山本山本佳宏 yanmo.jp

風とロック コラムアーカイブ

『メイクで変身★GIRLSロック!』(2005年11月号掲載)


とあるラジオ番組にて ―悩み相談―

 

『ロック不可』。ああ友よ。うそです友達はいません。またバイトの面接に落ちてしまいました。

『ロック不可』だそうです。ロック不可ってなんでしょうか。僕ロックなんてやったことないんですけど。でも『ロック不可』だと...言われて...しまいました...

ただ単に茶髪でロン毛なだけなのに...好きなアーティストは平井堅とaikoなのに...

大人はどうして、僕を見た目で判断するんですか?教えて!DJ野良犬!

 

 

DJ野良犬:  というメールを頂きましたーワンワン!そっかー、ロック不可かー...確かに外見で判断されることって多いよね。じゃあ、思い切って、ロック好きになってみたらどうだい?外見から始まるロックっていうのも、なかなか楽しいもんだぜワンワン!

 

 

 

今こそメイクでロックになるべき!

 

矢沢あいのリーサル・ウェポン、『NANA』が大ブレイク!コミックスバカ売れ!映画も大ヒット!2つのロックバンドと、2人の『NANA』を巡るストーリーに、にわかロックファン、というか、にわかロックファッションなGALが増殖中だ。どうなのあれ?ねえどうなの?イイじゃないか!いいのかよ。

 

外見でロックになる。メイクでロックになる。そんなこと可能なの?可能可能可能可能可能。うるさい。ロックは外見から。メイクなくしてロックなし!しかし、真のロック・メイクを極めるには、かなりタフな道のりが待ってる。日本全国に1人でも素敵なロックガールを増やすため、今回は、そのお手伝いさんをさせていただきたい。


『長男 is クリエイティブ』 (2005年12月号掲載)

長男の星・勇 

 

「五月!アンタ嫁の分際でアタシに楯突く気かい?」

「お言葉ですがお義母さん。私の事だったら何言われても構いません。けど、愛や眞のことだけは口出しして頂きたくないんです」

「まったくもう?勇!アンタの嫁の教育がなってないからこんなことになるんだよ!」

「・・・・・・・・・・・・(前髪ペロン)

 

 

【小島勇(こじま・いさむ)】中華「幸楽」の長男。

 

サラリーマンになることが夢だったが、中学卒業後、その夢をあきらめ「幸楽」を継ぐ。

いつも嫁の五月と姑のキミの板挟み。気苦労が絶えないのか、すっかり髪の毛も薄くなってしまった。

酔っ払うと、寂しい前髪ひと束をペロンペロン垂らしながら暴言を吐く。

 

 

so sad...寂しい...あまりにも寂しすぎるぜ勇...お前だけのために、キャンプファイヤーの前でギターを爪弾きたくなるほどの寂しさだ勇。日本全国の『長男』の脳天辺りからモヤモヤと発散された「悲哀オーラ」を、体いっぱいに吸収してしまったかのような表情がテレビの画面いっぱいに映し出されるのを見て、ウヒャウヒャ馬鹿笑いするのが「渡る世間は鬼ばかり」の正しい見方。ホントかそれは。

 

勇だけじゃない。現実世界、いや、クリエイティブ界にこそ、長男の涙はTUNAMIとなって押し寄せている。あトゥナミになっちゃった。まあいいか。

いやいやいやいや、あのね。長男、いないわ、ほとんど。ものすごい勢いでひとりっ子。

確かに聞いたことはある。クリエイターにひとりっ子が多いって。でも想像以上。

でもね勇、大丈夫。だからこそボクは思うんだ。『長男クリエイター』こそ最強なんじゃないかって。

 

今回は、長男クリエイターを応援することにする。そして捧げるよ、勇に。あ、ごめんやっぱり勇に捧げるのやめる気持ち悪いから。

 

 

『飛び出せ!ロックベーシスト!』 (2005年9月号掲載)

 

プロローグ ― ドドドドドドドドド ―

 

ドドドドドドドドボボボボボボボドドドドドドドドボボンドドン。

 

俺、ベーシスト。アマチュアバンドでベースを担当している。今、LIVE中。AメロBメロサビが終わり、俺には少しの休息が訪れた。

嗚呼...ギターソロ...あいつは気持ち良さそうにステージの真ん中に立ち、思うさまギターをかき鳴らしている。ボーカルはそんなギタリストに寄り添い、「人」という字を2人で描きながら、エアギターをかきならす。歓声と共に、照明さんがスポットライトを当てる。俺以外の場所に。今、誰も俺を見ていない。ああ、一人たりとも俺を見ていない。変な顔をしてみた。ホラ、誰も見ていない。もうすぐギターソロが終わる。そろそろ準備するか。

 

ドドドドドドドドボボボボボボボドドドドドドドドボボンドドン。

 

俺、ベーシスト。

 

 

さて。こんなミニドラマに、怒りを覚えるミュージシャンの方がいらっしゃるかもしれない。「お前はロックをバカにしているのか」と。毛頭もバカにしていない。ただ、ふとした疑問が浮かんだだけ。

 

『音楽始めるときって、普通ギター買うよな...

