ホモ痴漢3連発

 

ホモ痴漢3連発という知ってる人は知ってる僕の鉄板エピソードネタというものがありますが聞きますか。

ホモという単語に何らかの差別臭をお感じになった方はすいませんが差別ニュアンスはありませんが僕はホモに嫌な思い出があると主張する権利が少なからずあると思うので聞きますか。どうしますか。どうですか。今晩どうですか。替え玉どうですか。おなかいっぱいですか。延長どうですか。スペシャルサービスありますがどうですか。

 

中高時代は電車通学だったですが中2から中3の1年間ホモの痴漢に追い回されて、夏。夏だけじゃねーよ1年間つってんだろーが。

いつもの通り通勤ラッシュの電車にグリングリン乗り込んで吊革にぶら下がっておりましたらばど――――――もチンコ揉まれてるな―――――――――――ど――――――う考えてもチンコ揉まれてるよな――――――と思って振り返るとそこにはペペのローションを頭から浴びた七三分けのムーミンみたいな50ぐらいのスーツ着たオッサンが僕の背後で背後で背後で背後でポリループポリループポリループポリループポリループポリループ、プ、プ、プ、プ、プ。

分かりますか奥さん。思春期真っ只中の内気なニキビ面が電車の中で油すましみたいなオッサンにハアハア言われながらチンコ揉まれた日に帰って浴びた熱いシャワーの味と人格形成の歪みが分かりますか。奥さん。あんたの旦那ですよ奥さん。

それから1年、時間を変えて車両を変えて逃げ回り続けてホモの痴漢は僕を追いかけ続けてたぶん1年近くは続いたと思う。いまだに耳元でハアハア言われた瞬間に血が冷たく沸騰する感覚が鮮明に残ってますけども。これホモ痴漢1発目。



 

何とか電車でホモの痴漢に遭遇しなくなってグネグネと僕も思春期をひねくれながら成長して高校も卒業して大学も卒業間近で僕は僕として就職活動なんか始めちゃったりしたんですけどノリで。で梅田とか本町とか淀屋橋とかの大阪のビジネス街を面接でウロウロ行ったり来たりしてたんですけども喫茶店でOBとかに会うととりあえずコーヒー頼んでしまうわけでそれが1日に何回も続くとすなわちトイレが近くなるのでオシッコしたいけどトイレ見つからないし次の面接遅刻しそうだしどうしようかなってことで阪急梅田駅の改札の外にある公衆トイレに駆け込みました、スーツ姿で。

トイレには誰もおらず僕は1番手前の小用便器で用を足しておりましたところトイレに誰か入ってくる気配を目の隅に感じまして引き続き用を足しておりましたところ入ってきた男はなぜか他の便器には行かず僕の背後に背後に背後に背後にポリループポリループポリループポリループポリループポリループ、プ、プ、プ、プ、プ。おもむろに僕のポリ尻をプ揉み始めました。

分かりますか奥さん。「えへへへへへ、兄ちゃんええケツしとんなー」と耳元で囁かれビックリして首だけ振り返ったら典型的な小汚いホームレスみたいなオッサンがニヤニヤ尻を揉んでて血の気が引いたけどオシッコが止まらないから身動き取れずにオシッコし続ける22歳の男の泣きそうな顔が分かりますか。奥さん。あんたの元旦那ですよ奥さん。

ようやくオシッコが止まってダッシュでトイレからまろび出たらオッサンも追いかけトイレを飛び出し、細い通路を逃げる僕の背中に捨て台詞をぶつけた。「男なんかなー!お前だけちゃうんじゃ―――!!!」僕はなぜこんな緊急事態にこんなベタなセリフを飛ばされているのか分からず、地下鉄御堂筋線へと急いだ。これホモ痴漢2発目。

 

その後もしばらく哀しい記憶を引きずって就職活動は続きやっぱり毎日コーヒーを飲みまた尿意を催した僕が立っていた場所はまたも阪急梅田駅。面接間に合わない。横目で捉える例のトイレ。行きたくないけど漏れそう。迷って迷って迷って行った。トイレ前通路でキョロキョロして誰もいないと思ったら誰か向こうから歩いて来てヤベ―――!!!!!と思ったらすごい身長の高いスーツを着た白人男性で、何だ、この辺の外資系の会社の人かと安心してトイレに恐る恐る入り中をチェックして誰もいなかった。ので大急ぎで構えて放尿を開始したところさっきの外人がトイレに入ってくるのが見えて一瞬ドキっとしたけど外人は僕と1番離れた便器で用を足し始めて安心した。

安堵感からむしろ余裕綽々でオシッコを続けていてチラッと横目で外人を見たら外人は横目どころかチンコの先を見ず完全に首をこっち側に向けて放尿していた。すごくニコニコしていた。うわー何かこいつキモチ悪いなーと思って顔をそっちに向けてみたら外人は放尿してなくて便器から30センチほど離れて僕の方をガチガチのチンコを手でいじっていてもおおおおお―――――――――!!!!!!!こいつもホモやんけえええええ――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!

