アナタノシラナイセカイ
タレント: ...まあ、そんなわけでロケが終了して、宿に帰ろうとしたんですよ。で、ロケバスで山道を走ってたら、スタッフがですねー......言い出したんですよ.........『ひとり、多くないですか』って.........
司会: アハハハハハハー!! あそう!!FカップがGカップになっちゃったの?!すごいねーーー!
タレント: あの...ちょっと...
司会: じゃあさじゃあさ、もしGからHになったら俺にだけ先に教えてよ!
タレント: あのすいません、スタッフが言い出したんですよ、『ひと
司会: うっせーなテメー!今俺がしゃべってんだろーが!
タレント: え、いや、アナタの番組ですよ私を呼んだの。私の体験談を収録してるまっさい
司会: いやいやいや、恥ずかしかったらさ、メールで『H』って書いて送ってくれたら、俺すっ飛んでいくからさー!
タレント: あのー!スタッフがー!突然言い出したんですよー!ひとり多くないですかー?!みたいなー!
司会: いやいやマジでマジで!大丈夫大丈夫!あとでメアド渡すからさー、それでさー、今Gなんでしょ?俺さー、Gって今まで見たことないんだよねー...
タレント: ......それでーーー!!!!!クルマ降りてーーーーーー!!!こえーーーーーーーなんつってーーーーーーーー!!!!!!!数かぞえたらーーーーーー!!!!!ねー聞いてるー????!!!!!
司会: 聞いてる聞いてる。でさーそのGっていうのをさー
タレント: 数かぞえたらーーーーーー!!!!!もう端折っていくよーーーーーー!!!幽霊的なものがーーーーーーー!!!!!
司会: 1回だけ!いや片っぽだけ!
タレント: いたとかいなかったとかで怖かったんじゃねーかっつーーーーーーーー話!!!!!!
司会: 片っぽだけでいいから!おねがい!!!!
恐怖 is クリエイティブ ?
コレハペンデスカ? イイエ、チガイマス。ソレハ夏デス。夏です。
なぜ夏は怖がらせるのか僕たちを。怪談とホラー映画と恐怖体験とで怖がらせるのか僕たちを。鳴くよ(794)ウグイス僕たちを。
夏が僕たちを怖がらせてるわけじゃない。夏のせいじゃない。太陽のせいでもない。俺たち日本人が、蒸し暑い夜をどうにかこうにか納涼するため、夏に恐怖という罪をかぶせたのだ。夏のせいじゃない。夏かなー!(YES!)夏じゃなーい!(YES!)
今や1年365日、人間は恐怖を求めている。慣れか。これも慣れか。夏だけじゃ物足りなくなったのか。
先月号では『'名言'供給は大変だ』という話をしたが、恐怖供給も、同じく大変だ。毎夏毎夏、ねえ毎夏って「まいなつ」って読むの?まいなつっておかしくない?まいなつって。鼻詰まってんのか。まあいいや毎夏毎夏、恐怖へのニーズはエスカレートしている。初めて付き合って最初は大人しくしていたけど、段々生まれながらのSっ気が顔をのぞかせてワガママ言いたい放題で手がつけられなくなってくるお嬢様女子高生のようにエスカレートしている。その女子高が中高一貫のエスカレーター式なら、よりエスカレートしている「ねえー何か面白いことない?」
「えー、別にないなー」
「じゃあ何か面白い話してよ」
(*この時点でキレる男:全体の20%)
「えー?!そんなこと急に言われても、えーっと...」
「もー...使えない!じゃあ、面白い顔してくれたら許してあげる」
(*この時点でキレる男:全体の30%)
「えー?やだよ人前でやんの」
「やりなさいよーどうせ他のこと何にもできないんだからー」
(*この時点でキレる男:全体の45%)
「分かったよー...おらっ!コレでどお?」
「気持ち悪い」
(*面白い顔と言われて手を使わず白目をむいてしまう判断ミス男:全体の5%)
こんな女子高生並みのエスカレートに応えるのは大変だ。
常に新たな恐怖を生み出すべく走り回って天井を這い回って殿に槍で突かれる人たちこそ忍ですねそれは。生み出すべく活動し続ける人たち、そしてその産物である『恐怖』こそ、クリエイティブなのではないだろうか。ニンニン。
My恐怖体験(はぁと)
「ミスター怖がり」とは俺のことさ!胸に親指を突き立てて言いたくなるほど俺は恐怖周りと相性が悪い。水周りみたいに言うな!霊のトラブル5000円!トイレのトラブル8000円あっ!トイレのほうが高くなった!
