才能がないと思われたくない。使えねーなこいつと思われたくない。

人生の大半を、そんな行動指針に費やして、何がしたいんだよ俺は、的な。

年齢問わずそんな人はいっぱいいます。

 

 




先日、仕事で雑談をしておりましたところ、「男の友情って難しいな」みたいな話題になりまして、その時僕は、「男の友情って、最大で35歳くらいまでしかもたない」っていう話をしたんです。お前みたいなもんが友人だの友情だのを語るなよと言われたらすぐ泣いてしまいますので言わないでくださいね。

 

男の友情って、かつては絶対視されるような、圧倒的な「善きもの」だったものです。今はそのアンチというかカウンターとして女同士の友情だって良いものなんだからね!女性蔑視反対!みたいなことにはなっておりますけど、それでも笑いの種としての、女集団の根性のババさみたいな描かれ方は残ってますよね。根性ババっていうのは関西弁です。ババっていうのはウンコのことです。性格が悪い、ねじ曲がってるみたいな意味で使います。

友情と言えば、「同窓会とか学生時代の友人の飲み会に行くと昔話ばっかりで楽しくないからあんまり行きたくない」っていう話を、以前何度かしたことがありました。あったはずです。どこかで。

今何をしているのか、どんなことを考えているのか、という話が一番楽しいのに、もう何百回と繰り返されたエピソードトークで、自らの身体に当時を甦らせる儀式のような、下品な笑い声をあげる。その話は確かに面白いよ、面白かったよ、でもそれよりもさあ、今何を面白いと考えているのかっていう話をしようよ、みたいな。

 

女性の間にもある程度は存在するんだろうとは思いますが、男はどうしても、他の男との間にある種の順位付けや競争意識からくる緊張感を捨て去ることはできません。こいつは自分より上か下か。それを抜きにして付き合っていくことはなかなか難しい。小学校中学校高校、そして大学と、それは徐々に顕著になっていき、社会人になると、もうそればっかりになってしまう。

 

そうなるのが怖いんですよ。今の話をすると。順位付けが始まってしまう。子供の頃、そんなことをあまり気にせず遊んでいた友達との間で、この社会における上下関係を探る競争が始まってしまう。だから同窓会は、酔いつぶれてウンコ漏らしたみたいな昔話ばっかりするんじゃないかと。

僕は気楽なものなんですよ。会社員にならなかったんで、ある種、その競争から外れていると言いますか、社会的地位とか境遇とか、比べづらい。だからこそ僕は人の気も知らないで、こういった適当な屁理屈をこねていられるというのもあります。

 

真っ当な社会人だと、こんなご時世であっても、やっぱり30代半ばくらいまでには大半の友達が結婚して家族を持ったりして、何年かに一度、週末の夜に昔話を数時間。嫁に怒られないようそそくさと帰る。年に何度かしか使えない「朝帰りカード」は、会社づきあいや浮気のためにとっておきたい。旧友に使うのはもったいない。みたいなね。言いませんけどそんなこと。





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このエントリーは、

ルマガ 山本山本佳宏『二十一世紀の未読』

本日配信分の一部を抜粋したものです。

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