分かりますか奥さん。いかにもエリート然としたパリッとしたスーツ姿の白人が僕の放尿姿をおかずにチンコイジりをしている様子をなす術なく眺める22歳就活学生のやるせない顔が分かりますか。奥さん。あんたの文通相手ですよ奥さん。

ようやくオシッコが止まってダッシュでトイレからまろび出たら今度は外人は追いかけて来ずそれでも不安で不安で階段を駆け下り、梅田駅のBIGMANが見えた辺りでようやく僕も走るのをやめて、もう二度とあのトイレには行くまいと思いながら紀伊國屋に向かってトボトボ向かい始めたら誰かにポンポンと肩を叩かれて振り向くとさっきの外人でええええええええええええええええええええと思って固まってしまって外人はニコニコ笑いながら「スミマセン、ニホンゴ、ハナセマスカ?」と僕に問いかけ、僕は「話せません話せません!!!!!!!」と日本語で答えて再び梅田の街で風になった。ニホンゴハナセマスカて。エイゴハナセマスカやろ普通。ホモ痴漢3発目。

 

 

これらの体験を通して僕が世に訴えかけたい事は特に何もなくてホモ好かれする可能性があるという事でもなくて先日新宿二丁目のゲイバーに飲みに行ったところ店に入ってから2時間、店のママにずっとチンコ触られてたことでもなくて、これらの話をネタのステージに押し上げているものは、ホモの痴漢たちが吐いた、『決めゼリフ的名言』であるということただ一点のみ。ドラマの中だけと思いがちなビシッとしたパンチラインを日常において発信している人はこのようにたくさんいる。ひるがえって僕は発信できていない。これは悔しい。僕もドラマのような名言をタクシーの窓を開けて斜め後方にゲロを飛ばすようなスタイルで飛ばしていきたい。

 

「男なんかなー!お前だけちゃうんじゃ―――!!!」

こんなセリフをキャッチとして採用するコピーライターはほとんどいない。『弱いよね、ベタだよね、痴漢はそんなこと言わないよね』とかノーネクタイの白いシャツの第1ボタンを外して言うんだろう。しかし、あのオッサンの捨て台詞は、僕にとっては強くてリアルだった。何で俺はホモの痴漢を褒め始めてるのか。リアルって何だ、強いって何だ、届くって何だ。

正解は常にある。正解は常に過去のものだ。

 

 

とても面白いことで知られる『TRICK』シリーズでの山田奈緒子の「お前のやったことは全部お見通しだ!」はお約束的な決めゼリフとして、もちろん笑っていいネタフレーズとしてドラマに導入されている。やだーそんなドラマの決めゼリフみたいなコト普通言わないしーウケるー超ウケるーモバゲーウケるー的な。

言うよあんた。背中が煤けてるよあんた。

普通に言うよ、その場面来たら。

人間は追い込まれれば追い込まれるほどテンパってワケの分かんないコト言うとか何となくお思いかもしれませんがそんな人は超少数でたいていの人が緊迫感のある場面とか追い込まれた瞬間に発する言葉は、第三者から見てると腰抜かしてバウンドするほどにベタです。ドラマそのもの、映画そのもの、マンガそのもの。

僕もカッコつけたオッサンもデスクでアロマオイルでも飲みながらパソコン打っとるから言葉もセリフも落ち着いてひねくり倒せるかもしれんが実際はそうはいかんと。そんなことしてたらゾンビに脳髄かじられてしまいますからそうはいかんと。

そういう時に口からまろび出るのは、聞いたことあるフレーズです。知識として知ってるフレーズです。

テレビとマンガで育ってきた平均的日本人である僕らには、テレビとマンガで仕入れたセリフがベースとして完全に刻まれてます。ので、とっさの時にはそれを言います。全部ひっくるめてそれがリアル。ドラマのセリフみたいなベタなことを結局言ってしまうのもヒックルメッテ・リアル。何かノルウェー人通ったな今。