ホラーだめお化け屋敷だめ肝試しだめ。だめ。無理。遊園地デートで彼女にお化け屋敷に本気で誘われたら本気で顔面殴り倒して断るくらいだめ。なんで怖い人たちがいるのが分かってる場所にお金払って行かなくちゃいけないんだよう。(←デブ声)なんでデブ声なのか。なんで怖がらせるために作られた映画をお金払って観なくちゃいけないんだよう。(←マドンナの地声)おぼろげ過ぎるわ。今どうでもいいわマドンナの声なんか。
こんな俺は、うらめしい人たちにとっては格好の餌食なはず。ただいかんせん!ICANSENNE霊感ゼロ!まーーーーったくない。俺は幽霊とか本気で怖いのに幽霊は俺を怖がらせることが出来ない。これも定め。俺が伊賀なら霊は甲賀。
さてここまで断言に断言を重ねてきてなんですが1回だけ。1回だけございますんです実は。
忘れもしない、アレは中学2年生のある夜のことだった。家族も寝静まった深夜3時半。私は...私は...ふふふふふ風呂に入るりるり!!!!!!......すみません、思ったよりも早く脳内エントロピーが増大してしまいました(←雰囲気使い)。
私は風呂に入り、湯船につかって、炎天下の中、新規顧客開拓に走り回った心と体の疲れを癒していた中2だろうが俺は。
やがて熱いシャワーをワイルドに上から下から浴びた私は、シャンプーを始めた。
よく言うではないか。目を閉じてシャンプーをしていると、背後に気配を感じるような気がすると。人間の持つ暗闇への本能的な恐怖を、端的に表した感覚だ。そしてご他聞にもれず、私もこの日この時あの場所でちがった、この場所で、「背後感」を味わった。誰かいる。いるわけない。でも誰かいる。細かなさざなみが、私の心の中の洗面器を揺らした。洗面器って。そんな下衆なもん心の中に置きたくねーなー。でも揺らした。怖いよーシャカシャカシャカシャカ。まあいつものパターン。これで何事もなく洗髪も終わり、いつものようにカラダにオリーブオイルを塗りこむ作業に移ればいい。その思った瞬間だった。
目を閉じている私の顔の右側の空気がふと揺れた。何かいる!!!!!!!!顔のすぐ横になんかいる!!!!!!!声も出ない。体も動かない。そしてさらに次の瞬間、私の右耳は確かに.........ある音を聞いた。
『ゲ????ッフッ』
............え?...誰か、ゲップした?したよね今俺の耳元でデカいゲップしたよね?
あまりの衝撃に恐怖もシャンプーの泡も忘れ、私は目を開いた。もちろん誰もいない。しかしいた。誰かが、私の顔の横にいた。
ゲップ?ねえゲップ?なんで?悲鳴とか呪いとか怖い声とか苦しいとか助けてとかそういうのあんだろ?ゲップ?しかも長め?キツめの炭酸?
100%には霊感がない。一切ない。「あーこの部屋何かダメ。いるいる、絶対いる」とか言う女が1番嫌い。そんな私の、生涯たった一度の霊体験。どうか、信じていただきたい...『風呂ゲップ霊』の話を...ねえなんでゲップした?
恐怖は、好きですか?
周りの女性に質問をしても、ほとんどが『ダメダメ、私コワイのとかホラーとか、全然ダメ』と首をインド人のように横に振るやつばかりで参考にならない。お前らみたいなのばっかで、恐怖産業がこんにちのように繁栄するわけねーんだよ!
※そんなわけで最近仕事先の出前でよく頼む、インドカレー専門店のインド人店員にもなぜか聞いてみた。
心の中で『褐色のニコラス・ケイジ』と呼んでいる男である。「あのー、怖い映画とか好きですか?」「(おつり計算に悩んでいる...)」「...ねえ怖い映画好き?」「コワイ?コワイエイガハ、ミマセンナ」「あ、そうですか。怖いの苦手ですか?」「(5000円-3825円ができずに悩んでいる...)」「ホラーとかダメですか?!」「ホルー」「ホラー」「...ホラー」「そう」「ホラーハベツニコワクナイデスナ」「あ、怖くないんだ?」「ウーアーアー」「え?あ、まだ釣りの計算してんの?1575円ですよ」「アハハハアリガトウゾザイマシタ」「ご苦労様―」インディアーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!ゼロの概念を生み出したインディアーーーーーーーー!!!!ガンダーラーーーーーーーーーーーー!!!!数学できねーじゃねーかーーーーーーーーーーーー!!!!!