 

ギタリストに憧れ、ギターを買う。コードを弾いてみる。リフを練習してみる。段々楽しくなる。バンドをやりたくなる。友達とバンドを結成する。ギタリストは1人。

 

私は、『ベーシストが生まれる瞬間に起こること』を知りたいんです。ボーカル、ギターに比べて、明らかに日の当たらないベースという楽器を選ぶ瞬間。そこには、ある種の『ロック』が隠れているんじゃないだろうか。

 

地味地味と言われ続けるベーシストに、スポットライトを当てた瞬間。そこには、ものすごく素敵な光景があるんじゃないか。そうすれば、もっとみんな、ベーシストを目指すんじゃないだろうか。そんなことをボンヤリ考えたわけです。

 

だってさー、女性ボーカルとギタリストのバンド内結婚って多くない?マジで。

古くはリンドバーグの渡瀬マキ&ギタリスト平川達也。もっと渋いところでいうと、永井真理子&バックバンド『ヒステリック・ママ』ギタリスト廣田コージ。知らないからホント。渋すぎるから。最近だと椎名林檎も、バックバンドのギタリスト、弥吉淳二と結婚してたし。離婚したけど。あと市井紗耶香と「CUBIC-CROSS」のギタリスト吉澤直樹。ギタリスト需要もモー娘。まで来たか。

 

ホラね。バンドのベーシストと結婚したのって、トミーフェブラリーくらいですよ。トミーヘブンリーくらいですよ。川瀬智子ちゃんくらいですよ。数少ないので何回か言ってみた。でも寂しいだけだった。

 

さあ、飛び出そう若人たちよ。ベースこそロック!ベーシストこそロック!女性ボーカルは、もっとベーシストと結婚せよ!

 

そんな熱い思いを伝えたい。

 

『イイ声 is クリエイティブ』 (2005年11月号掲載)

 

ほんとうですかほんとうですかイイ声が女子にモテるってほんとうですか。ブサイクでもいいか?しょうゆorソース顔じゃなくてもいいのか?あせりすぎて脳味噌箪笥の過去の引き出しがパッカリ開いてしまいました。

 

エエ声ーー。エ・エ・コ・エーーエ・エどうでしょうそこのお方。エエ声ですか。

 

ある専門家の調査によると。ある専門家ってうさん臭いなおい。でも信じて名前ド忘れしただけなの。ある専門家の調査によると。五感の鋭敏さで1番男女差が際立つのは、「視覚」と「聴覚」らしい。

 

その専門家くずれ。いやだから崩れてはいないんだけれども。その専門家はどんな調査をしたのかというと、男と女に、それぞれエロビデオを見せたらしい......俺も是非、名乗りたい専門家。蹴りたい背中。あと情報筋も名乗ってみたい。すじ。

 

男は、エロビデオの音声をミュートしても目的を余裕で完遂したが、音声のみでは半落ちだった。半落ち?そうかもな。

 

女はその正反対。エロビデオの映像だけでは興奮できず、音声のみを聞かせるとハアハア言い出した。ハアハアって何かイヤ。

 

ほんとうですか?こんなシンプルな結論?本能的な部分では、女は顔なんかよりも声のほうに、ビビッドな反応を見せるってこと?ってことは、イイ声はモテるってこと?信じる。専門家風情のこと信じる。っていうか、この声のパワーって、クリエイティブにもつながってないか?女をフウフウ言わせるくらいだもん。あれフウフウだっけ。ヘエヘエだったか。そんなこという女はいないしホオホオいう女もいない。いるけどな(大人発言)

 

イイ声がもたらすクリエイティブパワーは確かにある。ある情報筋からそんなネタを入手したことにして、検証に入ろう。

 

 

『方言 is クリエイティブ』 (2005年10月号掲載)

東: あのさー、福島県出身ってホント?

地: え、あ、まあそうだけど。

東: 方言出なくない?