だったらどうせなら、ビシッと言ってやりたい、日常会話での決めゼリフ。

 

 

 

簡単決めゼリフ

 

★タクシー乗って「前の車を追ってくれ!」

こんなの余裕でSHOW?こんなカッコよくてしかも簡単に使える決めゼリフを少しの努力もしないで使わないなんてどうかしてる。何やってたんですか生まれてから今まで。前のタクシーに友達乗せて「後ろの車を巻いてくれ」とセットで使用して降りる場所決めとけば万全ですよ1500円程度でとんでもないエクスタシーを味わえますよ。深呼吸100回ぐらいやって過呼吸気味にタクシーへ飛び込みましょう。安全運転とか言っとかないと最近はOLがうるさいので言っときます安全運転。

 

★電話の第一声「私だ」

これわりかしたやすく言えるランクじゃないでしょうか。無防備にチャレンジすると「あ、もしもしー、私だ」とか余分なものを付けて子分なのか親分なのか分からなくなるので注意ですが、ケータイだったら自分の名前向こうに出ちゃってる時点でハードルはグンと下がっていますので、かつては半分隠居しかかったハゲたボス以外に使うことが許されなかった禁じられた遊びが番号通知時代のネオスタンダード決めゼリフとして。ついに。「私だ」。もしくは「私だが」。

 

★「シェフを呼べ」/「女将を呼べ」

呼びましょう。これはもう。呼びましょうよ。思いきって。呼んだことないでしょシェフと女将。しかも「呼べ」とか言って呼びつけて怒鳴り上げるような愛どころか勇気も友達じゃない自殺目前のアンパンマンみたいな状況でもないわけで寿司。でもこれはもう呼びましょう。呼んだ上で怪訝そうな顔をしながら長さ8メートルの帽子を振りまわしてやってきたシェフ(着物を破り捨てTシャツ1枚でやってきた女将)に向かって木の実ナナばりのツンデレを発揮して「大変美味しかったです」とか言えば誰も損しないですよね。つーかもっと呼んだほうがいいですよシェフと女将は。易々と使えるのに使ってない決めゼリフの代表として。

 

★起きてヒトコト「ここは、どこだ…」

これもまだ?まだ言ったことない?ホントに生まれてから今まで何をしてたんですか。親を呼びなさい。親を呼んできなさい。これは親の教育のせいです。起きぬけに「ここは、どこだ…」ってヒトコトいうだけというシンプルかつ至高の決めゼリフに対してすでにOLである娘さんがまだバージンであるという事実は全て親の責任です。記憶喪失なのか、未来からタイムスリップしてきたのか、気を失っている間に謎の組織に監禁されてしまい今から風呂場で足首を切り落とさないといけないのか、そこから先にストーリーは自由自在だから明日起きた瞬間言ってください。

 

★「話はすべて聞かせてもらった」

さあこの辺りから社会的メンツと直面し始めますがそこは決めゼリフを日常生活で言うためですから乗り越えていきましょう。こんなにも『してやったり』という感情を満喫できるセリフがこの世にあるでしょうかな。人間の「しまった!」顔が一斉にこっちを向く経験を味わうためにはこの決めゼリフは必ず必要とはいえ、中学高校で自分の陰口を言ってるクラスメートにこのセリフを振り込んでしまうと20倍界王拳でウンコみたいにイジメられるのでやってはいけないし本気で社外秘の話をしている上司たちに振り込むと娘の腰掛けOL生活は早めにザ・エンドを迎えてしまうのでやってはいけない。ポイントは別に大した話をしてなくても話はすべて聞かせてもらったって突然言われたら誰でもとりあえずギックリするよということですので、そのことを踏まえて、きのこの山派かたけのこの里派かみたいな糞どーでもいいミミズの死骸みたいな会話をしている集団に向かってこの最高にキモチイイ決めゼリフを最高のメンソールスマイルで振り込んでください、思う通りのリアクションが得られるはずです。

 