今回のコラムに関してだけでいうと完全にムダなリサーチであった。褐色のニコラス・ケイジは、ホラーが怖いというかホラーへの興味が全くございませんようで。ガンジス川の下流のほうが呼んでる。
※仕方がないので、知り合いの高校生女子に聞いてみた。
普通に明るい子がワイワイキャーキャー楽しんでるもんだと思ってたもんでホラーとか恐怖体験とかいうものを。そこでちょっと内気っぽい普段あんまり会話が弾まないTという子をよりぬきサザエさんで質問してみた。「ホラー映画とか好き?」「......」「いやいや、返事くらいしようよ」「すいません」「ホラー映画とか好き?」「好きっていうか...」「あんまり好きじゃないか」「私、ホラー女優になりたい」「ん?」「将来の夢は、ホラー映画女優なんです」「どうした?」「人を怖がらせたいんです」「いや、そういうジャンルの人っていない...」「私昔から血とか流して人を怖がらせることが大好きで小学校の図工の時間に頭から赤い絵の具を溶いた水をかぶって流血してるみたいにしてクラスの子がキャーキャー言って逃げるのを見てあー私生きてるんだなとか思ってそれ以来ホラー映画に出まくって人を怖がらせる女優になりたいんですが内臓がはみ出るようなスプラッタ系は私自身が怖がらせている気がしなくてあんまりやりたくないんです」「...そこまで狂った話をひと息でされても把握しきれんなー」「ダメですかこの夢」「いやーダメっていうかそういうのじゃないんだけど、1個だけ聞いていい?」「はい」「絵の具頭からかぶったらさー、そのあと洗っても、なかなか落ちないでしょ」「落ちません。それをやったあと何日か、顔がピンクになって血色が良かったです」「何それ持ちネタ?」「......」「いやいやいやいや、返事くらいしようよ」「すいません」
これは、有益なリサーチになりましたでしょうか?怖がることに快感を覚える人を探して旅をいておりましたら、怖がらせることに至上の喜びを見出す、ナチュラルボーンホラーに逢いました。オカルト大好き呪文大好きみたいな辺境のご趣味をお持ちの方が一定数いらっしゃるのは存じ上げておりましたが、まさかこういう方がいらっしゃるとは。怖がらせたい人って、もっと後天的な資質だったり欲望だったりするのかと思っておりましたのに。
『怖』と『驚』
バブル景気と共にバッコンバッコン建ちまくった、『ライド型』のお化け屋敷がバッコンバッコンつぶれ、残ったところはさあどうしよう、人間を使いましょうということになり、人が人を怖がらせる『アクター・ウォークスルー型』が主流になった。そうですか。その先駆けが、92年の後楽園ゆうえんち。そうですか。もう調べたやつ丸ごとコピペな。で、人間がお化け役として客を怖どうした巨神兵!あすいません、コピペしようとしてうっかり関係ないものをコピペしてしまいました。「どうした」から「巨神兵!」までです。そうじゃなくて、その後楽園ゆうえんちみたいに、ある程度でかいオバヤシは、プロの劇団員やダンサーを雇うこともできるわけで、その人たちが勝手に持ち込んでくれるスキルを使えるわけだけども、全部のオバヤシがそんなことできるわけじゃない。たいていのオバヤシが雇っている素人のアルバイトにも人を怖がらせることができるようにするためには、洗練されたオバヤシマニュアルと実地訓練が必要になってくる。「だからなんだよさっきからオバヤシオバヤシって」「あ...ゴメンね急にオバヤシとか呼んじゃって。でも私、どうしてもお化け屋敷と仲良くなりたくって、それであだ名とか付けて呼んでみたら、きっとお化け屋敷も少しは打ち解けてくれるかなって...私の勝手な暴走だったみたいね...ごめん(涙を浮かべて走り去る)」「あ!待てよ!......なんだよ、星野のやつ...」すいません、また間違ってコピペしました。「だからなんだよ」から「星野のやつ...」までです。僕が愛読している少女マンガ『LOVE屋敷』のセリフを貼り付けてしまいましたすいません。どうして俺はウソをつくのか。
