ダンス教室
「あのー...すいません」
「いらっしゃいませ」
「習いたいんですが」
「では右手を上に挙げてみてください」
「こうですか」
「もっと垂直に。洋梨をつかみとるようなイメージで」
「なるほど。こうですか」
「そうです。次は左手を直角に曲げて前後に動かしてください」
「右手は挙げたままですか」
「挙げたままです」
「はあ...こういう感じでしょうか」
「もっと回転させて。喜びの機関車のようなイメージで」
「くっ...こうでしょうか」
「なかなかいいですね。見込みがあります」
「ありがとうございます」
「では、入会希望書に記入お願いします」
「はい」
「右手を下ろさないで!!」
「え?」
「洋梨をあきらめないで!!」
「でも私、右利きだからこのままじゃ書けません」
「あなたにとって、本当に大切なのは、入会希望書と洋梨、どっちなんですか?」
「入会希望書に決まってるじゃないですか」
「痛い痛い痛い!左手がわき腹に当たってます」
「すいません」
(続く)
日常の中のダンス
踊れ踊れ!ヒャーハハハハバキュンバキュンバキュン!!!ならず者に酒場で足元を乱射されるさすらいのガンマンをニヤついた目で眺める客AとBのAのほう。それくらいの重要性で世の中に参加していきたいです。何の決意表明でしょうか。
先日、担当する番組に某企業から依頼が来た。「ウチがテレビCMでやってるダンスを流行らせてほしい」。無理ですだのあーだのこーだのの末、その商品の新しいダンスを作ることになった。作詞した。その場のノリでアホみたいな振り付けに決まった。どうなんでしょうか。この号が出る頃には少しくらい流行ってるんでしょうか。まあその辺はどうでもよくて、そのダンスのムービーを収録しているのを横でボンヤリ見ながら、おおおおむすびを食べつつ、ぼぼ僕は、おお、おおおお思ったわけなんです。だから語尾のルール守れよ。
なんでこいつ(タレントさん)踊ってんのかなーと。なんで商品のためにダンス作んなきゃいけないのかなーと。変なのーと。
元々、ダンス的なものに一切興味がないし今もない。高尚であればあるほど興味がない。はい飛んだ――!!はい回った――!!開脚――そして笑顔--!!!こっち見んな――――!!!!!
アートを解さないと言われても印象派って良いよねの次に来る安藤忠雄って良いよねの次に来るクロムハーツって良いよねの次に来るイームズって良いよねの次に来るラッセンって良いよねくらいのレベルなものでまたラッセンかー...しぼりだした末にラッセンとか言ってんのがダメなんだろうなーというくらいの解さなさだから仕方ないけど、なんか身分が卑しいやつみたいな扱いを受けるのも腹立つので何となくダンスを解したフリをして毎日俺はオフブロードウェイだった。I LOVE N.Y....I LOVE NOBUO YANA.
よく考えたら八名さんはそんなに好きじゃなかった。そろそろ研ぎ澄まされたアートとしての肉体たちに殴り殺されそうなのでこの辺でしなやかな黒豹のようにやめときますけど。
非日常的な動きを、非日常として見せられると、ダメなの。自分との間にすごく断絶感があって、体が拒否するの。
「DOYO、こんなアーティスティックな動きできるんだぜー」とかやられても、ダメなの。