地: そ、そう?そんなに意識したことないんだけどな。

東: 全然分かんないよー!ねえねえ、何か方言しゃべってみてよ。

地: え?

東: だべとかずらとか言うんでしょ?

地: い、言わないよ、そんなの。

東: ウソー?じゃ、だぎゃーとかみゃーとか?

地: 言わねえってば!

東: あ、今、ちょっと訛らなかった?

地: ...え?

東: 今、訛ったよね?

地: 訛ってないじゃん。

東: 何急にジャンとか言ってんの?訛った訛ったアハハハハハハ訛った訛った!アハハハハハ

 

ウワワウワウワワワーーー!(ガバババッ!)...夢か...

 

 

ウワワウワウワワワーと叫んで飛び起きた汗ジットリナイトメア男の気持ちを分からない人、東京出身者。

 

「キミたちには絶対分からないし、分かられてたまるもんか!」と、アホ脚本家が書きそうなセリフが頭に渦巻いた人、地方出身者。

方言を隠しつつ矯正する。かつては「上京」における通過儀礼であった。

この高いハードルを越えようとする中で、ねじくり返ったコンプレックスが、いまだにツムジの辺りでクルクルと理髪店の棒のように回転している人も多いだろう。

 

しかし最近、東京都心のあちこちで、耳にしないか、方言を。気のせいか。俺の気のせいか。俺は疲れているのか。そういえば昨日コエンザイム飲むの忘れた。いや飲んだっけ。飲んだのは葛根湯だっけ。何で葛根湯飲んだんだっけ。

 

それはともかく、都心にあふれる色とりどりの方言。都心というよりも、クリエイティブオーラをドリドリ放出している人にこそ、方言使いが多くなっている気がする。本当か。クリエティブと方言の関係を調べてみる価値はあるのか。でももう止まらない。



『シルバー★ロック!!』 (2005年8月号掲載)

 

ものすごく曖昧な言い方だが、自分が年を取ったときのことを考えたことがあるだろうか?

 

『かわいい孫に囲まれて、幸せに...

『どこか南の島で、のんびりと...

 

古い。ダサいとは言わない発想が古い。何て凝り固まった頭なんでしょう。まるでお年寄りみたい。

 

若ければ瑞々しくてエナジーがあって、年を重ねれば脂ぎって実行力があって、もっと年を取れば枯れて使い物にならない。

 

無礼ですか。でもそう思ってるでしょ。こんなステレオタイプなイメージを、即捨てていただきたい。埋立地に埋めていただいてお台場を広げる助けにしていただきたい。お願いしすぎですか。でも捨てて。

 

ロックに年齢なんて関係ない、なんてつまんないことは言わない。はっきり言おう年取ったほうがロック!若さなんてダメダメダメ!ロックじゃない!ロールすらしてない!シルバー世代は枯れてなんかない!渋味なんか出してない!ひたすらロック!

 

ホラご覧。白いマットの5つのジャングルに、シルバー★ロックファイターたちが、次々と大集合だ!

 

熱き戦いをその眼で、しかと見届けろ!

 

 

 

『ノック音 is クリエイティブ』 (2005年8月号掲載)

 

ギロバッグイクンバシュシュビチャバッカッキィィングイッパカパカカシュカシュズォォォォズォォォォォォォグオオオバラッガガガガガガガグイクイズザッブシュウウモワモワグイビンンギュダッゴソゴソスッボンザザパシハアハアハアシュカカカカガガガガガカシュウウカシャカシャ

 

 

いやー、面白い。面白いですなナルトは。

 

そんなわけで、月刊風とロックの目下の競合誌である『週刊少年ジャンプ』で大好評連載中。『NARUTO725日号掲載分の全擬音をお届けしました。

 

ストーリー、キャラクター、色々要素はあるでしょうが、そういったマーケティング臭のするモロモロのワクをハミ出して、その漫画の勢い個性クリエイティビティがズルむけに表出してしまうのは擬音だったりします。ほら、もう1度、擬音のみをご覧ください。何となくシーンが浮かんでくるでしょう。...浮かんでくるでしょ?...コラ!ダメです。許しませんよ、浮かんでくるでしょうって言ってるのにダラダラ斜め読みしようとするなんて。反抗期の青い少年少女以外の反抗は許しません。

 

 

さて。漫画に必要不可欠な擬音表現は、なぜこんなにイキイキとしているのか。それは、『音の連続』にあるんじゃないか。そう考えておりますか。かじゃねえよ。考えております。

 