人が人を怖がらせる...と聞いて思うこと。それ、怖がってるって言うよりも。ビックリしてるだけなんじゃないの?タイミング良く飛び出してきて気持ち悪い声で「シリスポーン!」と言われたら誰だってビックリするがそれは道を歩いてて曲がり角から車が飛び出してきてビックリするのとどう違うのか。ビックリするに越したことはないが、それは前段階あってのことじゃないのか。そんな疑問をメガネクリーナ『ふきふき』が手脂を取り去ってくれるようにキレイに払拭する情報を入手した。
知人のディレクターが、以前『お化け屋敷の中で流す効果音&BGM』を作っている人に取材したことがある、と大人のくせに細かくスキップしながら教えてくれた。イライラするので完全無視してやろうかと思ったが、これも恐怖を探るため。グッとこらえて情報入手。
・人を切る音を作るときは、キャベツを切る音を使用。
・井戸に何かが落ちる音を作るときは、かぼちゃやスイカを水に落とした音を使用。
野菜こわいいいいいいいいいいい!!!!!もったいないお化けが出るぞえーーーー!!!!!...ぞえーって何だよ。
野菜にビビらされてたのか我ら。ムカつくスキップだと思ったら最初に出してきた情報もムカつく。もっとマシなもん出せ。
・音は「ビックリしすぎないように作る」。
・「怖い」とは驚かされるまでの、ドキドキ、ハラハラのプロセスのこと。
・勝手に色々な想像がふくらんでしまうプロセスさえ面白ければ、客はリピートする。驚きだけなら1回で飽きる。
メイゲーーーーーーーーーーーンヌッッッッ!!!!!!名言来ました!!!「ギャーーー!!」とスクリームするまでが恐怖!! 消費者のイマジネーションが入り込めるような枠組みこそが恐怖!! クリエイティブの原点を改めて見るかのようです。答え出ちゃったなーこれ。そりゃそうだよなー、ギャーギャー言わせたいだけなら通路の横から黒塗りベンツをバンバン飛び出させればいいんだもんなー...あー誰かこのお化け屋敷作るときは一枚噛ませてください是非。
ホラー映画フォーマット
ドババババババババババババおやっさーん!!バババババババババあぁ??!ババババババババきょうはどこまで船出すんですかーーー!!ババババドババッバババッシャーンババババッバ馬鹿たれそんなことも知らねーで着いて来たのかおめーは!!!ババドドドドドババすいやせーーん!!!!ドドドドドドドドドババババッバババきょうからよー!!あれの漁が解禁なんじゃ!!ジュババッババババッババドドドドドあれって何すかーーー!!!ドドドドドドゴゴゴバッシャーブオーーバババババッバおめーは漁師になって何年たつんだよ馬鹿!!ドドドドドドバババババドドドドすいやせーーん!!バッシャバッシャバッシャババババッババババババこの季節であれつったら決まってんだろー!!ひっぱりダコだよひっぱりダコ!!ドドドドドドババババッババババえええ?!もうそんな季節でしたっけーー??!!ババババババババおうともよ!!今年は大漁だといいなーおい!!ババババババンドドドドドドはい!!!!!ガドドドドドドドドドドッドドドド
ジャパニーズなホラー映画&ホラークリエイターがハリウッドからひっぱりダコである。大漁である。単純にハリウッドのネタ切れと見る向きもあるかもしれないが、ココは素直に日本の「精神的恐怖」を追求したクリエイティビティを称えるべき。『リング』『らせん』『呪怨』『回路』などなどなどなど。リメイクされまくりなのはもう周知の事実。
確かにこえーよなー見れないもん俺一切。『貞子は、井戸から出てきてテレビからも出てくる』がリングにおける最高知識。ふんわり。
でも、精神的怖さの追求とは言いながらも、その具体的なクリエイティブの粋を抽出することについては意外と面倒がってしてなかった気がする。そこに舞い降りた世紀末救世主。ジャパニーズ・ホラー界に激しく影響を与えた一冊の本を手にすることができた。
『ホラー映画の魅力 ファンダメンタル・ホラー宣言』(小中千昭 著)
ファンダメンタル・ホラー。すなわち、「本当に怖いホラー」とは何かについてズビシと答えた小中氏の考えは、高橋洋、黒澤清といった日本を代表する映画監督によって『小中理論』と名づけられたらしい。ていうことで内容紹介するね。
・『恐怖とは段取りである』 :観客が恐怖を感じるまでには、段階的な情報を提示していく必要がある。
⇒ほー、ほー、ほー(←ムツゴロウさんちのミミズクのマネで) これさっき言ってた、『プロセスこそが怖さ』と結構近いんじゃない?
