体調が良いとアピールする方が他人から好かれるのか、体調が悪いとアピールする方が他人からかまってもらえるのか。

それさえ分かればもう死んでもいい。

 

10年ほど前から右側の後頭部が痛い。

あんな時間の使い方をして仕事をしていたんだから、身体のどこかが壊れるのは当たり前で、周りの人もみんな大なり小なり不調を抱えて大なり小なりどこか痛いのを我慢しながら仕事しているんだろう。

 

あそこが痛い、ここが調子悪いと他人にアピールするのはできるだけ避けていたつもりでした。

「私だって」「私の方が」と、寝た蜂の巣をつついて起こす騒ぎになるのは知れたことですもんね。

 



 

【ミュンヒハウゼン症候群】

虚偽性障害に分類される精神疾患の一種。症例として周囲の関心や同情を引くために病気を装ったり、自らの体を傷付けたりするといった行動が見られる。「ほら吹き男爵」の異名を持ったドイツ貴族ミュンヒハウゼン男爵にちなんで命名された。

 

 

子供の頃、風邪を引くと普段は食べられない美味しい物が食べられて親が優しくかまってくれる。うれしい。

日本人がこすり続けてきた定番ネタにある感情を、僕は一度も経験していないので共感できないのが残念ですが、病気である、調子が悪い、と言えば、他人がかまってくれる、優しくしてくれる。それは本当にうれしい発見ですよね。親が子供に条件を付けんなよとも思いますけど。

 

 

【ミュンヒハウゼン症候群】

患者は病気を創作もしくは既に罹患している病気を殊更に重症であるように誇張し、通院や入院を繰り返す。一つの病気の問題が解決したり、虚偽が見破られたり、小康状態に陥ると新たな病気を作り出す。重篤な患者と見せかける為に自傷行為や検査検体のすり替え、偽造工作などを繰り返し行うことがある。

 

 

僕が中学生の頃には「中二病」という言葉も概念もなく、それと気づくことはできなかったのですが、例えば、足を骨折してギブスを着け松葉杖をついている人を見てめちゃくちゃ憧れた記憶があります。俺も松葉杖つきてー。それは他人から優しくされたりかまってもらったりするきっかけとしての憧れでしょうか。それとも、鼻の頭に絆創膏を貼るぜ的な、中二病としての背伸びした微笑ましい特別感の表現なんでしょうか。

 

誰からも興味を持たれない、誰からもかまってもらえない、誰からも愛されない、という人…少なくともそう思い込んでいる人は予想以上にたくさんいて、病気やケガを騙ることによって誰かに相手をしてもらえることを一度知ってしまうと、その誘惑に抗えない人が出てきてしまうのは、ある程度はしかたないことです。だってかまってもらえる、優しくしてもらえる。こんなにうれしいことはない。

 

 

【ミュンヒハウゼン症候群】

患者は怪我や病気という口実を利用して周囲の人間関係を操作することを目的にして、同情を買ったり、懸命に病気と闘っている姿を殊更にアピールする。また、病気そのものに関わる関わらないに関係なく独特の世界を作り上げるエピソードを創作する空想虚言癖を伴うことが多い。患者のエピソードによる病歴は多彩であり、多種多様な既往歴を話す事が多い。ただしそのエピソードや時期に関しては曖昧な事が多く、時期や内容も話す相手によって異なる事が多い。

 

 

以前にもどこかで書きましたが、僕はかつて、体調の不良をすぐに訴える女の子がすごく苦手でした。

頭が痛い、お腹が痛い、足が痛い、食欲がない、肩が凝った、熱がある、肌荒れがひどい。

おいおいおいと。いっつも言ってんなそれと。それを言うならワシのほうが疲れはててあちこち痛いに決まっとるがなと。そんなこといちいち口に出して相手に不快感を与えんようにこっちは黙っとんねんと。

女の子の体調が良かったり悪かったりするわけではなく、女の子とは「体調」そのものなのだと気づくのに、結構な時間を費やしました。幼かったんでしょうね。僕が。

結局、体調が悪いことを黙って我慢している悲劇的な自分を味わってスネていただけだったのかもしれません。大変さを一方的に労ってほしかったのは僕の方だったという、お粗末なありさまでした。

 

好きな女性のタイプは健康な人です、と言ったら差別になるんですよね。多分。

病気やケガを抱えて生きている人間を蔑視していると。めちゃくちゃですよね。

だったら優しい人が好きっていうのも差別でしょう? 優しくない人を差別してますよね。

何度でも言いますが、性格は差別されて当然のファクターである、性格には絶対的な善悪があるっていう内面ファシズムとは僕は断固として戦いますよ。やっぱ嘘です自分がかわいいんで戦いません。

 

 

【ミュンヒハウゼン症候群】

患者は、自らの診断と病院の診断が異なった場合、病院をすぐに変えるドクターショッピングを日常的に繰り返し、検査や手術などを繰り返す。また、様々な診療科を受診するなどの行動を行う場合がある。そのため、病院遍歴を調べなければミュンヒハウゼン症候群を見つける事は難しく、患者の発見は主に入院・検査時の自傷行為・検体のすり替えの目撃・発覚などによって、初めてミュンヒハウゼン症候群の疑いがもたれるケースが多い。大半の症例は精神科ではなく内科・外科と言った診療科で発見される。

 

 

特定の人からの愛情を満足に受けられない、自分の好きな人にかまってもらえない、優しくしてほしいと思っている人から優しくされない、という事実と、だから不特定の人からの愛を求める、という行為の間には、深い裂け目が広がっています。その裂け目を飛び越えることができるのは、才能です。

 

何が言いたいのかというとまた頭痛いんですよ最近。けっこう痛い。

数年前に一度、あまりに痛くて寝たくても横になれないので、止まらない脂汗をそのままに、ロキソニンを飲んで効き始めるのを立って待ち、少し効いたら横になり、15分ほどで効かなくなるので再び薬を飲んで部屋に立ち尽くすという地獄のような一夜を過ごしたことがありました。何粒飲むねんって話ですよね。病院に行って一応検査もしたんですが、特に異常はありませんでした当時。

あれの再来じゃないかと内心ドキドキしています。

 

 

【ミュンヒハウゼン症候群】

ミュンヒハウゼン症候群の患者は、虚偽の病気による手術や入院を繰り返すため治療による薬や手術の副作用、慢性的に病気を作り出す行為を繰り返し、それらの副作用が蓄積されていくため予後は良くない。

(引用すべてwikipedia)




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このエントリーは、

ルマガ 山本山本佳宏『二十一世紀の未読』

本日配信分の一部を抜粋したものです。

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