『ガガガガ』『ズババババ』『あたたたたたたた』...ほら、口に出して言って御覧なさい。ほら、脳みそをシャレコウベの上からコツコツと誰かがノックしているような感じ、しますでしょ。これをですね、『ノック音』と呼んでおります。同じ音、特に『カ行』『サ行』『タ行』『ラ行』の連続で脳を刺激する...あ、あと濁音。もし『ノック音』が、自分の名前の中に入っていたら...それはそれは、クリエイティブな人間になれるはず。というか、「ノック音の名前を持つコト」こそが、クリエイティブへの近道なんじゃないかと。そんな思い込みの迷路へと迷いこんでいくことにします。迷い道クネクネ。明日はどっちだ。方向気にしてる暇あったら寝ろ。勝手に明日になってっから。

 

『こども★ロック!!』(2005年7月号掲載)

 

結論から言おう、大人はダメだと。

 

どれだけイキがってみても、どれだけ『あの人の生き方ってロックだよね』と言われても、所詮は大人。

『俺も昔は、ワルだったなー』とか言ってみても、そしてそれが、ただのハッタリじゃなかったとしても、所詮は10代後半の話。

人間は、成長し、学習する。望むと望まざるとに関わらず。

どんなライフスタイルにも、ルールとマナーがあり、大人は無意識のうちに、そのルールの中で自分にリミッターをかけ、安定を望んでしまう。

 

要するにだ。極論すれば、『ロックな大人』なんてどこにもいない。

ロックなのは、まだ何事も学習していない、まっさらな状態の『こども』だけだ。

 

「こどもこそロック!」

 

この主張を裏づけするかのように、私の元に、某所から、ある資料が届けられた。

福井江太郎画伯。ダチョウをモチーフに、ただひたすら、描いて描いて描きまくる、ハイパー日本画家である。

彼は、大学で教鞭も取っているが、ここで生徒たちに課した課題のテーマもハイパー。

 

『自分が覚えている、1番初めの記憶を書け』。

 

...学生たちから集まったレポート用紙は、大人の想像を絶する、数々の『ロック』で彩られていた。

アンファン・テリブル。以下にその一部を挙げてみたい。断っておくが、全てがノンフィクション。事実である。

 

『シンメトリー is クリエイティブ』 (2005年7月号掲載)

 

女: 鏡よ鏡、鏡さん。

鏡: うるさい、何回も名前呼ぶな。

女: ...鏡さん。

鏡: 何。

女: この世で1番、美しいのは...

鏡: 知らん!

女: この世で...

鏡: 知らないっつってんのに!とりあえずお前じゃない!何回言わせりゃ気が済むんだよ!

女: 鏡さん...

鏡: だから、そのウソ泣きも見飽きた!お前も、せっかくしゃべる鏡を手に入れたんだから、たまには身のある質問、できないのか?

女: (ケロっ)わかりました。じゃあ、別の質問をします。『名前が左右対称の人はクリエイティブ』って、本当なの?

鏡: ...いきなり妙に具体的だな。しかし良い質問だ。『名前が左右対称の人はクリエイティブかどうか』...答えはYESだ!

女: ウソつくな。

鏡: ウソじゃねーよ!何急に疑い深くなってんだよ!

女: 証拠見せろ。

鏡: もうちょっとかわいらしく聞けよ!...何か気に入らないけど、まあいいや。よく聞いとけよ!

 

 

【名前とシンメトリー】

古くより、左右対称の名前は、縁起が良い名前ということで歓迎されてきた。

『裏表のない人間に育つように』という意味も込められているという。

なお、ここで言う「左右対称」とは、名前を縦書きにした時に左右対称であることを指す。

 

 

鏡: ほら!左右対称・シンメトリーっていうのは、昔から縁起の良い名前なんだよ!

女: 根拠うすーい。

鏡: うるさい!今から具体例挙げてやるから、よく聞いとけよ!

 

『ロックスター名言』 (2005年6月号掲載)

 

ロックな生き方とは何だ!破滅か!反抗か!若死にか!貧乏か!タバコか!長髪か!コンビニバイトか!ちがう!お前ら全員帰れ!

 

ロックとは...名言だ!

 

そう、ロックに憧れながらも、ロックになりきれない、ロックンロールしきれていないお前らに絶対的に不足しているもの、それが名言!名言を次々と生み出してこそ、真のロックスターになれるはず!

 

「俺、名言吐いたコト、あるっすよ」というヤツ、この中にいるか?それはホントに、後世に残る名言だったのか?

 

そんなコトを考えながら、今日は、ロックスターが残していった名言、とことんまで堪能してほしい!

 

 



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