ダンスは『ハレ』というかなんというか非日常そのものなのか。大体日常で両腕振り回したりするのはセックスした後「お前あんなところに毛が生えてるんだな」とかベッドで彼氏にボソッと言われて顔真っ赤にして胸をポカポカ殴る彼女くらいのもんで、それ以外の人間には全く必要ない。ウェルコメン五十肩。そんな肩もロクに上がらないオッサンが群れている日常にダンスを持ち込んで流行らせたり覚えさせたり面白いじゃんと思ってもらったり自分もやってみようかなと思わせたり。そんな努力のほうが、クリエイティブなんじゃないかと、個人的には思う。
美しいダンスの中の私
お話し致します。全てお話し致します。私とダンスにまつわる全てを。
代々レオタード職人の家系に生まれた私は、肌にほどよくフィットする手縫いレオタードを作り続けることを宿命づけられていました。しかし、ある日恋に落ちてしまったカスタネット問屋の一人娘との結婚を反対されて家を飛び出し、駆け落ち同然で当時のソ連に行き、ささやかな八百屋を始めました。しかし挨拶回りをしなかったため、近所の威勢のいい若者たちが大挙して店に押しかけ、コサックダンスでガンガンにレタスを蹴られレタスが痛んでしまい心も痛みましたコレは何の話でしょうか。ただソ連にまつわるウソがつきたかっただけです。ソ連かい。
1 幼少期
俺のダンス原体験をずーっと考えてたんですけども。『シティ』かな。『シティ』しか思いつかん。それ以上昔覚えてない。80年代初頭ホンダの『シティ』という車のテレビCMがありました。外人の男が5人くらい並んで何の悩みもなさそうなアホな笑顔でノッシノッシと大げさに行進するんですけど。「♪テーレーレーレーホンダホンダホンダホンダテーレーレーレーホンダホンダホンダホンダ」って延々言いながら行進するんですけど。ダンスというか振り付けというか歩いてるだけ?でも毎日狂ったように踊ってた記憶があるなー...どうでもいい話だし忘れ去ってもいい記憶なんだけど、たまーに帰省したときに父親が俺との会話に困って必ずし始める彼なりの「すべらない話」がこれなので、いつの間にか固定記憶としてタンスの中に入ってしまった。何であんなに好きだったんだろうか。ドハマりしました。あれ?ドハマりしたのって現実?親父の刷り込み?アレはウソ?ホント?この記憶は誰のもの?
※学んだこと: 単調なフレーズと単調な振り付けのミックスつーか繰り返しが刺さったって意味ではCMとして成功か。アレ当時の大人が見ててどうだったんだろうなー。
2 小学校時代
ダンスを勉強するなんてオシャレなコトは昭和時代の小学校にはなかったが、小5の運動会でその瞬間はやってきた。歌劇『カルメン』の曲に乗せて学年全員でダンスすることになったが、そのリーダーがおよそダンスとは無縁であろうガチムチ体育教師で子供心にコイツにダンスとか教えられんのかよと思ってたらやっぱりGOGOダンスみたいに両腕上下に振り回すだけのワイルドスタイルダンスが上がってきてやっぱりなと思うやいなや彼は予想をはるかに上回るカラ回りを始動した。
「このダンスに足りないものが分かった。それは情熱だ!!」うるせー足りないダンス考えたのお前だろーが!!いくら関西でも小学5年生にそこまでドッシリとしたツッコミができるわけもなく、結局彼の情熱は俺たちにプラスオンされた。その情熱とは、1メートルくらいの赤いふんどしみたいな布を両手から垂らすことであった。なんでやねん!!もう色々色々考えた末になんでやねん!!お前なりの情熱の形はこれか!!この垂れ下がった赤か!!こんなもんキレイに見えるの腕振ってるときだけで後は地面引きずってんじゃねーか!!学年一斉リストカット!!!200人で存在の証明!!!アホか!!
