山本山本佳宏 yanmo.jp

二十一世紀の未読(メルマガ)

死角 5

(この章を読むのに必要な時間:約3)

 

 自分の目には、自分の身体がどのくらい見えているのかと思った途端に視界が窮屈になった。

 顎を懸命に引いて鼻の下を伸ばしてみたり首を厳しく斜め後ろに捻ったりして気づく、自分の身体の大半は、自分では見られない。胡坐をかいて足の裏をひっくり返し、でんぐり返りをして尻を近づけても、それらの窮屈な姿勢がより一層、自分の死角を鮮明にさせた。私は私の身体さえ、全てを見ることができない。


何者にもなれなかった人のための放送作家講座

(この章を読むのに必要な時間:約2)

 

 誰にでもなれる。努力も才能も運もコミュニケーション能力も必要なし。そんな夢のような職業、放送作家になりましょう。

 才能もない、努力もできない、人付き合いも下手で、我が身に降りかかる災厄への呪詛を世界に向かって吐き散らかしがちな、そんなあなたにこそピッタリなお仕事、それが放送作家です。

死角 3


(この章を読むのに必要な時間:約210)

 

 嘘を互いに許しあうことができる社会が優しい社会じゃないかと同僚は言った。嘘をついたことを責めあっても何も生まれない、だから俺は嘘を許す、お前も許せと。

 嘘を互いに許しあうことができる社会は優しいかもしれない、優しいかもしれないがそれは偽薬だ。どんな嘘であっても嘘をつくという行為が心身にどれだけの負担をかけているのかを自覚したことがお前にはないのか。嘘は身体に良くない、偽薬で気分を紛らわせているうちにいつの間にか全身が蝕まれて、あれおかしいなおかしいな痛いイタイイタイと言いながら死んでいくのだ。互いに嘘をつかなくても良い社会こそが優しい社会で、無理か無理でないかを問わずそれを目指すのが優しさだろう。


死角

(この章を読むのに必要な時間:約210)

 

 死角で何かが起こっている。起こっているのは確かだ、しかしそれを見ることができない。

 

 同僚に禿げを指摘されたのは、1か月ほど前のことだ。

 笑いにもならない嘘をつくな空気の読めない冗談だと西から東へ受け流して同僚もだんだんむきになって人差し指先で小突き回すように私の後頭部を差して禿げてるんですよここが本当にと今にも禿げそうな大声を出したが私には見えない、そこは死角だ。死角だから見えない、だから禿げは無い。

 同僚はその後もしつこく、事あるごとに私に禿げがあることを認めさせようとした、彼によると禿げは一か所ではなく、複数箇所に散在しているらしいが私には見えない、どれも死角だ。だから禿げは無い、一つたりともない。

 朝起きてテレビをつけたら「今日のお前の運勢は最低だ」と明るい声で宣告され、会社に行けば同僚が「手鏡を持ってきたのでトイレで見てみよう」と腕を引っ張る。強盗のように野蛮、通り魔のように理不尽。私は朝からギャンブルをするつもりもないし、禿げてもいないのに禿げている禿げている禿げていると連呼されるような不快な思いをしなければならない謂われもないはずだ。無いとは分かってはいても禿げが山ほどあるなどと失礼な事を言われれば要らぬ心配が生まれてしまう。


黒霧

(この作品を読むのに必要な時間:約110)

 

 

 前に噴けば足に掛かる、上に噴けば後ろに落ちる。斜め上に思い切り噴いて、思い切り漕ぐ。

 水はつまらないから飽きた、ジュースはベタつきが不快だ、炭酸は目が開けられなくて転んだ、黒烏龍茶がお気に入りだ。何よりもベタつかず、仄かな香ばしさは風と共に鼻腔を爽やかにして、彼は初めて少し声を出して笑い、ペットボトルを全て霧にした。


マイコン(あだ名)


パソコン買いました! やったね!(金の話)

この15年で10台ぐらいは買ってますので2年に1台は必ず買っているという感じです。

エンジニアでも技術者でもないのに、パソコンに湯水のように金を使いすぎなんじゃないのかとも思いますが仕事において僕が何を使うかといえば、足でも脳みそでもクリエイティビティでもコミュ能力でも営業力でもなく、パソコンなんです。他には何も要らないんです。足とか脳みそとか要らないんですパソコンさえあればいいんです。

 


ないない


「明けない夜はない」

「やまない雨はない」

 

のフォーマットで「○○ない●●はない」を完成させよ。(10)

 

) 回らない寿司はない





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このエントリーは、

ルマガ 山本山本佳宏『二十一世紀の未読』

本日配信分の一部を抜粋したものです。

全文は是非、メルマガでお読みください。


★登録:http://www.mag2.com/m/0001310550.html


加湿電気ヒーターと言うんでしょうか。

トイレへの通りすがりにチラと目を遣ると上面にうっすらとホコリが乗っていまして、僕は目の前のことしか考えられないバカですので、気まぐれなやる気が芽生えて、ウェットティッシュを持って来て拭きはじめてしまいました。


ちょい開け


ドアが半開きになっていると、霊が隙間から覗きますよ的な話は良く聞きますけども。オトナイさんって言うんですか?

 

僕はわりと積極的にドアを少し開けてしまうタイプです。

引き戸もそうですしノブを回すドアもそうです。すーっと閉めて行き、すっと少し隙間を開けて手を放す。よしっ。よしやあらへん。閉めろと。最後まで。

 


ヤダフのばか


僕のような腐れ外道であっても自らのiPhoneには『LINE』がインストールされていたりして大変お恥ずかしい限りなんですが、そこはやはりアレでございまして、インストールしてはいるものの誰かからメッセージが飛んでくることなど滅多にございません。

LINE』は、かつてケータイの番号を交換させて頂いた皆様は有無を言わさず「ともだち」として自動登録されてしまいますので、名前だけはズラズラと並びながらもピクリとも震えない、電話帳以下の存在となっております。

使わないんなら削除してしまえばいいんですのに、並んだ名前を見つめながら、僕もかつてはまがいなりにも人とのつながりがあったのだと懐古したいのでしょう、下品な感情です。




山本山本佳宏 『二十世紀の未読』 完全版(pdf/epub)

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