■■ マガーク効果 ■■

 

人間は、目で聞く。

 

ある人に、って誰でも良いんですけど、「が」と連続で発音してもらいます。が、が、が、が、が。

その様子をムービーで録画いたしまして、その映像の音声だけを、「ば」に変えてしまう。ば、ば、ば、ば、ば。

「が」と発音する人から聞こえてくるのは「ば」。という映像。

 

この映像を他の人に見せて、「こいつは何と発音しているか」という質問をしますと、多くの人がですね……何と……「だ」と発音している、と言います。怖い――!何かオカルトみたいになってきました。

では、今度は目を閉じて音声だけを聞いてくれと言うと、今度は「ば」と聞こえると答えるわけです。正解を出すわけです。



 

音は確かに「ば」と聞こえる。しかしそれを発音している人の口は……「ば」と言ってないなと。(「ば」だったら唇が一度くっつかないと発音できません)。ってことは「ば」じゃないんだ、別の音だ、ということで聞こえてくる音は……たぶん「だ」かな。「だ」と聞こえました!(この間0.05秒 ()東京大学物語)

 

 

目で見た情報と耳で聞こえた情報が食い違う時、人間はどっちを信用するのかというと、目を信用します。何と聞こえましたかと聞かれているのに、視覚を信用する。で、答えを視覚からの報告に寄せようとします。「ば」って聞こえているにも関わらず、その答えを却下するわけです。

 

これは、マガークというおっさんの研究によって明らかになったので、『マガーク効果』と呼ばれます。

 

実際に試せるサイトもありますからお暇な時に。

 

NTT物性科学基礎研究所 イリュージョンフォーラム

http://www.brl.ntt.co.jp/IllusionForum/a/mcGurkEffect/ja/index.html

 

 

 

これをもっと言えば、「人は人の言ってることなんてロクに聞いちゃいない」とかいう暴論までたどり着くことができます。

見た目で誤魔化したりウソをついたりすれば、人間はそっちのほうを信じる傾向があると。ボディーランゲージ的な話でもそういうのありますわな。

もっと言えば、僕が普段から申し上げておりますとおりに、人は人の言ってることなんて自分の都合の良いようにしか解釈しません。

 

 

番組制作のセオリーが一般的にどうなっているのかは分かりませんが業務上得た体感として申し上げますれば、番組の内容の10%伝わったらマシなほう、と思って作ります。が、たいていは僕が伝えようとしていること、このように君に届けばいいなと思っていることの1割が届くことさえ稀であります。

 

 

「視聴者をバカにしやがって、テロップだのワイプだの白痴向けみたいな説明だの、要らねーっつーの!!!

 

そりゃそうですよね、僕もそう思いますよ、ただ一方では、伝わらないぐらいならウザイぐらいに丁寧な方がまだマシ、という方法論をとる人の立場も分かります。

僕を含めて世の中の大半が何も考えてないアホなわけで、そういった人たちを上手に甘やかしておけばホイホイと金を落とすわけですよね、金を儲けたいなら当然取るべき手段だと思います。今日も明日もテレビの電源入れて画面に向かって文句垂れてくれるなんて最高のお客さんじゃないですか。


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このエントリーは、

ルマガ 山本山本佳宏『二十一世紀の未読』

本日配信分の一部を抜粋したものです。

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