※学んだこと: 当時は恥ずかしい限りだったが今考えるとシュールという意味では再現してみたい踊りではある。校庭一面に赤い布着れ振り回してGOGOダンスしてるガキがいる光景って笑いとしてはいいなーと。やっぱ前のめりでやりたいと思わせるのに、ヘンな動きだけ追求してもダメだな。
3 高校時代
わが高校時代とダンスの関係。それは『ダンス甲子園』という一点に収斂する。簡単に言うと当時の大人気番組『天才たけしの元気が出るテレビ』で高校生が制服着て踊りまくって優劣を競う企画だが、所詮地方都市の中途半端な進学校でちんまり過ごしていた俺には、誰にも命令されないのに真剣にダンスする高校生が世の中にいるということ自体が衝撃だった。カッコ良かった。そいつらのビデオが出た。買った。LLブラザーズという兄弟がブレイクダンスの基礎をレクチャーするコーナーがあった。居間であぐらをかいてビデオを見ながら両腕を広げてウェーブみたいなのを練習してみた。ぐっと上達した。親の部屋に行って鏡台の前でやってみた。なかなか上手かった。母がご飯ができたと呼ぶ声が聞こえた。泣けてきた。
※学んだこと: いくら好き好んでダンスを覚えたって、人に見せられないならいっそこんな世界知らなきゃ良かったよ母さん。
ダンスとCM
ほとんどテレビを見なくなって久しい。仕事上こういうことをいうのは結構気がひけたりするものだが、ほとんどテレビを見なくなってしまった。見たら見たで面白いが見なくても別に困らないし面白い事は他にもあるし。マイナーな番組とかニッチな番組とかNHK教育とかディスカバリーチャンネルとか深夜の通販とかが実は面白いとかお前らとは違うハイセンスを持ってますみたいな虎の威を借る優越感を出すのもこっ恥ずかしいし。寂しい人。とはいえかつては24時間テレビの前に座っていてもまったく苦じゃないテレビ大好きザッピング世代。今でもたまに休みに家に帰るとお茶のペットボトル持ってテレビの目の前に座りリモコンをいつでも押せる体制に構えながら電源を入れて8チャンをグリグリに連打。完全に世代ですね。とりあえずフジテレビから、みたいな。「みたいな」とかとんねるずな感じを普通に使ってしまうのも世代ですね。
その結果簡単に分かることなんだけども。踊ってるCM多っ!どのCMもダンスダンス、ダンススダンス。別に最近になって急増したわけではないと思うがそれにしても多い。面白いのも多々見受けられる。でも何で?何でCMで踊るの?
【日常ではやらない楽しくヘンな動き⇒気になる⇒話題にする⇒覚える⇒みんなで踊ってみる⇒口コミで広がる】
ということですか?まあ、こういった感じを意図するのは全くナットクできるんですけど、この先の【商品名を覚えてもらう⇒商品売れる】にたどりつくんでしょうか。『きっかけはフジテレビ』みたいなキャンペーンCMというか企業CMみたいなものだったら分かるんですけど。ダンス面白かったら商品売れるんですか。ダンス面白くなかったら売れないんですか。まあこんだけダンス振り付けダンス振り付けばっかりなんだから、それなりに効果があるとかいうデータがあるんでしょうけど。教えてください広告の人。
ダンスの最古例in JAPANは、結構有名なアレらしい。なんか機嫌損ねて洞窟に隠れた天照大神を誘い出すために、洞窟の前で天細女命が楽しげに踊って中にいたヤツがアラ楽しそうつって出てきたあのハナシ。どんなダンスだったのか調べてみた。
『植物を体に巻きつけ、伏せた桶を足で踏みながら踊った』
ドンカカドンカカチャキチャキチャキ!!!神の御世からSTOMPキタ――――!!!!ドラム缶やモップじゃ飽き足らず、草で巻きつけて音を出す!ドンドコドンドコ...フサッ。ドコドンドンドコ...ファサッ。奥ゆかしい!!ひと味違うジャパニーズSTOMP!!それでこそ神!!
奥ゆかしいかどうかはともかく、『最初は興味がなかった人に興味を持たせて行動を起こさせる』という点においては、ダンスをする最初の動機がCMとすげー似てるんじゃないかなー。最古のダンスはCM界に受け継がれていた説。とはいえ、やっぱり気になる、ダンスと購買意欲の関係。
心の動きをデータ化するのは大変なので結局は自分がどうなのかというところで検証するしかなくなってくる。
俺は自分が好きだった振り付けのCMの商品を買っているか。
1 レオパレス21 (start! 入学編 振付:Akari)
♪むちゅーでーがんばるきみへーエールをー。ダンスではない。一瞬のキラメキを放つ振り付けである。藤原紀香と高校生みたいなヤツが並んで「スタート!」と言い放つ、コブシを掲げるあの一瞬の動き。たまんない。新シリーズに入ってしまい、おそらく今後は見ることがないだろうが、目まいがするようなテーマソングに乗って脳を揺さぶる振り付け。たまんない。大好き。ガッツポーズするだけじゃんと思ってこっそりテレビの前で試してみたらできなかった。ヘッ...意外と難しいじゃねーかあっ!!!俺自分で踊ってみてる!!!CM制作者の思うドツボ!!!!!!!爽快!!負けて爽快!!何かノリカとがっちり握手を交わしたい気分!!
