■■ 身体の話 ■■

 

社長の肖像画を専門に描くような会社がかつてはあったと思いますが、最近の企業で、歴代社長の肖像画を並べているようなところはあるんでしょうか。ジュウシマツ和尚みたいな。イイですよねあれ。みんな笑ってくれますよ。昔、月刊風とロックにも、エンライトメントの社長の肖像ページありましたけど。面白いからみんなやればいいのに。

 

かつての日本において、肖像画には一定の決まりごとのようなものがあったそうで、描かれた人物が右向きのものは本人を見ながら描いた絵。左向きの場合は想像で描いた絵。だそうです。

 

有名な戦国武将の肖像画のほとんどは、右向きの絵です。右向きっていうのは、左の頬っ面がこっちを向いてる状態ですね。秀吉も信長の絵も、そういえば確かに右向いてますねえ。

 



 

特に女性は写真撮られる時の、撮られたい角度、撮られたくない角度はお持ちですよね。男もあるか。僕自身は、どの角度であろうと絞った雑巾にしか写らないのでどんな角度でもいいです。あきらめてます。

 

こっち側はダメだけどこっちはOK、みたいなのがあるのは、人間の顔が左右対称じゃないからですよね。左右対称の人間なんていません、必ず違う。

 

 

先ほどの、肖像画の習わしにどんな意味があるかは分かりませんが、左側の顔を見せたい人が多い理由はある程度想像できます。

 

アメリカのウエイクフォレスト大学という聞いたことない大学のケルシー・ブラックバーン博士とジェームス・スキリーロ博士とあと何人かのおっさんは、男女の差や年齢に関係なく、顔の右側を写した写真よりも、左側を写した写真の方が、写真を見た人により好印象を与えることが明らかになったという研究結果を発表したらしいです。

 

この人たちは脳みその研究者みたいで、左側の表情筋を動かすのが右脳で、右脳はイメージ記憶やパターン認知を司っているので、より表情豊かに左側の顔を動かすことができるのではないかと分析してるとのこと。

 

この分析結果が正しいか正しくないかは別として、このおっさんらの分析が無視をしているのは、そもそも生まれつき左右非対称だろうが、ということですよね。さらに言うと、顔の左右非対称性に影響する、赤子時代の寝癖も忘れている。

 

赤ちゃんは生まれたばっかりだと首もすわってないですし、そもそも意識して動かすことがまだありませんから、ともすれば首はどちらか一方にずっと向いたまま寝ていたりします。

 

調査によると、右向きで寝る子が圧倒的に多いらしいですわね。統計がないので伝聞でしか言えないですけど。

ずっと右向きで寝た結果、右の後頭部が絶壁になり、顔の右半分が歪む。絶壁というか斜頭というらしいですけど。成長すれば段々馴染んで元に戻ってきますが完全には戻らない。

へこんだりゆがんだりすることが少ない左側の顔を無意識に見せたがることは多かったのかもしれませんね。

 

 

みなさんはいかがですかね。僕だったらどうだろうとか考えてたら段々、確かに左側のほうがいいかも、右側は歪んでるとか洗脳され始めました。後で自分の右頬を思いっきりビンタしときます。

 

寝相でもたまに聞きますよね、右半身を下にして寝ると体に良いって。心臓の負担が減るとか胃での消化が良くなるとか、まあどれもウワサレベルなんだろうけど、大人が鵜呑みにして意識的に実践するものなのかと思っていたら、赤ちゃんの不随意運動の頃からすでに右向いて寝てるんだと知って意外でした。

そもそも、一個しかない心臓がなぜかやや左に寄ってるとか、両手を平等に上手く使えるに越したことないのに利き腕があるとか、人間の身体はメチャクチャですよね。心臓なんかセンターでええがな。カッコええがなその方が。ウルトラマンみたいでカッコええがな。メチャクチャです。どれか一つの理由を探してるだけでも人生終わる。

 

心臓がなぜど真ん中だといけないのかすら分からない僕たちが、人生の意味を悟ることなんてできるわけないですよねえ。


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このエントリーは、

ルマガ 山本山本佳宏『二十一世紀の未読』

本日配信分の一部を抜粋したものです。

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