・『因縁話は、怖くない』 :なぜ幽霊が現れて人間をおどかしたのか、背景や理由を明らかにした瞬間、幽霊は非常に「頭の悪い」存在に。恐怖とは不条理に宿るもの。
⇒確かに、「どうしてもパッチリ二重にしたくて化けて出ましたイヒヒヒヒ」って言われたら「あー確かに腫れぼったいよねお岩さん」としか思わなくなるわな。NALUWANA。ハワイで5番目くらいに栄えてる町っぽいな。
・『幽霊はどう見えたら怖いのか』 : 半透明、青白く照らされた古典的な幽霊は怖くない。ぼーっとボケたような不確かな見え方のほうが怖い。不自然な場所に現れる幽霊や、不自然な大きさの幽霊は怖い。
⇒あー読んでるだけで怖いわ。一気にウキャーって言えない感じ。どんだけ目をこらしてもピントが合わない感じ。窓いっぱいに現れた腐った目がこっちを見てる感じ...だから嫌いなんだよホラー。
・『幽霊ナメは禁忌』 : 幽霊の背中越しから犠牲となる人間を映すアングル(特にハリウッド系ホラーではおなじみ)は、恐怖する人物を客観視するアングルであり、「醒め」を生む。
⇒私には関係のない恐怖ね、という落ち着きが出たら終わりだしな。しかもナメで映る幽霊の背中に休憩時間中にコンビニで買ったメガネクリーナ『ふきふき』の299円の値段シールが付いてたりしたら「あーこの幽霊普段メガネかけてんだなー」とか思って一気に微笑ましくなるって言うかなぜ『ふきふき』にこだわる。
・『恐怖する人間の描写こそが観客の恐怖を生みだす』 : その場面に登場する人物が感じている恐怖・リアクションを伝播させることが最大の要素。
⇒「ドゥルルルリアスアーーーーーーーーーー!!!!」と瞳孔を開いて恐怖する女優の顔がアップになる瞬間、恐怖のバトンタッチが完了、と。
・『本当に怖いのは幽霊しかない』 : 怪物、吸血鬼、ゾンビ。そういうSF的な存在ではなく、ほんとうに怖いという感覚を生み出すのは、結局幽霊しかない。
⇒ファンタジー化することで、1個クッションを置いたりなんかしちゃったりして。人間が持つ、死への根源的恐怖を直球で揺さぶるのが大切なのかもしれない。
...とまあ、こういうことがつらつらと書かれておって、非常にクリエイティブアンテナはゆっさゆっさと揺さぶられたりしおって。
何の理由もなく現れる幽霊と、幽霊を見て本能的に叫ぶ人間。これだけありゃいいんだろと。クリエイティブは実はカンタンで軸さえぶれなけりゃ大丈夫さと。かんけーねーぜ、些細なことさ振り落とされないようにつかまってな!!いくぜ義母さん!!!義理の母をバイクのケツに乗せんな!!!!
どのへんで怖くなるか選手権
ある程度結論も見えそうになったところで、実験でもしてみようかな。今や世界一のハイクオリティホラー生産国となった日本のみなさん。どれくらい敏感に恐怖を感じることができるか、僕と勝負してみようじゃありませんか。
シチュエーション1 : 遊園地
怖いいいいいいいいいいいいいいい!!!! ずびばぜん、ズルっこしましたまだ怖くないです。遊園地。楽しそうじゃないですか。まだ大丈夫ですよねみなさん。
シチュエーション2 : 遊園地で男3女3のグループデート
怖いいいいいいいいいいいいいいいい!!!!この微妙なバランスを保ったメンバー構成が怖いいいいいい!!!チビ・デブ・メガネ!委員長・おてんば・不思議ちゃん!どいつとどいつが両想いなんだーーーーーーーーー!!!!!
シチュエーション3 : 遊園地で男3女3のグループデート。ジェットコースターに乗ることに。
とはひいいいいいいいいいいいいい!!!!!怖すぎて部分入れ歯が取れかけたあああああああ!!!!!だから遊園地は怖いんだ必然的にペアを組まなきゃいけなくなるこの瞬間があるからーーーーあああああ!!!チビがおてんばと!メガネが不思議ちゃんと!じゃあデブは委員長しかないじゃないか!!!普段は集団行動を乱すデブを毛嫌いしている委員長!!そんな委員長を母親のように煙たい存在だと感じているデブ!!しかしデブは思い出した!!プールの着替えの時間、男子から「チンコ見せろよーおら出せよー」といじめられているのを気丈にも1人で守ってくれたのが委員長であったことを!!!!思い出してしまった!!!!途端に震えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!!横に並んで乗り込んだその瞬間!!「あー、やっぱアンタの近くいくとちょっと暑いんだ」いやだ怖いいいいいいいいいいい想像したくないいいいいいいい!!!!
