■■ ゆべしスに捧げる ■■
二人の人から生まれてきた僕とあなたは、
一人だと寂しい。
二人だと嬉しい。
二人の人が一人の人を作った。
僕らは、欠片として生まれた。
半分に割れた、歪な形の欠片として。
早くあなたも二人になりなさいと言われ、寂しくて泣きながら生まれた。
僕もあなたも、必ず死ぬ。
僕もあなたも、いつ死ぬかは分からない。
必ず死ぬが、いつ死ぬかは分からない。
それが人生に「与えられた」、たったひとつの意味。
その意味だけが、「今この瞬間」という光の前に、僕たちを立たせる。
今がない者に、過去も未来もないのだ。
死がない者に、過去も未来もないのだ。
生きたいと願うのは、死に直面する者。
死にたいと願うのは、生に直面する者。
死ぬから生きたい。
生きているから死にたい。
生きるのは嫌だ。
死ぬのは嫌だ。
僕らは、欠片として生まれた。
歪な形の欠片として。
生きている。今。生きている。
人生の残りの意味は、自らが与えるのだ。
この形は。歪な欠片であるこの僕は、どこへ行くのか。
あなたに会うのだ。
あなたに会うために生きているのだ。
みんなに会うためにではない、あなたに会うために生きているのだ。
僕たちが人生に与えることができる意味とは、ただそれだけだ。
一人ぼっちの寂しさが翼となって、あなたの下へと向かわせるのだ。
金だ地位だ名誉だ世間体だモラルだ常識だ法律だ知識だ経験だ、そんなもので僕らは欠片を丸くすることはできない。歪さの隙間を埋めることはできない。
死んでいった人のために生きることはできない。
死んでいった人の分まで生きることはできない。
今、生きているあなたのために、今、生きているのだ。
あなたを求めて、歪な欠片は、空を飛ぶ。
ぎこちなく、不器用に、あなたを求めて空を飛ぶ。
飛んでいる間は死なない。
未完成な間は死なない。
あなたに会うまでは死なない。
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このエントリーは、
メルマガ 山本山本佳宏『二十一世紀の未読』
本日配信分の一部を抜粋したものです。
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