割合で僕をチラ見します、正確に言えば僕の髪の辺りをチラ見します。

 

これは当然僕がかっこいいからではありませんで単に髪の毛の色が変だからなんですが、人から見られるのが苦手なもので、「いやいや金髪なんか今日日、掃いて捨てるほどおるやろ、何が珍しいねん見るな見るな」と理不尽なことを思ったりしてしまいます。しかしよくよく考えてみれば、珍しいから見るのではなくて、いい年こいた男が下品なオカマみたいな汚い身なりをしているから、眉を顰める意味で見ているんですよね、きっと。

 

金髪やめればええがなという話はともかく見られるんですがチラ見です一般的には。それが齢を重ねるごとにチラ見ができなくなるのかしなくなるのかは分かりませんが、ジーっと、見るようになる。

サッと見てサッとやめる、みたいな反射神経が鈍っているのか、お前何見とんねんコラと因縁をつけられる危険察知能力が鈍くなっているのかマジマジと、赤の他人である僕を見つめてきます。アホなんでしょうか。

 


サッカー(後編)

 

入学と同時にJリーグが開幕することもあり、同期の中では、「誰がどのチームを応援するか」の会議が行われました。いわゆる、『推し』を決める会議です。

現在のような、地域密着型の地道なクラブ運営とは違って、当時はバブルの最後っ屁とばかりに、いかにも代理店型のイベント花火が上がり、彼らも当然、その花火に乗せられました。地元のチームを応援しなければならないという気分には全くなりませんでした。

 


サッカー(中編)

 

毎学期末に、校内大会というものが開催されます。学年ごとに、クラス対抗でサッカーとバレーボールのトーナメント戦を行うものです。修学旅行もなく、学園祭とは名ばかりの、保護者とだけが見ることのできるつまらない部活動披露会であるこの学校において、この校内大会は貴重な、イベントらしいイベントでした。

中学1年生、最初の校内大会。まがいなりにも彼は、クラスで数少ないサッカーの経験者でした。彼は、「キーパーが下手だとどれだけ頑張っても負けてしまうから、俺がキーパーをやる」と申し出ました。言うまでもなくそれは口実で、彼はそれなりに自信があったゴールキーパーをすることによって、周りに、特に女子に、チヤホヤされたかったのです。


サッカー(前編)

 

日本においては一マイナースポーツに過ぎなかった当時のサッカーの専門誌は、『イレブン』『サッカーダイジェスト』、少し遅れて『ストライカー』と、三誌が細々と刊行されている程度でした。そんな娯楽雑誌を買うようなお金など持ち合わせない彼は従兄の本棚から雑誌を抜き取り、むさぼるように読みふけりました。




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