...怖がりすぎですね。みなさんはどうですか。まだ恐怖は感じませんか。鈍感なんじゃないんですか。
シチュエーション4 : 遊園地で男3女3のグループデート。ジェットコースター終了。ふと見ると後ろに1人で乗っていたはずの女性がいない。
プププププププププププ!!!!!(注:怖がっています) 何かおかしいと思ったんだよ女ひとりでジェットコースターとか!!!どこいったんだよ!!おい委員長!!お前知ってるか!!??こら!!無視して効率よくドンドン数乗っていこうとするな!!はい、チビは調子乗って階段途中からジャンプして降りてちょっとクジいてんじゃねーよ!!!後ろの女!!いねーの!!!
シチュエーション5 : 遊園地で男3女3のグループデート。ジェットコースター出口で記念写真をチェック。自分たちの写真には、フレームいっぱいに、目を見開いたさっきの女の顔が写っていた。
プププププププププププププ!!!!!!!(注:笑っています) おい!!おい!!不思議ちゃん!!何泣いてんだよ!!ほら委員長も逃げんなよ!!怖がってんのか?! 怖くねーよ別に!さっきの女、ココにいたよココに!垂直落下する瞬間、すっげージャンプしてカメラのある場所まで飛んでってるよコイツ!! バネあんなーこの女!! 係員さーん!! ほらほら!! ヘンな女がカメラのところにへばりついてるはずですから、早く助けてやったほうがいいんじゃないですかアハハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハハ・・・・・・・・(深いエコー)
恐怖と向かい合って生きる
死ぬのは怖い。死ぬのはイヤだ。誰しもそう思う。しかし、『死ぬ』ことと、『死ぬほど怖い』こと、どっちがイヤだろうか。
死ぬほど怖い、という体験をした記憶...たどってみても、個人的にはそれほど思い浮かばなかったりする。
小学生のとき、琵琶湖で溺れて意識を失い、気がついたときには誰かに救出されて浜で寝転がっていた覚えがあるが、この記憶は恐怖という脳内タンスには入っていない。覚えているのは、俺が溺れかけて必死で助けを求めるのを完全に無視して通過して行った、ボート2人乗りのカップルの笑い声。人間って自分が楽しければそれでいいんだな...と悟りを開きながら緑色の水の中に沈んでいった俺。人生で1番直接的に死に近かったかもしれないこの瞬間のことを、俺は恐怖としては記憶していない。
羽田-伊丹。2年前、帰省のため飛行機に乗った。着陸態勢に入り、飛行機は車輪を出す。着陸。しない。再度上昇。え?アナウンス。「前の車輪が出ていないため、確認してから再度着陸します」。上空を一回り。着陸態勢。車輪を出し、着陸。しない。アナウンス。「出ていたと思ったんですが、管制塔から出ていないと連絡を受けたため、確認します」。絶対死ぬと思った。おのれの操縦している乗り物の車輪が出たか出ないかも分からないまま、もしかしたら滑走路に突っ込んでたのか。馬鹿かこいつら。絶対死ぬと思った。
結果として車輪は無事出て、1時間ほど遅れて飛行機は着陸した。降りた瞬間、自走できず、滑走路上で動かなくなった。燃料ないんですか。あと1回着陸できなかったら空っぽってことですか。今書いてても、嫌悪感とともに死への恐怖が蘇る。
この飛行機での恐怖と、幽霊に対する恐怖。どこがどう違うんだろうか。
死への恐怖。それは、生の輪郭を鮮やかになぞる。カンタンに言えば、生きてて良かった、生きてるだけで丸儲け(©さんまさん)ということを実感する瞬間。人生になくてはならないもの。死なくして生はない。
飛行機体験は偶然出会うしかない。しかしお化け屋敷やホラー映画や恐怖体験で怖がることは、いつでもできる。
必要なんだ、恐怖は。恐怖を感じて心拍数が上がって体内温度が上昇して、外気との温度差が生じて体表面が冷えて感じるから夏に怖い体験はピッタリとか薀蓄とかうっせーんだよ!理屈こいてるヒマがあったら琵琶濃行って溺れてこい!!!!