言葉が正しいとか正しくないとか良いとか悪いとか、一介の人間が軽々しく口にしてはいけないんですよ。例えばの話ですけどね。

なぜ自分がそんなことをジャッジする権利を有していると思えるのでしょうか。正しい送り仮名も、正しい漢字も、正しい慣用句も、正しい「てにをは」も、存在しない。僕たちはただひたすらに、使うだけなんです。言葉を。

言葉は常に動き、流れ、もがいたり暴れたり排泄したり枝葉を枯らしたりして、ひとつ所にとどまることはありません。「これが正しい言葉でおます!」と指差しても、言葉はもうそこにはない。どんどん先のほうへと流れていきます。僕たちはただその流れに身を任せるだけです。