そろそろ引っ越したくて新しい部屋を探し続けてる夢中で頑張る俺がレオパレス21に何らかのアクセスをしたか ⇒ してません。
2 アフラック (矢田亜希子主演シリーズ 振付:道山智之)
♪よーくかんがえよーお金はだいじだよー。これももう放映終わっちゃったけど大好き。矢田亜希子が好きなわけではない。アフラックダックが好きなわけでもない。子供たちに、あの歌を歌わせながらダンスを踊らせる、あの企業理念を素晴らしいと思った。これもやった。テレビの前で練習した。SHY GUYな俺が仕事場に行ってみんなの前ですらダンスした。お前らも覚えろと恫喝すらした。これは後世に踊り継ぐべきダンスだと思った。
保険の類にまったくと言っていいほど加入していないいい年こいた俺がアフラックに何らかのアクセスをしたか ⇒ してません。
3 キリンビバレッジ (アミノサプリナイン アミノ体操編 振付:ラッキィ池田)
最初全裸の外人が何やってんだと思ったらベージュの全身タイツだった。ベースは体操だがフニャーンとしたり、片足ジャンプでくるくる回ったりする。俺はこういう「どーよ、面白いでしょうこの動き。ポップでちょっと不思議でクリエイティブでしょう。学校行って面白いってみんなに言いなさい」みたいなタイプのものって結構ダメで敬遠しがち。難しいし覚えづらい。15秒におさまってないし。全身タイツの微妙なエロさが気になってなかったと言われれば気になってたよ。
あんまり覚えたり口コミ活動をしなくて今回もやっぱりしなかった俺がアミノサプリナインを購入しなかったか ⇒ 甘すぎず飲みやすいので正直かなり飲んでます。
関係あんのかなー。俺の好みが偏ってるのかもしれないなー。いや多分CM高感度とか企業知名度とかに関わってきたりして子供がいたりするとあのCMのやつ買ってーとか言われたりしたりして関係あるのは分かるんだけど。ダンスが面白くて流行ればそれでいいじゃんと思ってCM作ってるなら男前だなーと思う。どう思ってるんですか広告の人。何でダンスするんですか。
ダンスって何ですか?
なんの知識もないままダラしゃべりしてると怒ったりする方もいるらしいので何か専門っぽい話も入れときますと言ったはいいが、俺が名前を知ってる専門家は、くっせー食いものばかりをバクバク食いまわる『臭いもの研究家』の小泉武夫氏が限界なので。聞いて回ってみたら踊りを研究している演劇学者の宮尾慈良という人をゲストに呼んだことがあるという知り合いを発見したので捕獲用麻酔弾をボウガンで2発打ち込んで生け捕りにした。
うつろな目でそいつが語った、宮尾氏の話。
・ダンスの語源は、ドイツ語で『体を伸ばす』という意味の『ダンツ』。つまり人間は母親の胎内にいる時から踊っている。
・2万年前の旧石器時代の壁画に、すでに踊りが描かれている。つまり人間は2万年以上前から踊っている。
・ダンスとは、優劣を競うものではなく、本来交流を深めるもの。その踊りがある空間もセットにして、1つのダンス。
・ゆとりのある豊かな社会じゃないと人間はダンスしない。
以上雑学でした。へぇ?と思ったのは...まあ3つ目かな。SHOWとしてステージに乗っかり演者と客という境界線を引いた時点で確かに本来じゃない気もしてくる。そこにいる全員が丸ごと一緒に踊ってこそダンス。その全員が丸ごと踊ってる空間こそがダンス。そういう理解でいいでしょうか。これだと何か納得できる気がするわ。
ケルト―――――ッ!!!!(←『さて』の代わりの擬音)
ここで世界中の踊りを研究し続ける宮尾氏が目撃した、『世界のヘンな踊り』のコーナ――――――!!!!