★「こんなこともあろうかと」

これ意外と言えそうで言えないっつーか言いたくなさそうで言いたいっつーかジワジワ感動がこみ上げる決めゼリフ!!!!!言いたいよぉ…お兄ちゃん私この決めゼリフ言いたいよぉ……妹もそう申しておりますので言いましょう。準備万端なことを示すためにカバンをまさぐりながら言ういぶし銀な決めゼリフです。これ絶対こっそり言っても誰も気づかないですよ。だから自然に言ってください。「あっ、やべ傘持ってくんの忘れた」「私もー」「俺も忘れた今日降るって言ってたっけ?」「こんなこともあろうかと折りたたみ傘を28本と雨ガッパを30着持ってきたよ」「すげー気がきくなー」ほら大自然!!!!岩清水!!!!この決めゼリフを自然に言うチャンスを伺うためにやらねばならんことはただ1つ、日頃からM性感のデリヘル嬢を見習ってデカイカバンにひょっとしたら誰かが使いそうなアイテムをぎっしり詰めて持ち歩いて東に「あーしまったー今日エネマグラ忘れた」と言う部長あればこんなこともあろうかと差し出し、西に「あー恵まれないアフリカの子供に贈ろうと思ってた元カノの手編みのセーター忘れた」と呟く同僚あればこんなこともあろうかと差し出し、そういう人に、なってください。

 

 

 

決めゼリフだけで生活

 

ずいぶん決めゼリフに対しての抵抗力も落ちてきてユルユルになってきたところで決めゼリフオンリーで日常会話ができるかどうかやってみます。できると思います。まずは学校編にて先生と決めゼリフで華麗に対話してみます。

 

★今回のテーマ決めゼリフ:「見かけねえ顔だな」

 

(先生)「おー、箭内こっち来い」

(生徒)「見かけねえ顔だな」

(先生)「なんでだよ。お前なんで職員室呼びだされたのか分かってるのか?」

(生徒)「お、お前…俺の姿が見えるのか……?」

(先生)「お前って誰に言ってんだよ。最近、授業中私語多すぎるだろ」

(生徒)「お、お前…人間の言葉がわかるのか……?」

(先生)「マジメに話してる時はマジメに聞け!」

 

 

すいません失敗しました。うっかり無関係な決めゼリフを使用して先生を怒らせてしまったのでやり直します。

 

 

★今回のテーマ決めゼリフ:「今日みんなに集まってもらったのは他でもない」

 

(先生)「おー、箭内こっち来い」

(生徒)「今日みんなに集まってもらったのは他でもない」

(先生)「お前が呼び出されてるんだろーが」

(生徒)「自分の胸に手を当てて聞いてみろ」

(先生)「それは俺のセリフだって言ってるだろ!!!!」

 

 

また先生を怒らせてしまいました……テーマどころか決めゼリフそのものの使い方がまだまだ甘いのかもしれませんがここはまぶたを爬虫類のごとく左右からつぶって続けてみたいと思います。

 

 

(先生)「それは俺のセリフだって言ってるだろ!!!!」

(生徒)「ぐわっ!!! …あ、足をやられた……!」

(先生)「あ、すまん、つい」

(生徒)「ここは俺が食い止める!お前らは先に行け!!!!!!」

(先生)「落ち着け!!! OK、そのままだ……よーし、いい子だ」

(生徒)「と見せかけて!!!!…… ほう、今のをかわしたか」

(先生)「ねえ、それよりも、2人でパーティー抜け出さない?」

(生徒)「いいだろう、ついて来い」

 

 

すいません、先生にも決めゼリフをしゃべらせてしまった結果先生と生徒がバトルの末パーティを抜け出してしまいましたが、1つ1つの決めゼリフは口にするだけで非常にキモチの良いものばかりでございます。

 

「OK、そのままだ……よーし、いい子だ」

⇒暴れ馬をはじめとする動物を手なずける瞬間にマッチョな男から発せられる誠にカッコの良い決めゼリフ。基本的には一発ヤっときたい女が見ている時に発動。日常生活で使う場合は机の上で震えるケータイを両手で包みながら使用。

 

「いいだろう、ついて来い」

⇒実力を自分の目で確かめ認めた人物をアジトへと案内する決めゼリフ。基本的にはのちのち仲良くなりそうだけども志半ばで自分だけ先に死んじゃう感じの時に発動。日常生活で使う場合は母親にエロビデオを発見され、他にもまだ隠してるんでしょと問い詰められたときに部屋に向かって歩きながら使用。

 

 

 

そんなこと普通言わないでしょ、とみんなが言うセリフとはすなわち記憶に刻まれた言葉であって、誰もドラえもんが「おはよう」と言ったことがあるかどうかなんて覚えてないだけ。この世に決めゼリフある限り、それが普通言うのか言わないのかなんてどうでもいいことに早く気づいて積極的に決めゼリフを発射していけばいいんじゃないかと思いましたが。