※『ヘッドバンギング・レディース』(注:勝手に命名してます)
台湾とフィリピンの間にある、名もなき小さな島、蘭嶼島。あんじゃねーか名前。ここに住んでいる高山族泰雅人は、女性しか踊らない。彼女たちは、ひたすら長い黒髪を前後に振り続ける。無音の中。音楽なきヘッドバンギングの世界にようおいでんさった。エアAC/DCとも言える。いやAC/DCこそが「うるさい高山族泰雅人」なのか。ともかくアンガス・ヤングは半ズボンをやめてギターもやめて髪をもっと伸ばせ!!!!
※『座りスパンキング』(注:勝手に命名してます)
スマトラ島のアジェという部族は、踊るとき、立たない。立たないで踊る。座り踊り。大人しくクネクネ踊るのかと思ったら、叩け!叩け!!叩け!!!膝!!胸!!腕!!!叩きまくって音を出す!!! 場所的には微動だにせず!!!パンパンパパンパンジーッ(←じっとしてる音)パパンパンパンジーッ!!(←じっとしてる音)まるで落とし穴に落ちてもがくドラゴンのようだ!!!
こういう土着舞踊ってカッコつけてないから素直に楽しめていいなー。熊川哲也見て笑ったらファンにボコボコにされそうだもんなー。アートを見たときの反応が『感動する/感動しない』以外に許されてない雰囲気がすげーやだ。『爆笑』ってダメなの?心の揺さぶられ方って制作者に規定されなきゃいけないものなの?分からない。私分からない!どうしたんだよ節子。いや!触らないで!私の心に土足で入り込まないで!どうしたんだよ節子土足みたいな顔して。分からない!アナタの考えてるコトが分からない!どうしたんだよ節子膝を開いたり閉じたりして。分からないの?コレは求愛ダンスよ!どうしたんだよ節子そんな人間離れした求愛をしたりして。分からないわ!アナタの考えてることが分からない!
消耗品としてのダンス
30過ぎてベリーダンスやらフラダンスにハマる独身女性のみなさんもいれば特技の欄に『日本舞踊』とか書いて意外な一面を見せようとするアイドルもいれば夜中のビジネス街でガラス張りのビルの前で自分たちを映してヒップホップなのか何なのか良く分からんどこで披露するのか良く分からんダンスを必死で練習する高校生もいれば、ケツを痙攣させて逆立ちしたりしているオンナ2人組みたいなのもいる。一昔前には社交ダンスも流行りました。まあどれもコレもブームです。常にそこにあるものに定期的にブームを仕掛けて、人が群がっては去っていく。人が去ってもダンスはそこにある。そこにいつもあることの美しさ。それは否定しない。
しかしCMのダンス・振付は別。テレビで見て面白いと思ったところで、そのダンスを半年後にまだやってる人は1人もいない。そしてまた新しい振り付けが生まれて一瞬流行る。完全なる消耗品。消耗品としての美しさ。それは宿命でもあり美点でもありクリエイティビティだと思う。
頬杖をつくみたいに顔に両手を当てて、両肘をパカパカ開いたり閉じたりして、同時に膝も同期させて開いたり閉じたりして、閉じてるときには怒って開いているときには微笑。そんな振付を今1分で考えてみた。誰にでもできる超簡単なダンス。どなたか流行らせてみませんか。個人的には朝っぱらから地井武男にやってほしい。ちい散歩中に。コレ流行るわ絶対。そして飽きられるわ。それでいいけど。
ダンス教室 2
「...ダンス教室に入会したいだけなのに、どうしてこんなことしなきゃいけないんですか」
「先生がそうしろとおっしゃってますので」
「コレが入会テストなんですか」
「まあそういうことになるかもしれません」
「分かりました。じゃあ左手で書きます」
「ありがとうございます。ただし喜びの機関車を止めてはいけません」
「はい......ああ...字がグチャグチャになってしまいました」
「構いません。私どもは、字の美しさよりも、その勢いを重視しています」
「では、この入会希望書は...」
「受理いたします。先生にお伝えしてきますのでお待ち下さい」
「どうしたんだい、ずいぶん騒がしいじゃないか」
「あ、先生。おはようございます」
「この方が先生ですか」
「いかにも、私がこの教室の主宰者だが。キミは何をしているんだい」
「あの、入会したくて、今希望書を書いたところです」
「こちらがその希望書です、先生」
「うむ......」
「いかがでしょうか、先生」
「汚くて読めない」